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2014年3月2日日曜日

観感楽学

十四年前、クリントン米大統領が夫人とともに来日。出迎えた総理大臣が「How are you?(お元気ですか)」と言うつもりが「Who are you?(あなたは誰ですか)」とやってしまった。大統領は「私はクリントンさんの夫ですよ」と答えた。この総理が森喜朗氏だった――この話はジョークだとも言われている▼しかし、今回の発言は「笑い話」ではすまない大問題となった。誰もが注目したソチ五輪の女子フィギア・ショートプログラムで、浅田真央選手が十六位。ファンが心を痛めているさなかに、森氏は講演で「あの子、大事な時には必ず転ぶんですよね」「負けると分っている団体戦に出して恥をかかせることはなかった」と発言した▼この発言に対して、ダルビッシュ有投手は「スポーツの本質何もわかってないよね」と批判した。後半のフリーに臨んだ浅田真央選手は、なんと自己最高点をマーク。涙と笑顔で締めくくった彼女の演技は世界中を感動させた▼「負けるとわかっている団体戦に」などともよく言えるものだ。森氏は、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長だ。スポーツへの理解の浅い人物が会長では先が思いやられる。(D)

(2014年3月2日付「兵庫民報」掲載)

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