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2013年11月24日日曜日

ストップ! 秘密保護法案

ほとんどが「知らない」?:民青同盟がシールアンケート


大前氏(後ろ)とともにアンケートを呼びかける民青同盟員

日本民青同盟東神戸地区委員会は十一月十五日、神戸駅北側で秘密保護法案反対の宣伝をおこないました。

大前まさひろ中央区市政対策委員長が秘密保護法案の危険性についてハンドマイクでアナウンスし、「秘密保護法案についてあなたは知っていますか」と問うシールアンケートで対話しました。

シールを貼ったほとんどの人が「知らない」と回答。

「これが通ると身辺調査をされたり、戦争を秘密裏にすすめたり、また政府の不正について報道することができなくなったりするんです」とその危険性について紹介すると「それはやばいですね」「そんなに危険なものがあるなんて知らなかった」と衝撃を受けた様子でした。

宣伝に参加したメンバーは「こんなに知られていないことに危機感を覚えた。もっと知らせていく宣伝や行動をしていきたい」と話しています。


繁華街で注目集める:姫路で10団体が共同行動


姫路共同行動でのパフォーマンス

国民の目・耳・口をふさぐ秘密保護法は絶対に許すまいと十一月十七日、「stop! 特定秘密保護法共同行動」が、姫路市内で行われました。

集会は、西播労連、はりま憲法集会、姫路革新懇、姫路年金者組合、新日本婦人の会姫路支部など十団体が呼びかけたもので、この日に向けて参加団体メンバーは手分けして大きな横断幕やゼッケンを作り、またパンフレットも用意したほか、市内の市民団体やマスコミを回って周知活動に取り組みました。この日に開かれていた姫路民商「元気まつり」でも参加を訴えました。

午後三時から大手前公園で開かれた集会には十団体から約百人が参加。まず自由法曹団の竹嶋健治弁護士が法案の内容と危険性について訴え、また杉本ちさと日本共産党兵庫県議会議員が廃案を求めてたたかおうと呼び掛けました。最後に「国民の知る権利を侵害し、日本を戦前の時代へ逆行させる秘密保護法を廃案にしよう」とのアピールを採択しました。

集会の後、参加者はJR姫路駅までパレード。先頭は目、耳、口をふさがれて身動きできなくなった国民を表したパフォーマンス。軽快なコールやシュプレヒコールを響かせて進むパレードは、繁華街をゆく買い物客らの関心を集めました。

パレード終了後、約二十五人がJR姫路駅前で宣伝行動を続けました。わかりやすいイラスト入りのリーフレットを配ると、高校生や青年が次々に受け取って興味深げに読んでいました。

集会は地元メディアから注目され、新聞二紙に事前告知記事が載り、翌日には大きな写真入りの記事も掲載されました。(泥憲和


知らせれば広がる世論:日本共産党が諸団体に申し入れ


日本共産党兵庫県委員会は十一月十三日、「秘密保護法案を必ず廃案に」の一点での共同をと、マスコミ関係、労働団体、法曹界、婦人団体などに申し入れました。

兵庫県弁護士会では中山稔規副会長が対応し、「パブリックコメントにも意見をだし、六日には市民に危険な内容を知らせようと元町で宣伝。千二百枚の用意したビラがなくなるくらい受け取っていただいた。県弁護士会としても声明を出す(十五日に発表)。廃案に追い込む取り組みを強めていきたい。頑張りましょう」と一致しました。マスコミ関係でも、「秘密保護法は危険な内容、申し入れの趣旨はよくわかりました」と受け止められました。

憲法共同センター、平和団体、憲法会議などの共催で十一月二十六日、午後六時から神戸市東遊園地で集会とデモの計画をしている」など、広範な人たちから反対の声が上がっています。

また、新婦人、母親連絡会、日本共産党女性後援会などで構成している「憲法の平和原則守る女性連絡会」は十一月三日、元町大丸前で宣伝。短い時間にもかかわらず三十人以上が次々と署名に応じました。知らせれば確実に法案廃案の世論が確実に広がっています。


