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2013年2月3日日曜日

憲法県政の会学習交流集会に130人

住民が主人公の地方自治を

講演する県自治研の岡田理事長

憲法が輝く兵庫県政をつくる会は二十六日、神戸市の新長田勤労市民センターで学習交流集会を開き、県内各地から百三十人が参加しました。

代表幹事の田中耕太郎さんが開会挨拶。「七月の県知事選挙は、県民の願いを実現し、落ち込んだ兵庫の経済を立て直し、五百五十七万県民が生きる希望を持てる県政にするかどうかが問われる。福祉・生活重視とインフラ補修など、きめ細かい公共事業と自然エネルギーへの転換を率先して進めて、仕事と雇用を増やし、経済を上向かせる県政を実現しよう」と呼びかけました。

県自治体問題研究所理事長で神戸大学大学院教授の岡田章宏さんが「新たな地方民主主義の構築をめざして」と講演しました。岡田さんは、「地方自治改革」として、首長の権限を強める二元代表制の見直し、権威主義的体制の構築、「大阪都構想」にしめされる財源・権限を集中させる大都市制度見直しなどがすすめられようとしていることを解明しました。それに代わる「住民主人公の地方自治」の構築にむけて、「いかなる人も尊厳ある人生を送るべき」という認識の共有などによる「自己責任」論からの解放、住民と公務労働者の連携、多様な意見を反映させる「熟議民主主義」などの方向をしめしました。

各分野・各地から、「毎週金曜の関電神戸支店前行動は、のべ参加者が四千人を超えた。総選挙後、参加者が増えてきた」(ゼロこねっと)、「こども病院移転撤回へ、予算議会に向け署名を徹底して集めたい」(こども病院連絡会)、「『高校の学区拡大ストップの会』を立ち上げた。塾も増えている。過度の競争は子どもの成長を阻害する。学区拡大阻止へ知事をかえたい」(新婦人西宮支部)など、活発な発言が続きました。

代表幹事で神戸女学院大学教授の石川康宏さんが行動提起と閉会挨拶を行いました。

石川さんは、総選挙を通して“政治を変える運動が必要”と認識をさらに深める体験をした有権者に展望を示し、共感をえるとりくみが求められていることを強調しました。三月十七日の全県いっせい宣伝、四月二十六日の神戸文化大ホールでの「二千人のつどい」、学習と要求整理、インターネットの活用などラストスパートの運動を呼びかけました。

(2013年2月3日付「兵庫民報」掲載)

兵庫憲法共同センターが総会

憲法いかす国づくり迫る

挨拶する津川知久代表
「憲法改悪ストップ兵庫県共同センター」が第九回総会を一月二十三日、神戸市内で開催し、十七団体と四地域の二十五人が参加し、安倍自公政権発足後の憲法をめぐる情勢を捕らえ直し、改憲を許さず、憲法を生かした国づくりを迫る運動について熱心な討論が行われました。

2月5日に新春憲法学習会など


総会では、二〇一三年度のとりくみ計画として―

①情勢学習の強化と地域センターの活性化・ブロック交流会の開催―当面、二月五日の新春憲法学習会(行事案内=四面=参照)と五月三日の憲法集会を成功させる

②地域・代表者会議の強化―隔月に代表者会議を開き、各団体の日常課題と憲法との関係を意識化・交流する

③過半数署名の追求―各団体の要求・請願署名についても、それが憲法のどの条項の実現をめざすものかを明確にし、署名者の意思表示を求め、憲法署名として計上する

④地域センター・地域九条の会連絡会との協力・共同―共同センターは具体的とりくみや共同行動を呼びかける中心的役割を果たし、宣伝ビラなどの版下・スポット宣伝原稿などを用意し、地域・団体で宣伝に供する

―などが提起され、憲法をまもりいかすたたかいを一層発展させるために頑張ろうと意思統一しました。

各団体や地域の会からは、「人事院勧告を無視して政府が議員立法で給与削減を決めたことに対し憲法違反だと東京地裁に提訴」(国公)、「ストップの会で毎月九条宣伝をしている。眠っていた九条の会も再開することを決めた」(尼崎)、「毎年二市二町のつどいを開催」(加印)、「共同センターとして定時定点の宣伝を続け、一年間で七千二百八十四人の署名を集めた」(須磨)、「オスプレイの意見広告を開始。学習会が大事」(原水協)「総選挙で若い世代の中で紙芝居で学習。憲法紙芝居も準備中」(新婦人県本部)、「憲法コースを開設、学習会で活用を」(学習協)、「従軍慰安婦問題の学習韓国ツアーに二人が参加予定」(新婦人垂水支部)などが報告されました。


