市民どうし監視させ人間らしい生活奪うおそれ
小野市長は三月市議会に「小野市福祉給付制度適正化条例」(案)を提案、成立を図っています。同条例(案)は、生活保護、児童手当をはじめとする福祉制度に基づく金銭給付を現在受けている受給者とこれから受給しようとしている者が、給付された金銭をパチンコ、競輪、競馬、その他の「遊技、遊興、賭博等に費消してしまい、生活の維持、安定向上に努める義務に違反する行為を防止すること」を目的としています(第一条)。
さらに、同条例(案)は「福祉制度が適正に運営されるよう、市及び関係機関の調査、指導等の業務に積極的に協力」「情報を提供する」義務を市民に負わせています(第五条)。
こうした条例(案)は人権侵害の懸念があるとして、兵庫県弁護士会、自由法曹団兵庫県支部、兵庫県保険医協会、はりま中央民主商工会、全日本年金者組合小野支部などが反対の声明を発表しています。市議会では日本共産党の藤原あきら議員らが反対の論陣を張っていますが、可決のおそれが高まっています。
生存権・幸福追求権損なう
家計について他からの監視・干渉を受けない自由は憲法十三条で保障される「幸福追求権」とその一環としてのプライバシー権で保護されています。それを前提に生活保護法も、生活の維持・向上などに必要な指導・指示について「被保護者の自由を尊重」「意に反して…強制し得るものと解釈してはならない」(二十七条)と規定しています。
県弁護士会会長声明はこれらをあげ、条例案は憲法十三条・二十五条、生活保護法などの趣旨に反していると指摘しています。
差別や偏見を助長
行政の責任放棄
また保険医協会理事会声明では、常習的なギャンブルで生活が維持できない状況は医学的にみてギャンブル依存症と判断され、本来、治療の対象であり専門家の対応が必要だと指摘しています。
(2013年3月24日付「兵庫民報」掲載)