(2013年11月24日付「兵庫民報」掲載)

私も反対! 秘密保護法案(1)

憲法違反の軍事活動を監視する活動に重大な制約

原水爆禁止兵庫県協議会 梶本修史

秘密保護法は、市民の平和活動に重大な制約をもたらし、国民の安全を脅かします。

私たちは、各地の軍事基地、軍事活動を監視、調査する活動を行っています。憲法違反の自衛隊、在日米軍の活動を具体的に告発し、憲法擁護のために不可欠なことだからです。

ところが、法案には、「核兵器、軍用の化学製剤」などの軍事機密を探知する活動は取り締まり対象になることが明記されており、リストに掲げられている十項目には、「自衛隊の運用又はこれに関する見積り若しくは計画若しくは研究」「武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物(船舶を含む)の種類又は数量」「防衛の用に供する通信網の構成又は通信の方法」など明記されています。

非核「神戸方式」は、神戸港に入港を希望する軍艦に核兵器搭載の有無の証明書の提出を義務づけるものです。核兵器は、米国にとって最高機密だから、その存在を肯定も否定もしないという政策(NCND政策)をとっていますが、それを質そうという措置は当然「違反」になります。

但馬地域で継続する米軍機低空飛行訓練も、戦闘機の機種、速度、高度、飛行経路、飛行態様などを調査してきたが「違反」です。

住民生活の安全に重大な影響をもつオスプレイの配備計画も訓練飛行ルートも住民は知ることができません。

六甲山頂に存在した米軍通信基地撤去二十周年記念集会を行ったが(本紙前号で報道)、そこに居座る自衛隊通信基地がIDDN(統合防衛デジタル通信網)に切り替わる計画もその通信ルート(非公表)を調査してきましたが、これも「違反」。

会議などで基地調査・研究を企画しても「共謀」罪として処罰される可能性もあるのです。

こういう広い範囲の活動が罪罰の対象になれば、治安当局は犯罪が起こる前から捜査を理由に国民を監視できることになります。政府に批判的な言動を弾圧することも可能になるのです。

秘密保護法案は廃案しなければなりません。

(2013年11月24日付「兵庫民報」掲載)

日本共産党兵庫県議団が予算要望

消費税増税反対、TPP交渉撤退:県民の命と暮らし守る県政を


井戸知事に要望する(左から)きだ、宮田、杉本、ねりき、いそみ各県議

日本共産党兵庫県会議員団は十一月十一日、井戸敏三知事に対し、来年度予算の要望を行いました。

杉本ちさと政務調査会長が、要望の特徴について説明。四月からの消費税8%実施の中止や、原発ゼロ、自然エネルギーの促進、「第二次県行革プラン」のさらなる改悪でなく県民の命と暮らしをまもる県政の実現等をせまりました。

各県議からも、「パナソニック撤退で補助金全額返還と工場労働者の職の確保を」「高校授業料の所得制限の導入反対を」、「UR借上げ住宅の継続入居を、もっと柔軟に」、「赤穂福浦産廃で住民から不安の声が出されている」、「名神湾岸線の中止、生活に身近な県道の整備を」「武庫川廃線敷の整備を」等、具体的に指摘しました。

申し入れは、兵庫県の各部局に、六百五十九項目にわたるもので、今年度の主な特徴として―

  • 消費税8%への四月実施の反対、TPP交渉からの撤退を国に強く求めること
  • 「第二次行革プラン」の見直しで、老人や母子・父子家庭の医療費助成等の改悪をしないこと
  • UR借上げ災害公営住宅の継続入居のため、買い取りや契約延長を行うこと
  • 老朽化対策について、民間依存でなく、専門技術職員を養成し、新規の大型公共事業を大幅に見直すこと
  • 公契約条例を制定し、官製ワーキングプアをなくすこと
  • 公立高校の通学区の五学区への統合は凍結すること

―などを盛り込んでいます。

井戸敏三知事は、予算編成でよく検討するとしつつ、「福浦の産廃は全く知らないので、よく確認する」「借上げは杓子定規にはやらない」「パナ社の全額返還はむずかしい」「名神湾岸線は必要」などと答えました。

(2013年11月24日付「兵庫民報」掲載)

革新懇全国交流会に参加して

住民・地域に目を配り市民権を得るよう頑張る

中央区革新懇事務局長 漁島国弘

驚き、感銘、感激を体験した交流会でした!

