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2013年10月27日日曜日

全国青年大集会2013に兵庫から40人

仲間がいるって大事


〝ブラック企業根絶〟〝人間らしく働くルールを〟と「全国青年大集会2013」が東京・明治公園でおこなわれ、全国から千五百人、兵庫からは前日の夜出発したバス二台などで四十人が参加しました。



ときおり大粒の雨がふりしきる大集会では、冒頭に秋田書店、ベローチェの不当な解雇を裁判闘争でたたかっている女性が発言。「今苦しんでいる誰かが、立上り前に進む力になりたい」「もういらないと思ったら〝鮮度が落ちた〟と退職強要する会社に悲しくなった。声をあげなかったら誰にも知られることがなくなる。それは絶対にあってはならないと声をあげた」などの涙ながらの発言に、兵庫から参加した大学四年生は「本人からの生々しい告発に涙がでた。病気にも追い込まれ、夢も奪われるなんて本当にひどい。声をあげれば変えられる、周りに仲間がいるんだと思える場って本当に必要」と話していました。

日本共産党からあいさつにたった市田忠義書記局長は、参議院選挙で躍進した十一議席で「ブラック企業規制法案」を国会に提出したことを報告したうえで、「青年大集会が始まって十年。若者の雇用問題を一大社会問題に押し上げてきた。たたかってこそ道が開けることをこの十年のみなさんの努力が示してきた。人間をモノのように使い捨てる働き方をなくしていこう」と激励しました。

全国商工団体連合会青年部協議会議長の雨松真希人さん(兵商連青年部協議会議長)が、代表して消費税問題でスピーチをおこない、兵庫県教職員組合青年部長の井上一洋さんと兵庫県高等学校教職員組合青年部長の赤松弘基さんは全教青年部の訴えで壇上にあがりました。


兵庫の「実態黒書」も国会議員に


清水議員に「黒書」を手渡す参加者(左)
翌日おこなわれた国会要請行動には、兵庫から二人が参加し、百十人の声をまとめた「実態黒書」を国会議員や秘書に手渡し、「ブラック企業の規制を」「働くルールの確立を」と求めました。

兵庫選挙区選出の維新の会・清水貴之参院議員は、自身の就活が大変だったと言いながら「終身雇用制はよくない。パートがいい場合もある」などと不安定雇用で苦しむ青年に背を向け、さらなる雇用破壊を容認する立場を示しました。



兵庫から参加した山下友宙さんは、「一回目の集会は三百人くらいの小さな公園。それから大きな集会に発展し、社会にインパクトを与えながら大きくなってきた。社会的連帯の力で押し上げてきた。参議院選挙で日本共産党が伸びてブラック企業の規制にも大きな展望ができた。実現のためにがんばりたい」と決意を新たにしていました。
(2013年10月27日付「兵庫民報」掲載)

年金者が一揆:ストップ!年金引き下げ・消費税増税


「ストップ!二・五%年金引き下げ・消費税増税二〇一三年兵庫県年金者一揆」が十五日、神戸市内で行われ、組合員百三十人が集まりました。

生田文化会館での集会では岡本毅一委員長の挨拶の後、県社保協の高山忠徳氏が「消費税三%アップ、物価二%もアップ。社保協は一千万署名を行う」と来賓挨拶しました。

続いて「日本社会を覆う『負の連鎖』を断ち切ろう」と題して、神戸女子大の阿江善春氏が講演―負の連鎖は「保険方式主義」「財源論(社会保障と税制度の直結)」「振りまかれる自己責任論」がある。今回の大改悪はまさにブルドーザーのように一気にやってきている。国民に広く内容が分れば全面反撃に打って出ることができる―と解明しました。

次に、関根敏克書記長が「不服審査請求書六千通提出と、秋の仲間づくりで反撃しよう」と行動提起。参加者は拍手で応えました。


昼近くから雨が降り出しましたが、パレードを敢行。「こんな雨に負けておれぬ」と、台風26号接近のため風雨が強まりかけた神戸の街に、「年金引き下げの流れをやめさせよう」「憲法守れ!消費増税撤回!」の声を轟かせました。


