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2014年4月20日日曜日

劇団民藝『八月の鯨』:神戸演劇鑑賞会5月例会

劇団民藝公演「八月の鯨」は、五人の登場人物すべて七十歳以上の舞台です。

しかし、この老人たちは、実に活き活きと生を楽しんでいる。

主人公は二人の老姉妹で姉のリビー(86歳)と妹のサラ(75歳)。この二人姉妹たちの、日常生活の中での感情を通じて舞台は進行してゆく。

ここは米国メイン州にある別荘。幼い頃、この入り江にやってくる鯨を眺めていた。

母親の死後十五年間、姉は妹の面倒を見てきた。未亡人になってからは今度は妹が姉の面倒を十五年間見てきた。姉は目を患い、聴覚を失いつつある。死の恐怖感を抱き気難しくなっていて、妹に時として強い言葉を投げかける。が、二人は心の底では信じあっている。ある日、妹は亡夫を偲ぶために結婚記念儀式を一人で行う。戻っては来ない日々を追憶するサラの心に、目頭が熱くなる。

そして、終幕、夏も終わりに近い。やってくることはないだろう鯨を待ち続けるリビーとサラの会話に、老いをどう生き抜くのか。いや、人間どう生きるのかを考えさせられて、しばらくは席を立てないかも知れない。

(小谷博子)


劇団民藝公演『八月の鯨』/作=デイヴィッド・ベリー/翻訳・演出=丹野郁弓/出演=奈良岡朋子、日色ともゑ、篠田三郎(客演)/①5月15日(木)18時30分②16日(金)18時30分③17日(土)13時30分/神戸文化ホール中ホール/会員制(入会時に入会金千円と月会費2カ月前納)、月会費3千5百円(大学生2千円、中高生千円)/☎078・222・8651、Fax078・222・8653、メール

(2014年4月20日付「兵庫民報」掲載)

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