全国六百三十九の地域革新懇が結成されています。全てが活動しているわけではありませんが着実に活動の輪は広がり組織も前進している事を実感しました。

交流会の特徴は、一点共闘の広がりとこれまでの枠を超え壁がなくなって来ている活動が元気良く発言された事でした。

「街が変えられなくて、何が国政の革新か」と自ら問い“地域には人がいる”。会員の中には「得意技」を持っている方が多い、それを引き出し楽しい活動を進めようの訴えは考えさせられるテーマでした。

そのためにも「生活密着型」革新懇づくり、町内での集会には十分で駆け付けられる参加し易い場が求められているとの点にも共鳴しました。

進んでいる革新懇の共通している点は情勢に敏感であり機敏に行動を展開していることです。

私も発言しましたが、二〇一五年に中央区革新懇も三十周年を迎えます。交流会で学んだ諸点を生かし住民、地域に目を配り市民権を得るよう頑張って行きます。


つながり楽しそう、兵庫でも青年革新懇つくろう

党中央区市政対策委員長 大前まさひろ

革新懇全国交流会の青年革新懇交流会に参加してきました。

全体交流で、①参加者の集め方②財政③青年革新懇の位置づけの三点について、会場からの質問にパネリストが回答する形ですすめられました。

どこの青年革新懇もゆるく楽しくやっていて、意外でした。

最初から三つの共同目標で一致しないといけないと思っていましたが、パネリストから「一つだけでも一致して後に三つで一致するようにする」という発言があったのは新鮮でした。

青年革新懇の魅力はなんでもできるフットワークの軽さだと、佐賀県ではフットサルをやろう、フットサルだけでなく福島から避難してきた青年の話も聞こうということになり七十人集まったそうです。忙しい中でもみんなが来たいと思える企画づくりをして、集まれる努力をしていました。革新懇をやっているからつながったと楽しそうなのを見て、すごくうらやましい気持ちになりました。

兵庫でも青年革新懇ができたらいいなと思います。


反共の壁崩れている今、職場全員を視野に

三菱神船革新懇代表世話人 藤田摩利子

秋晴れのいい日、大阪で全国革新懇の交流会がありました。職場の仲間たちと参加しました。

私は十六日の全体会には参加できなかったのですが、一番若いM君が参加して、「大勢、来とった、志位さんの話わかりやすいし、良かった。青年が歌声運動の中で仲間を増やして活動してるの、楽しそうだった。八十八歳の人が、三十年間革新懇運動してるから元気でおれる、と走ってるねん。元気もろた」とにこにこ感想を語ってくれました。

翌日は分科会なので、私は職場革新懇交流会に参加しました。

西武、損保、教員、全日空、国交の各革新懇代表がパネリストで交流。

山下芳生さんからは大企業の職場でも反共の壁が崩れてきている今、人口の八割をしめる労働者へ、組合の枠にとらわれない、職場全員を視野に入れた活動で、革新懇の三つの共同目標を意識的に知らせること、それをすすめることで職場から日本を変える統一戦線に発展させることができる、という展望をしめされ、明るい気持ちになりました。

労働者に寄り添って住みやすい社会をつくるためがんばります。

(2013年11月24日付「兵庫民報」掲載)

全労連「かがやけ憲法!全国縦断キャラバン」

憲法いかす観点でと自治体との懇談も


篠山市との懇談

職場、地域、草の根から憲法をいかす大運動をすすめようと全労連がとりくんでいる「かがやけ憲法!全国横断キャラバン」。十一月十五日からの四日間、兵庫入りし、神戸元町・大丸前などで宣伝にとりくむとともに、自治体や県労働局、医師会などと懇談しました。