(2013年10月27日付「兵庫民報」掲載)

「被災者本位の復旧・復興をめざしてin岩手」参加記

〝政策・運動〟の支援など提起

日本共産党国会議員団兵庫事務所長 金田峰生

十月十三日~十四日に岩手県花巻市で全国交流集会「被災者本位の復旧・復興をめざしてin岩手」が開催され、十八都道府県から二百八十一人が参加。陸前高田市の戸羽太市長の記念講演、岩手、宮城、福島、熊本、和歌山からの報告を受けて、九つのテーマ別分科会での交流・討論と全体会がもたれました。



戸羽市長は講演で「〝想定外ということがあり得る〟という想定が必要」「子どもたちへの就学・就労支援も重要課題」「被災者に寄り添う政治・行政こそ大切」などを提起し、「陸前高田市は〝ノーマライゼーション〟という言葉がいらない街づくり」をめざすと決意を表明しました。

陸前高田市の駅前商店街の跡


私は、「生活再建支援法の抜本改正」をテーマにした分科会に参加。

「改正災害対策基本法と大規模災害復興法の理念に被災者一人一人の生活再建が据えられたことは画期的」だが「政府は有識者会議を設置し、検討項目に〝自助・共助・公助〟や〝国・県・市町村の役割分担〟を明記している」などの問題提起を受け、交流・討論を行いました。

岩手県は陸前高田市が先頭になり、制度の拡大解釈や自治体独自の制度上積みをかち取り、当面の支援について充実させてきているようです。

宮城県は知事が「被災者の命より復興が優先」と回答し、その通りの悪政ぶりであることが報告されました。

被災者からは「生活再建支援法を改正し、三百万円が五百万円になればかなり助かる」との声が相次ぎました。

私は、「阪神・淡路大震災被災実態と乖離した損害判定基準等も見直しを求めたい」「東日本大震災被災地への支援は〝政策・運動〟も必要」の二点を提起しました。

さらに討論を踏まえ、①制度到達の共有化と全国発信の強化、②被災者の要求を握り、課題の整理、運動化、政策化を支援、③支援法改善を柱にした共通課題の全国運動化などを災対連のイニシアティブで進めることを提案し、概ね、第一分科会のまとめの報告に盛り込んでもらえました。



全体のまとめでは、消費税増税、TPP参加、公務員数と給与の削減などは、被災地の復興に逆行させるという、立場の違いを超えた被災地の怒りを呼び、これら安倍内閣の暴走をとめるたたかいも提起され、賛同の大きな拍手が起こりました。

(2013年10月27日付「兵庫民報」掲載)

西脇市議選無投票:寺北氏7選

寺北建樹氏
西脇市議選(定数二減の十六)は二十日、告示されましたが、立候補が定数と同数のため無投票となりました。日本共産党の寺北建樹氏(64)=現=は七期目の議席を獲得しました。

寺北氏は、▽国保税の一世帯一万円引き下げ▽西脇駅西側開発の中止▽市立西脇病院を核とした地域医療を守る―など掲げた公約の実現へ全力をあげる決意を新たにしています。

(2013年10月27日付「兵庫民報」掲載)

ノーモアヒバクシャ近畿訴訟傍聴記:10月15日

「裁判できなければ泣き寝入りせよ」というのか?

副島圀義

十月十五日の口頭弁論で、六人の方については弁論を終結。来年三月二十日に判決と決まりました。最終意見陳述では―

原告・Tさん 被爆者であることを隠し続けてきたことが、家庭崩壊にもつながった。爆心地近くに入ったことを家族に話していなかったことを国は〝却下の正当化〟に使っている。今も被爆者であることを隠し続けている人も少なくない。その方々の思いを考えるとがんばらねば…と思う。

