記事を検索

2013年11月17日日曜日

観感楽学

「今なお苦痛を忍びつつ、原爆症認定を待つ方に、一日でも早く認定がおりるように最善を尽くします」―安倍首相は今年の広島、長崎の平和祈念式典で述べた▼原爆症認定の却下取消しを求めた裁判で国の敗訴が相次ぎ、司法判断と認定制度の乖離を埋める目的で検討会が設置された。病気の原因が原爆の放射線にあるという「放射線起因性」の扱いが焦点だ▼十三人の委員のうち被爆者代表が二人だけという著しく公正さに欠けた検討会は、原爆放射線の関係が明確にならない病気は切捨てる考えでまとめようとしている▼被爆から六十八年経ち、病気が原爆に起因するかどうか専門家でも明らかにできないのが現実だ。これまでの判決は、「放射線の被爆線量や人体に対する影響には未解明な分野が多い」として、国が内部被曝、残留放射線被曝を無視していることを厳しく断罪、誤りとした▼すべての被爆者が地獄を体験し、何らかの放射線被害を受けている。裁判に訴えなければ認定しないという非人道的な行為を、平均年齢七十八・八歳になり病に苦しむ被爆者に続けさせてはならない。安倍首相は直ちに被爆の実相に合致した認定制度を実行するべきだ。(K)

(2013年11月17日付「兵庫民報」掲載)

日付順目次