十五日には全労連の齋藤事務局次長や兵庫労連役員ら十八人で丹波市、篠山市、三田市を訪問。

それぞれの自治体や公契約の下で働いている労働者の労働条件の向上や地域の活性化・社会保障の充実について、憲法をいかす観点で懇談をしました。公共サービス基本法や公契約条例、中小企業振興条例、住宅リフォーム助成制度、国民健康保険制度について担当者や副市長などと意見交換しました。

丹波市では、住宅リフォームに対し商品券で助成する制度があり、改修による工務店だけでなく他の地元商店なども潤う仕組みになっていることが紹介され、もっと件数を増やして町の活性化をなど意見交換しました。

篠山市では副市長が応対。公契約条例は意義があるが小さな自治体なので難しいとの回答に、全労連側から公共事業の現場で働いている従業員は住民であり、住民の生活を守る立場から制定をと要望しました。

三田市では社会保障改革推進法にふれ、制度がころころ変わり見極めている状況だと次々に改悪を進める国に苦慮している自治体の本音が聞こえました。

(2013年11月24日付「兵庫民報」掲載)

東日本救援ボランティア:引き続く支援の必要性を実感

くすもと美紀(明石市議)

十一月十四日から十六日まで三十四名で、東日本大震災救援バザー実行委員会のツアーで救援活動と現地調査に行ってきました。


よろこばれた、もちむぎ麺の炊き出し


一日目は福島県原発事故避難指示解除準備区域と居住制限区域に行きました。

楢葉町は自由に入ることができるが、暮らすことはできない地域です。

改築している家もあります。除染した廃棄物はまだ中間保存地が決まっていないのでフレコンバックに入れられ田んぼに集められたままです。二十の地区があり、一地区に一箇所フレコンバック置き場を作らなければならないのです。「除染やってもキリがない、除染しても山から水が流れてくればまた汚染される」という声も聞かれました。

放置田はセイタカアワダチソウやススキに覆われていました。柿もたわわになっていますが誰も取ろうとしません。

楢葉町と広野町にまたがるJビレッジはサッカーコートが十五面もある東洋一の施設です。東電が第一発電所に七、八号機増築の見返りとして寄贈したものだと当初からマスコミに指摘されていました。

しかし今、サッカーコートには、五千人いると言われている除染作業に携わる方たちの宿舎が設置されていました。駐車している車のナンバーを見ると、水戸、長岡、秋田、山梨、熊谷、千葉、伊豆、湘南、青森、品川、などいろんな地方から働きに来ていることがわかります。



富岡町に入るとどの家を見ても洗濯物が干されていない、まだ帰ってきていないのです。第一原発廃炉への見通しが立たず汚染除去も進まない、インフラもできていない、仕事も家もない、どうして帰ってくることができるのでしょうか。

神山県議(左)から説明を聞く参加者

日本共産党の神山悦子福島県議は「東電は破綻処理をするべき。国民の負担にならないよう、責任共同体で大銀行、企業にかぶっていただく。汚染対策もさせる。除染作業員は国家公務員並みに雇って除染をお願いするべきだ」とおっしゃっていました。



二日目は郡山市内の仮設住宅で福崎町名産もちむぎ麺をふるまい、救援物資も配り大変喜ばれました。仮設保育所も訪ねました。集会所一室にゼロ歳から四歳までの十六人を保育。外遊びの時間が一日三十分だけと聞きました。子どもも保育士さんもストレスがたまるのではと懸念されます。

被災者の方は、「全国の皆さんが被災地のことを忘れられていくのが一番怖い」とおっしゃっていました。

今回の訪問と救援活動で現地の現状を見て、被災者の方の声を直接聞けたことは、たいへん有意義でした。引き続き支援活動を続けていきます。

(2013年11月24日付「兵庫民報」掲載)

多可町議選:辻誠一氏再選

多可町議選(定数十四、立候補十五人)は十一月十七日投開票で行われ(投票率67・41%)、日本共産党の辻誠一氏(42)=現=が八百九票(得票率6・62%)、九位で当選し、合併前も含め五期目の議席を獲得しました。

