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2013年11月10日日曜日

神戸市長選:運動で要求前進への条件ひらく

貫名さんとあったか神戸の会の奮闘


十月二十七日に行われた神戸市長選挙は、三期十二年務めた矢田市長の不出馬を受け、十二年ぶりの新人五氏による多数激戦の市長選挙となりました。

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選挙の結果は、前副市長の久元喜造氏が当選しましたが、自民・公明・民主の三党推薦、石破幹事長や菅官房長官など自民党の閣僚や幹部の連日の応援を受けたにもかかわらず、得票率は36・4%(有権者の13%)と当選者で過去最低となりました。

市民の思いにかみあった訴え



市民にあたたかい神戸をつくる会(あったか神戸の会)は、市民の切実な要求を結集し、あたたかい神戸市政への転換をかかげ、様々な要求運動の先頭に立ってきた貫名ユウナさんを市長候補に擁立しました。

貫名候補は、神戸空港や新長田駅南再開発など、市民の意見を聞かずに失敗したムダな大型開発のツケを、福祉切り捨てという形ですすめる冷たい市政の流れを変えることを訴えました。

神戸新聞の出口調査で新市長の政治姿勢として「無駄な事業を減らす(36%)」こと、「市民の声をよく聞く(29%)」ことを望む声が一位、二位を占めたことからも、貫名候補の訴えは、市民の思いにかみ合ったものでした。

しかし、貫名候補の立候補表明が告示の二カ月前を切るなど立ち遅れ、投票日までに市民や会に参加する団体の構成員に広げきることが出来ず、得票は四万六千六百九十二票(得票率10%)にとどまりました。

選挙は残念な結果でしたが、あったか神戸の会が掲げ、貫名候補が選挙戦でうったえてきた、さまざまな市民要求が前進する可能性が大きくひろがっています。

子育て支援


子どもの医療費の無料化は、九月十五日の神戸新聞の公開討論会で四人すべての立候補予定者が公約として掲げました。久元氏は選挙が始まる前には「段階的に」実施としていましたが、貫名候補が、「予算のわずか0・3%のやりくりで、すぐに無料化ができる」と訴えるなかで、久元氏は「医療費は速やかにゼロにします」と五つの重点政策の一つに掲げざるをえなくなりました。

久元氏の公約には、「待機児童の完全解消」「一時保育・休日保育の充実」「中学校給食での食育推進」「図書室の蔵書拡充」なども明記されており、子育て世代の要求にこたえざるを得なくなっています。

ブラック企業規制


若者を酷使し「使い捨て」する「ブラック企業」の問題でも、貫名候補が、十月十二日の学生主催の公開討論会で提起する中で、久元氏は「神戸市として、やれることはやる」と表明しています。

国保の負担軽減


速くも運動によって要求が前進した例もあります。高すぎる国民健康保険料の問題を掲げ、負担軽減を求めたのは貫名候補だけでした。神戸市は、多子世帯や障害者世帯の控除を廃止し、保険料負担を重くする計画をすすめており、兵庫県社会保障推進協議会や民主商工会などが反対署名をすすめていました。

選挙直後の三十一日に開催された神戸市国民健康保険運営協議会第四回専門部会で、「当分の間」、現行と同程度の控除を継続する方向が打ち出されました。

各区の良さいかすバランスとれた発展


また、貫名候補は「三宮巨大開発などの一極集中をやめ、九つの行政区の良さをいかしたバランスをとれた発展を」との政策を掲げました。九つの行政区ごとにあったかの会を立ち上げ、プレハブ校舎の解消やコミュニティバスの充実など各区の住民の身近で切実な要求の実現をそれぞれの会が「区政策」に掲げとりくんだものです。

三宮巨大開発推進を掲げた久元氏も公示直前になって、「区の個性を活かしたまちづくり」をすすめるとして行政区政策を発表。市長選での与党陣営では異例のことでした。そのなかには、これまで日本共産党と住民が一緒になって神戸市に要望をしてきたものの、なかなか前進してこなかった要求も含まれています。

主なものでは、「学校給食、食育に商店街がかかわり振興」「東灘図書館跡の図書館機能の一部存続」「ポートアイランドと六甲アイランドに引っ越しシーズンの臨時行政窓口開設」「高齢者対象に神戸電鉄に新たな運賃値下げの支援策実施」「板宿駅の南口改札の設置」「垂水の市営住宅跡地売却は地域の街づくりを配慮」「西神中央駅に区役所分庁舎を整備」などです。また、コミュニティバスや巡回バス、地域観光バスなどの充実ももりこまれています。

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久元氏は十一月二十日に着任し、来年の予算編成の準備を開始します。この選挙戦を通じて、運動いかんでは市民要求が大きく前進できるかつてない条件が生まれています。


(2013年11月10日付「兵庫民報」掲載)

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