ともに学び、つながり、社会保障守ろう
第一回近畿社会保障学校が五月十二日、神戸市勤労会館で開かれ、近畿各地から社会保障関係の運動団体、施設職員や地方議員など百二十人あまりが参加しました。
関西州構想や関西広域連合の動きに対し、「近畿はひとつ、ともにまなび、つながり、そして動こう」をスローガンに近畿二府四県の社会保障推進協議会が共同で開いたものです。
開会挨拶で滋賀社保協の今村浩代表は、参議院選挙へ向けてもしっかり学習をと呼びかけました。
午前は神戸女学院大学の石川康宏教授が「マルクス経済学者からみたアベノミクスと安倍政権の行きつく先」と題して記念講演を行いました。
石川氏は、アベノミクスが古い「構造改革」路線が大前提であること、日本の大企業・財界とアメリカからの強い圧力が背景にあることを解明するとともに、侵略戦争に反省のない安倍内閣の復古主義が財界・アメリカと矛盾を起こすという弱点をもっていることも指摘しました。
さらに、マルクスの恐慌論を紹介し、理論的には恐慌からの脱出には生産と消費の乖離の縮小が必要であり、労働者・市民による消費の拡大が必要だと説明しました。
また、財界による経済と政治の支配にたいし、どういう社会をつくるかをめぐる「合意」形成が階級闘争の典型的な姿になっており、現在の日本の経済・社会に求められるのは政治を改革しうる主権者・国民の政治的成熟であると指摘し、この間の選挙で国民の最大の関心事は経済であることにも注意を喚起。政治や社会の動きを根本からつかむため経済学、政治学、歴史学、社会思想を学ぶこと、社会の多数者を味方にするためにインターネットも活用し、社会全体に呼びかける姿勢が重要だと訴えました。
午後は三つの分科会が行われました。
「介護保険」分科会では、社会保障制度改革推進法が狙う介護保険改悪の内容を学ぶとともに、改善を実現するための共同行動を地域から起こすことについて議論しました。
「生活保護」分科会には、現場の福祉事務所ケースワーカも助言者として参加。生活保護基準引き下げを許さず、日本国憲法に保証された権利としての生活保護制度を作ろうと議論しました。
「医療・国保」分科会では、TPPがいかに日本の医療保険制度を崩壊に導くかについて学びました。
近畿二府四県の社保協ではひきつづき年一回程度、社会保障学校を開くことにしています。
(2013年5月19日付「兵庫民報」掲載)