健康を害した被爆者が長い裁判を闘わないと認定されない、という状況を変える判決を願う。

Nさん 被爆の瞬間のことは忘れることができない。ヘリコプターの爆音、雷、震災や津波…。その都度、原爆を思い出してしまう。

国が〝そんな体験をしているはずがない〟というなら、六十八年間、私を苦しめてきたことは何だったのか? 金が欲しいのではない。このがんが被爆によるものだと認めてほしいのだ。

弁護団 確定した一連の判決によれば当然認定されるべきケースで、国は平然と同じ主張を繰り返している。

法治国家では行政の誤りを正すのが司法の役割だ。「司法と行政は違って当然」というような傲慢な態度は許されない。〝どんどん切り捨てる。文句があったら裁判しろ。その元気がなければ泣き寝入りしろ〟というようなことをやめさせなければならない。



この日、国側は反論もなく、書面を提出するのみ。〝認定しろという判決がでたら、その人だけしたらいいんだ〟という不真面目な姿勢を見せていました。

(2013年10月27日付「兵庫民報」掲載)

六甲山米軍基地撤去20周年記念集会

11月10日に山頂で


1992年11月12日の返還当日、六甲山頂で集会を開いた市民

六甲山頂は一九四七年に接収されて以来、米軍が通信基地として使用。巨大なパラボラアンテナが置かれ、標高九百三十一㍍のピークに市民は立てませんでした。

長年、兵庫県平和委員会や原水協の「基地撤去・六甲山頂元旦のつどい」など返還運動がとりくまれてきましたが、その中で同通信基地が使用されていないことが一九九一年ごろには判明。市が国に基地用地として貸している神戸市・芦屋市共有地の返還を求めるよう芦屋市議会、神戸市議会、県議会で日本共産党がとりあげ、九二年十一月十二日付で米軍から国に返還、翌九三年、施設が撤去され、市民に開放されました。また七〇年代初頭には神戸港でも米軍基地を撤去させています。

いま、これらのたたかいに学び、オスプレイ配備撤回をはじめ平和の世論を大きく広げようと、十一月十日、六甲山頂で記念集会が開かれます。参加申し込みの締め切りは十月三十一日です。


11月10日(日)11時、六甲山頂(最高峰)/交通手段と参加費①マイクロバス:8時45分、湊川神社前集合、2000円②マイクロバス:10時20分、六甲ケーブル山上駅集合、1500円③ハイキングなどで現地参加:500円/バス・現地参加ともに10月31日までに事前申し込みが必要/☎078‐362‐0806、Fax 078‐371‐2427

(2013年10月27日付「兵庫民報」掲載)
 

『戦後史の汚点レッド・パージ』:図書紹介

―GHQの指示という「神話」を検証する
藤木洋子

戦後史の汚点レッドパージ

レッド・パージ犠牲者の名誉回復のたたかいは、〝戦後、連合国の占領下におけるレッド・パージは、一九五〇年のマッカーサー書簡を起点とするGHQの指令・指示によるもので、日本国憲法も、日本政府の権限も及ぶところではない〟との最高裁の判例が定説化していて、これをどうやって突破するかに苦悩していました。

兵庫県のレッド・パージ犠牲者の川崎義啓、安原清二郎、大橋豊の三氏が、レッド・パージから五十九年の二〇〇九年、「生きているうちに」と、名誉回復と国家賠償を求め神戸地裁に提訴。その裁判で、証言に立たれた明神勲北海道教育大学名誉教授のレッド・パージ研究成果に目からウロコが落ちる思いをしました。

レッドパージ60周年の集会(2010年11月16日)で挨拶する明神勲教授と(その右隣から)安原、川崎、大橋の3氏

それは「レッド・パージ=GHQ指示」説を「神話」として否定し、「レッド・パージ=GHQ示唆・督励」説を提示されたことでした。

レッド・パージに関してマッカーサーが内閣総理大臣に宛てた書簡は五通。それぞれ①一九五〇年六月六日付―共産党中央委員二十四名の追放②六月七日付書簡―『アカハタ』編集責任者十七名の追放③六月二十六日付―『アカハタ』の三十日間発行停止④七月十八日付―『アカハタ』とその後継紙及び同類紙の無期限発行停止⑤八月三十日付―全労連の解散と十七名の幹部の公職追放―を指令したもので、それ以外のいかなることも具体的に指令したものではないことを明神教授は指摘。