辻氏は、「若者が安心して家庭を持ち、子育てできる多可町に」と中学校卒業までの医療費無料化、国保税据え置き、住宅リフォーム助成などの公約を訴え、支持を広げ、七月の参院比例票を二十三票上回りました。

(2013年11月24日付「兵庫民報」掲載)

JAL争議支援へ兵庫で連絡会結成

「あの空に帰ろう」を合言葉に決意を固めるJAL争議支援兵庫連絡会結成総会・支援集会が十一月十四日、神戸市勤労会館大ホールで開催されました。

この集会は、日本航空(JAL)が二〇一〇年の年末にベテランパイロット、客室乗務員百六十五人を不当解雇し、不当解雇撤回裁判の東京高裁で結審を前に、兵庫県で支援共闘会議を結成、支援とたたかいをすすめるために開催されました。

裁判の経過を説明した杉野弁護士は、東京地裁の不当判決は、本来解雇には相当の理由が必要だが地裁判決は形式的審理。背景にJALの管財人を決めたのも東京地裁。その更生計画のなかで、まったく必要のない解雇を容認したと批判し、高裁の法廷内の闘いは圧倒、決めるのは世論と運動と報告ました。

原告六人も発言―パイロットは「無事故、自分には何の落ち度もない、組合加入と年齢が五十二だったから」「あの御巣鷹山墜落を体験した世代、安全にこだわり組合に入っていたことを問題にして年齢を決めた」

乗務員は「仕事にプライドがある。会社の気に入らない組合に入っているから解雇された」―

また、住宅ローンや子育てや介護などで一番費用のいる世代を年末に解雇する非道を批判、口々に「こんなことを許さない社会にしたい」―と決意と支援を訴えました。

支援共闘会議は、代表に津川知久兵庫労連議長、副代表に武本由之国労兵庫、事務局長に北島隆兵庫労連事務局次長を確認し、当面二十一日(木)尼崎(13時)元町東口(18時)JR姫路南(18時半)の宣伝行動を成功させ、十二月の東京高裁結審(客室乗務員二十四日、パイロット二十六日)へ運動を強めることを確認しました。

最後に参加者でガンバロー、「あの空へ帰ろう」を合唱しました。


詳しくは→JAL 不当解雇撤回裁判原告団

(2013年11月24日付「兵庫民報」掲載)

西村欣治郎のたたかい(上)

治安維持法の犠牲となった関西学院生
田中隆夫

西村欣治郎の肖像
秘密保護法案が審議中。海外メディアからも「治安維持法が拡大解釈され、多くの人が身柄拘束されたことを踏まえ、秘密保護法にも同じ問題点がある」(十四日、外国特派員協会記者会見)と指摘されている。日本版NSC、集団自衛権と三点セットで「日本が戦争できる国」に変えようとする安倍政権。

緊迫する情勢のもと、紙面を借りて、奈良県御所市出身の関西学院生であり、治安維持法で検挙され一九三一年獄死、享年二十九歳の西村欣治郎の関西学院時代の青春をお伝えしたい。戦前の憲法へ戻そうと安倍政権が暴走する今、治安維持法犠牲者こそが、戦前の日本がいかに間違った体制だったか、そのためどんな間違った道を歩み、国民がどんなに大きな被害を被ったかを誰よりもよく知り、彼らとその時代を知ることは、暴走を打破し未来を開く力を得ることだ。



西村欣治郎(一九〇二~三一)は、奈良県郡山中学を経て、朝鮮で代用教員、徴兵の後、一九二六年関学文学部哲学科に入学。

戦後、作家山岸一章が、戦前の青年活動家を描く「革命と青春」の人物を探していた時、戦前の仲間であった青山順三(関学)、島田フキ(神戸女学院)は、西村を推薦し、社会経験をもつ西村が文化運動でも日本共産党の活動でも学校の枠をこえて活躍し「きんちゃん」と慕われていたと語っている。