(2013年2月3日付「兵庫民報」掲載)

淡路の漁協・漁港を訪問

燃油価格抑制や「豊かな海」への支援を

国会議員団兵庫事務所長 金田峰生

岩屋漁協で懇談する(右から)鎌塚市議、金田氏

急に寒くなった一月二十五日、鎌塚聡淡路市議、岡田教夫党淡路地区委員長と共に、淡路の漁協・漁港を訪ねました。

十年程前までは一リットル四十五円前後だった燃油が徐々に値上がりし、二〇〇八年夏に急騰してからは、八十円~九十円台で「高止まり」しています。今年一月には九十六円(軽油)になっています。

「漁によって違うが、おおむね、獲れる量は減り、魚価は下がり、燃油や漁具の値段は上がって、経営が圧迫され続けている」というのがどこでも言われる話です。「息子と一緒に漁をしたいが、二人で出たからといって漁獲量や収益が二倍になる訳ではない」「漁師になれと言いたいが言えない。高齢化でますます漁業は細っていく」など、心配は尽きません。

瀬戸内海は神戸空港や海岸の構造物などの影響で海流が変わり、「貧栄養域」と「富栄養域」の差が激しくなっていると言われています。

「富栄養域」だから良い訳ではなく、魚が太り過ぎて不味くなったり、栄養が濃すぎてかえって魚がいなくなってしまうこともあるようです。

漁協は今、「きれいな海から豊かな海へ」を掲げ、海底を耕したり、農家に協力してため池の清掃をするなど、海の栄養分を高めようと努力をしています。

日本共産党兵庫県委員会は、漁業用燃油の価格抑制や「豊かな海」への支援を強めるよう、国に働きかけています。

(2013年2月3日付「兵庫民報」掲載)

山下よしき:新しい道を刻む(2)

貞子先生


松の内も過ぎたころ、小学一年から三年まで担任していただいた先生が、私と話をしたがっているようだと、ふるさとの母から連絡が入りました。

大好きだった貞子先生です。私が紙粘土でこしらえたバスの運転手を、先生は高く持ち上げ、「上手にできていますねえ」とみんなの前でほめてくれました。いまでもよく覚えています。

さっそく電話をかけると、張りのある声が返ってきました。「よしきさん、私にできること何でも言うてよ。あなたのためにできるのは今回が最後やと思うから」。八十九歳になる先生の言葉に胸が熱くなりました。

後日、私の国会質問が載る「しんぶん赤旗」日刊紙の購読をお願いすると、「それはええわね。あなたの活動がわかるし党全体のこともわかる。雨後のたけのこみたいな党でないのは不動のものがあるからだという人もいますよ」と快諾し励ましてくださいました。

いつまでも深い恩師の愛情。教え子としてしっかり応えねば。

(参議院議員)
(第1、第3週掲載)


(2013年2月3日付「兵庫民報」掲載)

借り上げ復興住宅継続入居を

各地でとりくみ、新たな動きも


借り上げ復興住宅の継続入居を求めて入居者団体などが各地でとりくみをすすめています。「借り上げ住宅連絡協議会」は一月二十四日、神戸市内で第九回目の会合をもち、総決起集会の開催などを決めました。世論と運動が広がるもとで、西宮市では、河野昌弘市長が入居者代表と初めて面談、伊丹市は、希望者全員の入居延長の方針を明らかにするなど新たな動きが生まれています。

入居者代表ら西宮市長と面談


河野市長と面談する西宮UR借り上げ市営住宅連絡会の役員ら

「西宮UR借り上げ市営住宅連絡会」は二十三日、松田康雄代表らが初めて河野昌弘・西宮市長と面談し、継続入居を求める署名三千二百五十一人分を提出しました。松田さんは、住民同士で助け合い生活している実態とコミュニティーの大切さを強調し、継続入居を求めました。河野市長は、住み替えが基本とのべるとともに、入居者の要望も聞き、総合的に判断したいと述べました。