これ以外の報道機関、官公庁、民間産業などでのレッド・パージについては、民政局公職審査課長ネピアや経済科学局労働課長エーミスらの談話、議事録を綿密に調べて、彼らが、財団や大企業の経営者などに対し、レッド・パージがマッカーサーの指示・指令ではないと明確に否定し、すべて経営者の判断と労使合意の上で執行することに神経質なまでこだわっていたことを、明神教授はこの書籍で解明しています。

これらの事実を日本政府も最高裁も十分認識しながら、すべての分野におけるレッド・パージを「占領軍の指令でなされた」ものだとする論拠として、最高裁が、それまで約十年間の裁判でまったく問題にされなかった「解釈指示」の存在を突如、立証不要の「顕著な事実」として登場させたことについて明神教授は、民生局長ホイットニーと最高裁長官官田中耕太郎との会談の記録を検証し、最高裁決定のいう「解釈指示」が「指示」ではなく、田中の求めに応じた単なる「助言」「示唆」であったことを明らかにしました。

著者がこの書籍に〝GHQの指示という「神話」を検証する〟と副題を付したとおり、事実を解釈によって歪曲してまでレッド・パージを正当化する、戦後を経てなお治安維持法体制の体質を脱し切れない国家権力を告発したところに大きな意義がある、と深い感銘をもって読みました。

過去の問題ではなく現代的な人権課題として捉える国民的運動に発展させることが、レッド・パージ犠牲者の名誉回復のみならず、現代を生きる私たち国民の人権を保障する力になるでしょう。特定秘密保護法制定への危険が迫る今こそ、本書の普及と学習が求められていると確信しています。


明神勲『戦後史の汚点レッド・パージ―GHQの指示という「神話」を検証する』/2013年8月、大月書店刊/四六判、328ページ/本体3,200円+税/日本共産党兵庫県委員会でも扱っています。

(2013年10月27日付「兵庫民報」掲載)

青年劇場『普天間』:神戸演劇鑑賞会11月例会

沖縄の過去と現在を紡ぎ出す



この舞台は、イントロダクションと十場面で構成されている。イントロダクションでは、「講演会」を聴くような感じで、観客は自由にメモが取れる仕様になっている。

二〇〇四年八月十三日。沖縄国際大学に、米軍のヘリが墜落した。夏休み中のことであったので、幸い死人は出なかった。舞台はこの事件の詳細をまず語る。

ヘリの尾がL字型に曲がっている部分が、唐突に折れ、機体から落ちた―生後六カ月の乳児が眠っている寝室に、二個のコンクリート片が飛び込んだ―等、墜落の模様を、事細かく描く。この細かい描写は、舞台が終わりになるまで続く。

この描写を繋ぎ合わせると、沖縄が辿ってきた戦後六十八年の歴史が浮かび上がってくる。『普天間』の舞台は普天間の基地の事だけを描いてはいない。

沖縄の人々の苦難の歴史を、劇作家坂手洋二のつぶさな観察と憤りで描いている。沖縄について知っていても、再認識を。知らなかったなら、目を開かされる。

そして、主人公、北峯美里は「沖縄の人たちは自分のペースでいきている。それは、怠慢や怠惰ではない。自分の生きたいように生きる心を大切に。沖縄の人たちのそれが戦いなんです」と語る。

舞台からの台詞のひとこと、ひとことが、観客に向けられているようで、大きな宿題のように感じて、胸が痛んだ。
(小谷博子)

青年劇場『普天間』/作=坂手洋二、演出=藤井ごう、出演=青木力弥・吉村直/①11月14日(木)18時30分②15日(金)18時30分③16日(土)13時30分/神戸文化ホール中ホール/会員制(入会時に入会金千円と月会費2カ月前納)、月会費3千5百円(大学生2千円、中高生千円)/☎078-222-8651、Fax078=222-8653、http://homepage2.nifty.com/kobeenkan/