哲学科二年後輩の草野昌彦は、「学問的関心も深く、私達は彼とよく哲学や自然科学の話をした。一番大切なことは彼の揺るぎない決意であった。科学的社会主義の正しさを信じ、身を挺して党のために尽くすという気概が、彼を知る誰にでも感じ取られた。この点が敵味方の区別なく人を惹きつけた。私は、非合法時代、彼ほど立派な党員を見たことがない」(勁草書房刊「回想の戸坂潤」)と書いている。

一九二七年学内詩誌「木曜島」(表紙絵・小磯良平、浅野孟府等)創刊号に、「薄暮の祈り」を載せたのをはじめ、坂本遼、竹中郁、谷村定次郎、池田昌夫、原理充男ら学内外の詩人と交流。また川崎・三菱造船争議の青柿善一郎等の呼びかけで酒井一雄、米沢哲らと社会科学研究会を持った。詩誌「木曜島」は、戦争反対の声や言論弾圧への怒りを表明する原理充男の論文や西村の「記憶せよ三月十五日」等の詩掲載に端を発して一九二八年七月八号が発禁になり、同人たちが検挙された。その後も同人誌「文芸直線」に合併され、一九二八年十二月発禁になるまで論文や詩発表は続けられた。

(つづく・三回連載の予定です)


(2013年11月24日付「兵庫民報」掲載)

『殿様と私』:なまの舞台をごいっしょに

神戸演劇鑑賞会12月例会

新時代へ―殿、踊りましょうぞ


十二月の舞台は、ミュージカル「王様と私」からヒントを得、劇作家マキノノゾミが書きあげた、涙と笑いのふた幕の喜劇です。

時は明治十九年。西洋の文化を日本にどんどん取り入れている頃。子爵白河義晃は、そんな風潮に苦い思いを抱いていた。家令の雛田源右衛門も同じだが、源右衛門の方が年齢を重ねているだけに、義晃よりもっと時代にのれずにいた。このふたりが引き起こす言動や態度に、笑って、笑ってしまう。

だが、笑うばかりではない。いつの世も過ぎ去った時代に思いを馳せ、新しい時代に向き合うのが困難を極める。この時代のギヤップの中で、自分を見失わまいとする殿様と、あくまでも、過去の時代に浸りきる源右衛門が、巻き起こす悲哀と諦め。やがて開き直り、「シャル・ウィ・ダンス」が「殿、踊りましょうぞ」になる。

ドタバタ喜劇ではない、上質な笑いに包まれた胸の中がほんのり温かくなる舞台です。

東京・麻布にある白河子爵邸。主人の義晃は、おもしろくない日々に酒浸りの日々をすごしていた。ある日、家令の雛田源右衛門が、時代遅れのちょん髷をからかわれ、その上、白河子爵は、華族の資格なしと罵倒され屋敷に戻ってきた。これを聞いた義晃は怒り心頭。時代遅れの討ち入りを決意した。鎧甲の姿で、ふらつきながら出てきた。やがて…

小谷博子


劇団文学座『殿様と私』/作=マキノノゾミ、演出=西川信廣、出演=加藤武、たかお鷹ほか/①12月20日(金)18時30分②21日(土)13時30分/神戸文化ホール中ホール/会員制(入会時に入会金千円と月会費2カ月前納)、月会費3千5百円(大学生2千円、中高生千円)/☎078・222・8651、Fax078・222・8653

神戸演劇鑑賞会ホームページ
劇団文学座『殿様と私』ページ

(2013年11月24日付「兵庫民報」掲載)