宝塚に続き伊丹も希望者全員の延長へ


民間から復興市営住宅として借り上げている伊丹市は、借り上げ期間が終了しても希望者全員の入居延長を認める方針を固めました。全戸延長は、宝塚市に次ぐものです。現在、被災者ら三十九世帯五十四人が入居しています。市の担当者は「これまで、入居者に借り上げ終了で住み替えとは伝えていませんし、高齢者も多く、こちら側の都合で急に住み替えとはいかない」と話しています。

「神戸市は〝懇談会〟公開を」―自由法曹団が意見書


自由法曹団兵庫支部は二十二日、神戸市が設置する借り上げ住宅「懇談会」の公開と入居者の参加などを求める意見書を市長宛に提出しました。神戸市は、「住み替えに係る施策」の再検討のため、学識経験者ら五人による非公開の懇談会の設置を発表していました。

意見書は、懇談会において「入居者らの意見を聞くことは必要不可欠」と指摘。懇談会の委員に入居者の代表者を参加させ、入居者の「生も声」を反映させる措置を講じること、懇談会を公開することなどを求めています。公営住宅法に照らして、借り上げ住宅から入居者を強制退去することはできないと指摘し、希望者全員の継続入居を求めています。

(2013年2月3日付「兵庫民報」掲載)

三菱電機・春闘を前進させる会がアンケート

賃上げ「3万円以上必要」が7割、成果主義賃金「見直し必要」が9割


尼崎市と伊丹市の三菱電機とルネサステクノロジの事業所の労働者でつくる「春闘を前進させる会」が昨年末からとりくんできた「二〇一三年暮らしの要求アンケート」の中間集計(百四十三人分)がまとまりました。今回の中間集計は正規労働者八割、非正規労働者二割、世代別では二十代、三十代が合わせて五割を超えました。

賃上げ要求(図1)では、生活にあと「三万円以上必要」が七割を占め、なかでも「五万円以上必要」が全体の四割と最も多くなっています。

導入されている成果主義賃金については、九割の人が「見直し」を要求していることがわかりました。問い「賃金制度のどこを見直せばよいと思うか」(図2)には、第一位が「評価基準と評価の公開」、第二位が「定期昇給の導入」、第三位が「専門性や熟練度の評価」、第四位が「役割給の引上げ」と答えています。

意見欄には、「若い人たちのためにも定期昇給は絶対に必要である。賃金があがらないと結婚もできない」、「賃金制度は評価する人(上司)の平準化が必要である。人によって評価の仕方が違う」、「再雇用者は、定年前と同じ仕事をしているのに賃金が半分になる。同一労働・同一賃金が必要だと思う」、「労働時間が長すぎる。深夜残業を毎日している人もいる。忙しくて体調を崩す人もいる」との声が寄せられています。

非正規労働者からも切実な回答


このアンケートは契約・派遣社員など、非正規労働者からも回答を得ています。それによると、「不安・不満」(図3)の第一位は「賃金が安い」、第二位が「雇用継続」、第三位が「職場の人間関係」と答えています。

諸手当の要求では、第一位は「一時金」、第二位が「退職金」、第三位が「住宅手当」と答えています。

意見欄には、「新卒の高卒の月給より低いのはいかがなものか。正社員への道はまったくないと言われている。契約社員止まりであることを考えると、この先不安である」「二十五歳単身で“年間必要生計費二百九十万円(電機連合調査)”であるならば契約社員であっても、それに近い年収が妥当ではないか、一人暮らしでもままならない年収(約二百十万円)は不当ではないか」「十年近く働いているが時給は八百円台、ボーナス、退職金もないので老後が不安です。時給を上げてほしい」「正社員登用制度の門戸を広げてほしい。人数枠、年齢制限の撤廃を」と切実な声が寄せられています。

「春闘を前進させる会」はビラを作成し、このアンケート結果と労働者の声を紹介するとともに、「賃上げこそがデフレ不況脱出の道である」と主張し、各事業所門前で、出退勤する労働者に訴えています。 (城戸洋


図1 正規:賃上げ要求(月給)

回答なし 2%
5万円以上 36%
1万円未満 13%
1万円 4%
2万円 11%
4万円 10%
3万円 24%

図2 正規:賃金制度の見直し要求(複数回答)

評価基準と評価の公開 39%
定期昇給の導入 32%
専門性や技術・技能の評価 29%
役割級の引き上げ 18%
等級内格差是正 12%
事業別加算金廃止 4%
その他 3%
見直しの必要なし 5%
回答なし 5%

