記事を検索

2014年3月9日日曜日

ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記:2/26

被爆の現実に目を背け、「非科学的知見」にしがみつく国

副島圀義

二月二十六日の大阪地裁法廷は、原爆症認定申請に関わった二人の医師(穐久、河本両先生)に対する証人尋問。

国側代理人の尋問は―▽(やけどのような)発疹があったというが、どの位の被曝線量と考えるか?▽脱毛があったというとどれだけ被曝したのか?▽血圧がそれだけ高いということは二十グレイ浴びたということか?▽「相当な被曝」とは何グレイと思うのか?―等々。

証人に被曝線量を尋ね、言えなかったら「病気が原爆放射能に起因する根拠がない」と言おう。何か数字を言ったら、「科学的知見(原爆炸裂時の初期放射線だけに被曝線量を限定し、二次放射能・残留放射能、内部被曝の影響も認めず、爆心地からの直線距離だけで被害認定を線引きするリクツ」と合わないからだめだと主張しよう」という下心みえみえの「尋問」です。

医師証人が「放射線にはγ線もα線もβ線も中性子線もある。飛散した放射性物質の付着、摂取、吸入もある。被爆の全体をとらえるべきだ」「条件も違い個人差もある。同じ放射線量なら同じ症状になる、というわけでもない」と根気よく証言しても、それに耳を傾けるのではなく、同じことを繰り返します。



福島原発事故直後の裁判でも同じやり取りがあったのを思い出しました。「脱毛、下痢、出血などがあったというのなら何グレイ以上の放射能を浴びたのか」と、国側代理人が質問して「内部被曝を無視した『線量評価』は、じっさいの被曝を考えるときには役に立たない」と医師証人に一蹴されているのです。

それから三年。まるで福島事故などなかったかのような安倍内閣の代理人たちですから、放射能がどんな被害をもたらすかを直視することなど、到底できないのでしょう。



編注 グレイは吸収線量の単位。かつて使われていた単位ラドの百倍に相当。1Gy=100rad。

(2014年3月9日付「兵庫民報」掲載)

日付順目次