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2014年1月26日日曜日

観感楽学

アラスカのマッキンリー峰に遺品だけを残して去った冒険家植村直己の故郷は県北上郷(現在は豊岡市日高町)である。しかし、市立植村直己冒険館は四㌔㍍以上西南、神鍋高原に続く三方地区にある。識者には「植村直己記念施設は上郷に造るべきだった」との意見が今日もある▼上郷地区には美しい河畔林があり農業が暮らしの真ん中にある誇り高い地区だ。住民の頭越しに上郷が県北唯一のごみ焼却施設建設の予定地とされたのは「平成の大合併」と同時期だった。以来四年地区住民の多数を結集した反対運動が続き、白紙撤回を実現した▼上郷地区には八十歳代の元日本共産党町議が健在で、地をはうように住民運動を下支えした。都市の専門病院に送られた大病の後も、「平常心」で党日高支部の活動に復帰した。「二十歳のころ、社会主義を知って感動した」と語る彼は、「植村直己の家は近所だ」と少年のように語る▼革命への初心から六十四余年、彼はまたレッド・パージをはじめ数多く遭難者を見てきた。この人は、年末の秘密保護法廃止デモにも党勢拡大行動デーにも背広ネクタイ着用で淡々と姿を現した。上郷に生きる現代の勇者というべきか。(A)

(2014年1月26日付「兵庫民報」掲載)

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