図3 非正規:不安・不満(複数回答)

賃金が安い 44%
雇用継続に不安 28%
労働時間が長い 6%
職場環境が悪い 6%
職場の人間関係 6%
仕事がきつい 3%
相談相手がいない 0%
不満はない 8%


(2013年2月3日付「兵庫民報」掲載)

福祉パス守れ! 神戸市役所包囲行動

現行制度維持を求める署名1万6千人越す



神戸市の「福祉パスの現行維持を求める連絡会」は一月二十四日、市役所包囲行動を行い百七十人が参加しました。

東遊園地前で連絡会の柳田洋代表が「福祉パス制度はできてから四十年。社会的弱者の生活に根付いている。福祉が削られ、生活保護費も減らされようとしている中で改悪がすすめられようとしている」「しかも、利用者の声を聞こうともしない神戸市は絶対に許せない」と厳しく批判。全国に誇れる制度を守るため引き続きがんばろうと呼びかけました。

同連絡会の山崎晴可事務局長が、これまでのとりくみの経過を報告。現行制度維持を求める署名が一万六千人分を超えたことを紹介、予算議会への請願、陳情などにもとりくみ、現行制度維持を求める意志を示そう、と強調しました。

その後参加者は神戸市役所周囲を行進、「神戸市は福祉パスを守れ」と訴えました。

この行動には日本共産党の赤田かつのり議員と花房ふみこ議員が参加しました。


(2013年2月3日付「兵庫民報」掲載)

神戸・市民要求を実現する会連続講座:公契約条例

労働者にも市民にもメリット


神戸市内の十八の団体・政党でつくる「神戸・市民要求を実現する会」は一月二十四日、第七回目の神戸市政連続講座を開催し、四十人が参加しました。

今回のテーマは「公契約条例」。全労連調査局長の伊藤圭一氏が、各地で実践されている公契約条例制定運動について報告しました。

官公庁が発注する公契約は、GDP比一五%、約七十五兆円の金額、一千万人が働く大事業であり、地域経済と暮らし、文化を支える根幹的業務を担っています。一方で、原発除染作業などでも浮き彫りになった、公契約で元請に適正な労働単価で契約していても、働く現場では、労働者にはピンハネされて支払われていない実態などが問題になっています。こうした中、公契約条例を制定し、公契約の現場での労働条件の向上や雇用を安定化させるとりくみがひろがっています。

伊藤氏はこうした全国の状況を概観した上で、公契約適正化を先行して実施している八自治体(七条例、一指針)の実践内容を紹介。野田市では、適用された清掃業では、労働者の賃金が時給百円引き上げられたほか、入札した業者にも、労働者への支払いを無視したダンピングがなくなり「安心して札がだせる」など喜ばれていると述べました。

さらに、公契約条例の実施で①労働者に適正な賃金・労働条件と雇用の安定・継続をはかる②公共サービスや建造物の質を高め、市民に安心・安全を提供する③ピンハネ・悪徳業者を排除し、税金の無駄遣いをなくす④受託事業者に適正な利潤と健全な経営をもたらす⑤地元に発注することで地域経済の振興をもたらす⑥積算単価の計算など、発注者責任を果たすことのできる行政にしていく―などのメリットを示し、神戸市でもぜひ実施のとりくみをと呼びかけました。



(2013年2月3日付「兵庫民報」掲載)

アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会総会

国の責任明らかにするため運動大きく広げよう


控訴審の課題について報告する八木和也弁護団事務局長

「アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会」が一月二十六日、尼崎労働福祉会館で第八回総会を開きました。

第一部の「学習会」では兵庫尼崎アスベスト訴訟弁護団の八木和也弁護団事務局長が「尼崎アスベスト訴訟 到達点と控訴審の課題」と題して報告しました。

▽神戸地裁判決が、日本で初めてアスベスト公害において「企業責任」を認めた画期的な判決であったこと▽しかし、クボタの工場から三百メートルの範囲しかクボタの加害責任を認めておらず、さらに範囲を広げさせることが必要であること▽国の責任は全く認めず、国がアスベストの危険性を知りながらアスベストの使用をすすめたことの責任を大阪高裁で明らかにすることの重要性とその根拠―について述べました。