「昭和モダン 絵画と文学」展をみて

未来への思いたぎる

安田秋成

「昭和モダン 絵画と文学」展が兵庫県立美術館で開かれています。

小林多喜二から梅原龍三郎までの三章構成で、第一章が「プロレタリアの芸術」になっています。

「研究室に於ける河上肇像」(津田青楓)―じわーっと心がひきしまりました。

刺し殺された「山本宣治の死顔絵」(橋浦泰雄)、拷問で殺された「多喜二の死面を描く」(岡本唐貴)―それぞれの苦痛をこえて、未来を信じる安らかさのただよう絵です。

「告別」(大月源二)―山宣の棺を担ぐ労働者の悲痛な姿、無念と悔しさ、そして静かに「必ず仇はとる」との想いがあふれる絵です。

「労働者」(須田計一)―これから長く搾取社会に生きる逞(たくま)しさ、やさしさが率直に感じられます。

「男の像」(岡本唐貴)―年配男性―漁師か農民でしょう。貧苦に耐え生きる強さ。

――どの絵画の前でも時間を忘れて立ち止まります。ピカソやマチスのような考え込む絵ではありませんが、心と肉体に直撃を受けたように感じました。不屈さと力強さを持つ絵でした。

機関紙の宣伝画は心臓を掴(つか)みとる迫力です。

「ナップ」「戦記」など多数の雑誌の表紙の大胆な造形と色彩。百合子の『新シベリア』、多喜二の『蟹工船』『工場細胞』などの表紙絵の率直な表現、それでいて人の魂を引きつけます。

私は時間の都合で一時間で第一章の三分の二くらいをみました。もう一度、時間をとり、ゆっくりみに行きます。「プロレタリアの芸術」の章でこれだけ多くの資料を集めた県立美術館職員のみなさんの努力に敬意を表します。

日本共産党員、後援会員のみなさん、とりわけ若い人にぜひみていただきたいものです。

久しぶりに老の血がたぎりました。 (元県議

***

会期は12月29日(日)まで。
10時~18時(金土は20時)。入館は閉館30分前までに。
休館日は12月2日、9日、16日(以上月)、24日(火)。
一般千2百円、大学生9百円、高校生・65歳以上6百円、中学生以下無料。


(2013年11月24日付「兵庫民報」掲載)

「あさぎ」十一月詠草 姫路年金者組合

年金の組合員におさそいし今日のひと日ウキウキ過ごす
十五夜と十六夜をながむればきのうの諍いいつしか溶ける
藤原信子

よべ吹きし風にあおられこぼたれし芙蓉の花が色変わりなす
秋風がここちよくわが頬をなぜ芙蓉の花をゆらしてゆけり
江藤雅江

花ことば再会と言ふ彼岸花今年も野菊露草の畦
幼き字わが名刻みし黄楊の櫛七十余年朝な夕なに
衣川有賀子

初雪を被りし穂高写したる大正池にカメラマン並ぶ
阿弥陀堂横の広場で杖ひらい紅葉の比叡五キロを歩く
常田洋子

編物の手を止め今日は歌集読む次々三冊おくられて来ぬ
ハンドマイク演説仲間に褒めらるは八十五歳の得の一つと
田渕茂美

(2013年11月24日付「兵庫民報」掲載)

ひなたぽっころりん(523)


(2013年11月24日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

「障害者虐待半年で一千五百二十四件」―ショッキングな報道。家庭で86%、福祉施設で5%だが入所施設での全容はわからないとのこと。あってはならないことがなぜこんなに? 障害者(児)を抱えた家庭で相談する相手もなく一人で悩む日々を送り思い詰めた結果ではないか、と胸が痛む▼本来、障害者への支援は国や自治体の責任で行われなければならないのに「利用者本人と事業者の直接契約」にし、株式会社など「営利企業」の参入を認めるなど最悪の障害者自立支援法制定、そして今、障害者総合支援法へと公的責任の放棄は続く▼そのうえ安倍政権は「自助・自立・互助・共助」と、本人(家族)の責任ばかり強調し、障害者・家族に益々肩身の狭い思いを強いるのか▼福祉現場では報酬単価が低いため、パートなど低い給料の非常勤職員に頼らざるを得ない悩みを抱えているが、私の知っている福祉施設では、利用者を「仲間」と呼び、その支援に生きがいを持って、「毎日が楽しい」と働いている職員もたくさんいる▼障害を持っている人たちの収入や年齢に関係なく必要な支援が充分できる「高齢者・障害者総合福祉法」の制定こそ「虐待」を生み出さない保障だ。 (N)

(2013年11月24日付「兵庫民報」掲載)