消費税の増税が迫るなか、アベノミクスだのみ
四月からの消費税の八%へのアップが控えるなかでの兵庫県予算は、知事が「経済雇用対策、実需要の創出など、切れ目のない対応」(二月七日臨時県議会答弁)と語るように、安倍内閣の公共事業の積み増しに頼った景気対策を中心にしています。実際、公共事業(投資的経費)は一千九百十二億円(昨年比五・八%増)となっています。
老人・ひとり親家庭の医療費助成削減
一方で、県民の生活をささえる県独自の制度、老人医療費助成やひとり親家庭医療費助成、私学助成、老人クラブ補助などは、「第三次県行革プラン」の最終案として、県民や市町からの反発にもかかわらず、一月に発表した内容をそのまま強行する構えです。
- 老人医療費助成 六億七千万円(前年比九千万円減)
- ひとり親家庭医療費助成 八億二千万円(前年比一億八千万円減)
反省なく大企業誘致、TPP前提に農地集約
誘致した大企業の全面撤退からの反省もなく、「企業立地補助金」(新事業・雇用創出型補助金)は十四億五千万円。
播磨臨海地域道路の調査費(一千万円)や名神湾岸連絡線の事業評価(五百万円)や、但馬空港の羽田直行便のPR(六百三十万円)も。
県立こども病院の人工島(ポーアイ)移転費用(五十一億円)も、患者や県民からの津波への不安の声も聞かずすすめています。
TPP参加を前提に農地の集約化をすすめる「農地中間管理機構」の予算(六億七千万円)も提案されています。
県職員3割削減の継続
関西広域連合の関係予算(二億六千万円)や、「県からの市町への権限移譲検討会議」の予算もあり、県職員の給与独自カットや人員三割削減の「行革」方針は継続されたままとなっています。
借り上げ住宅の追い出し方針そのまま
予算の柱の「第一」に、「震災の教訓を生かす兵庫」として、阪神・淡路大震災の経験と教訓の「継承・発信」として、様々な二十年事業を打ち出しています。
しかし、今年の一・一七でも焦点となった借り上げ住宅からの被災者「追い出し」問題では、住み替え方針とそのための予算を撤回していません。
井戸知事の「いま決めている基準をそのまま機械的に対応するつもりはない。きめ細かく対応」(昨年十月一日、きだ結県議への本会議答弁)との約束を果たすことが切実に求められています。
高校生向けの給付制奨学金制度を創設
――さらに制度充実を求めることが不可欠長年、社会人になって重い返済負担のない、給付制の奨学金制度が望まれてきましたが、今回、「国公立」「私立」高校生の奨学給付金制度が創設され、あわせて四億円ほどの予算が提案されました。
ただし、国が授業料無償化を中止した財源をつかって、低所得者(年収二百五十万円未満の世帯)に支援を強めるための制度を活用したもので、対象者も限定され、支給金も、国公立で三万二千三百円、私立で五万二千六百円(いずれも生活保護世帯)程度で、学費全体の無償化には及びません。今後も国・県に制度充実を求めることが不可欠です。
(2014年2月23日付「兵庫民報」掲載)