第二部の「総会」では、船越正信会長が挨拶。阪神淡路大震災のがれきから飛散したアスベストでさらに被害が広がるおそれに触れ、「尼崎アスベスト裁判」で国の責任を明らかにするために、大きく運動を広げようとよびかけました。

会場からは、「応援しています。頑張ってください」「職場で、週三回三十分ずつ署名行動にとりくんでいます」などの声が寄せられました。

そのほか、原告が決意表明、今年度の運動方針案、新役員体制などが確認され、日本共産党の広瀬早苗市会議員、田中康夫元衆議院議員らが来賓挨拶しました。

(2013年2月3日付「兵庫民報」掲載)

カンキンNO NUKES 2013-1-25 加古川

関西電力加古川営業所前で集会



加印革新懇の呼びかけで加古川でも金曜日の反原発集会のとりくみが始まりました。

昨年の十一月三十日は関西電力加古川営業所まで三十三人がデモして申し入れました。今年の一月二十五日にも二十七人が同営業所前で集まりました。当面月一回の計画です。


(2013年2月3日付「兵庫民報」掲載)

カンキンNO NUKES 2013-1-25 神戸

前回上回り120人が参加



三十回目となるカンキン神戸行動には前回の百人を上回る百二十人が集まりました。寒波が襲う中、関電神戸支店前は熱気が起こりました。参加者も「寒いけど、こうして抗議していると体が暖まって風邪をひかなくてすみます。がんばりましょう」と励まし合っていました。また、隣でスケボーをしていた青年も「楽しそう」と飛び入り参加。次回三十一回目・二月一日の抗議行動も十八時から十九時まで行われます。


(2013年2月3日付「兵庫民報」掲載)

小林多喜二記念集会にノーマ・フィールドさん

虐殺から八十年:2月24日・県立のじぎく会館


ノーマ・フィールドさん
一九三三年二月二十日昼過ぎ、東京赤坂福吉町を歩いていた小林多喜二は、特高警察に捕まりその日のうちに殺されました。

前年七月に日本反帝同盟の執行委員になっていた多喜二は、国際反戦委員会(ロマン・ロラン、アインシュタイン、宋慶齢、片山潜ら)がよびかけた、日本の中国侵略に反対する上海極東反戦会議に呼応し、一九三三年九月東京での日本反戦大会を計画し奔走していました。

一九三一年九月「満州事変」を引き起こした日本は、多喜二が虐殺された一週間後に国際連盟脱退を通告し、中国への侵略戦争の道を突きすすみました。小林多喜二は、国家権力からもっとも恐れられた作家であり、平和のための活動家でした。著名な近代日本の文学者のなかで、多喜二のように国家権力によって命を奪われた者は他にありません。

昨年十二月の選挙で復活した安倍首相は憲法改定の動きをつよめ、日本軍「慰安婦」問題をはじめとする「歴史問題」を反動的に打開しようとしています。この動きに世界とアジアから批判と懸念の声が広がっています。

こうした時期に、小林多喜二の文学とその生涯について振り返ってみることは、大きな意義があるのではないでしょうか。

二月二十四日午後一時三十分から、兵庫県立のじぎく会館で、小林多喜二没後八十周年の記念集会を開きます。

この集会では、シカゴ大学名誉教授のノーマ・フィールドさんが「いま、いかに多喜二と対話するか」と題して講演します。ノーマ・フィールドさんは一九四七年東京生まれ、夏目漱石の翻訳や『源氏物語』の研究でも知られています。

『小林多喜二―21世紀にどう読むか』(岩波新書)はすぐれた多喜二の評伝です。この本の最後を、ノーマ・フィールドさんは「多喜二さん。私はこころからお礼をいいたい。あなたが全身の力をふりしぼって、文学と社会変革をともに求めたことに対して、です。人はだれでも、あなたのように本気で生きてみたいと、一度は思うのではないでしょうか」と結んでいます。

さらにこの集会には、小森陽一東京大学教授(九条の会事務局長、近代日本文学研究者)や小林多喜二研究家の島村輝フェリス女学院大学教授が加わり、ノーマ・フィールドさんと鼎談します。お楽しみに。

(兵庫多喜二・百合子の会事務局長・濱本鶴男

(2013年2月3日付「兵庫民報」掲載)

小林多喜二没後80年・生誕110年記念集会

2月24日(日)1時30分/兵庫県立のじぎく会館/講演「いま、いかに多喜二と対話するか」ノーマ・フィールド(シカゴ大学名誉教授)/参加協力券1200円(当日1500円)/主催:多喜二記念集会実行委員会☎&Fax 078‐351‐0388(兵庫文化クラブ)