青年劇場:http://www.seinengekijo.co.jp/frame.html


(2013年10月27日付「兵庫民報」掲載)

兵庫山河の会「山河」第35号より

変革の路一筋に歩み来ぬ戦許さぬ強き思いに
安武ひろ子

中国の人は決して忘れない十五年戦争の始まりし日を
鵜尾和代

空襲の記憶語れる先輩ら「少年H」の時代を生きて
塩谷凉子

キリシタン墓地に佇む迫害の無韻の叫びきくおもいして
石井敏子

生き遅れ死に遅れかも秋陽透く九月二十日のミンミン蝉は
山下洋美

補助線を引かねば解けぬ数学に似たるわたしの人生いくすえ
古賀悦子

サリンガス悪夢の事件想い出す非人道なる兵器をなくせ!
西澤 愼

ポストごと一枚のビラ配るのはあったか神戸実現のため
山下 勇

(2013年10月27日付「兵庫民報」掲載)

西村欣治郎:11月2日に顕彰・研究のつどい

関西学院学生・詩人—兵庫のプロレタリア文化運動を牽引


墓前祭

一九三〇年代に兵庫県のプロレタリア文化運動を牽引した西村欣治郎氏を顕彰する企画が進められています。

治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟兵庫県本部は、十月六日に奈良県御所市の西方寺に行き、四十一名が参加して西村欣治郎墓前祭を行いました。十一月二日には「顕彰・研究のつどい」が企画されています。

西村欣治郎は関西学院学生でナップ(無産者芸術家連盟)の活動家でした。当時関西学院はいま神戸市立王子動物園のある所にあり、学院の前が阪急電車の終点でした。京阪神を視野にナップがここに「戦旗」支局と活動拠点を置いたのでした。西村は詩誌「木曜島」に反戦詩を書くとともに、県下にナップ発行の「戦旗」読者を組織し、宝塚歌劇団内にも学習会を組織しました。戦後日本共産党参議院議員になる須藤五郎もその仲間でした。

西村は、衆議院第二回普選の後の「二月事件」で検挙され、三十歳で獄死しています。小林多喜二は著名ですが、兵庫にもこういう人がいたことを知ってほしいと同盟はつどいへの参加を呼びかけています。連絡先☎078‐351‐0677(国賠同盟県本部)


西村欣治郎顕彰・研究のつどい/2日(土)13時30分、神戸市勤労会館308号/兵庫のプロレタリア文化活動の先駆者で詩人の関西学院学生・西村欣治郎の時代とその影響を報告/参加費500円/☎078‐351‐0677

(2013年10月27日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

無年金障害者の会の幹事である西島文香氏(高知大学準教授)からスウェーデン滞在記第一報が届いた▼同国第二の都市ヨーテポリのトラム(路面電車)やバス全てに高齢者や障害者の座席はもちろん二人用の大きなベビーカー用のスペースも確保されていて、乗客も当たり前のように乗り降りの手伝いをする。一見当然のように思えるが「日本ではまず考えられない光景」とのコメントが書いてあった▼兵庫県の民間バスや公営バスのバリアフリー化はまだまだ十分でない。尼崎市では全国に先駆けて低床化バスが一〇〇%導入されているが、運転手や乗客の対応、ましてやベビーカーにまで配慮が十分か?▼参院選後やっと開会となった今国会には国連の「障害者の権利に関する条約」批准の議案が提案された。この「障害者」と言う言葉は、正確に訳すと「障害を持つ人」であって、手帳所持者だけでなく高齢者や日常の生活に少しでも困難を伴う全ての人が対象である▼権利条約の批准は早い方がよいが、条約の内容・精神を正確につかんでハード・ソフト両面からのバリアフリー(ユニバーサルデザイン)の実現を視野に入れた国内法の整備が必要である。(N)

(2013年10月27日付「兵庫民報」掲載)