(2013年2月3日付「兵庫民報」掲載)

ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟裁判傍聴記

副島圀義

大阪地裁一月十七日の法廷は、原告お二人の証言です。

《Mさん》


広島・当時十五歳。広島駅近くの路上(爆心地から二㌔㍍)で被爆。爆風で飛ばされ地面にたたきつけられた。頭に何かが刺さって指が入るくらいの穴が開きひどい出血。歯も六本折れた。応急手当で頭のけがを縫ってもらったが、周りには全身火傷で死んでいく人がたくさんいた。その夜は比治山で野宿。翌朝、自宅のあった方に向かったが焼け野原。両親に会えたのは翌八日だった。

焼け跡にバラックを建て、乾パンや焼け残ったかぼちゃなどをたべ、井戸水を飲んで過ごした。

鼻血や下痢が一月くらい続き、傷口以外でも脱毛。倦怠感が長く続いた。七、八年経ったころ、残った歯が虫歯でもないのに抜けた。

十年前に急性心筋梗塞で手術を受け、現在も通院・投薬治療を続けている。

被爆者への偏見や差別を恐れ、家族にもずっと被爆体験を隠してきた。被爆者手帳の取得も四年前。子や孫まで、尾を引かないか不安だ。

《Sさん》


長崎・当時十二歳。爆心地から二・一㌔㍍の自宅で被爆。ピカッと光ったとたん身体が飛ばされた。近くの防空壕に行ったが、ひどいけがや火傷の人がいっぱいいて恐ろしかった。姉が帰ってこないので翌日、父に連れられて探しに行った。途中、倒れている人に足首をつかまれ、ふりほどけない。父が引っ張ってくれたが、火傷でずるっとむけた手の皮膚が、私の足に貼り付いていた。あまりの怖さで引き返した。姉は焼け野原になった市街地を避け、山越えで帰ってきた。

四、五日目から下痢、耳からの出血、発熱、脱毛などが続いた。

京都の人と結婚した姉の手伝いで関西にきた。姉が嫁ぎ先で被爆者だということでいじめられたと聞き、父からは「被爆したことを誰にも言うな」と言われてきた。

肝機能障害と診断され、父も年をとり、孫もできた、ということで被爆者手帳をとったのが一九八二(昭和五十七)年。その後、慢性肝炎、肝硬変と進行。甲状腺機能低下症にもなった。

昔のことを思い出すとつらく、眠れない。

国側代理人は、Sさんが山口の疎開先から長崎の自宅に一人で帰っていたことに「十二歳で一人で帰れたのか?」など長崎での被爆自体を疑うような尋問。被爆体験を隠し手帳取得が遅れたことにも現れているつらさ・苦しみを分かろうともしない、無神経ぶりでした。

(2013年2月3日付「兵庫民報」掲載)

ひなたぽっころりん(508)



(2013年2月3日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

厳しい寒さです。豪雪の予想もあります。しかし二月四日は立春。暦の上では「春」になります。俳句の季語では梅・椿▼梅は往古に中国から渡来し、椿はもともと日本列島を覆っていた樹です。どちらも花を観賞するだけでなく、梅干・椿油など役に立っています▼六甲山系の山麓にはヤブツバキが茂っています。六甲山系は明治晩期まで全くの禿山で、むき出しの砂肌が豪雨があると崩れたようです▼植林と砂防の必要を説いたのは、六甲山に日本で最初のゴルフ場を造ったイギリス人の貿易商A・H・グルームです。兵庫県知事に働きかけるとともに自らも植林を進めます▼明治末年に山麓住民が同氏の功績を讃えた「六甲開祖の碑」を山上に建てます。ところが日中戦争が進むと中国を支援するイギリス排斥運動が起きます▼昭和十五年秋、有野村村会が碑の撤去を決め、碑は倒され谷底に突き落とされます。戦後兵庫県が記念碑を建てますが、経過は明示されていません▼先年、中国雲南省の山奥で、「日中共同登山」の記念碑が削られているのを見ました。反日運動の徹底さに驚きました。六甲山の碑と言い、煽られるナショナリズムの怖さを示すものです。 (TS)
(2013年2月3日付「兵庫民報」掲載)