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2013年11月3日日曜日

ネスレ争議:31年のたたかいで多国籍企業と対等に和解

世界最大の総合食品メーカー、ネスレ(本社・スイス)の日本法人ネスレ日本(神戸市)と、ネッスル日本労働組合、兵庫労連が、十月一日、三十一年にわたる労働争議について和解しました。多国籍企業に対して責任ある行動を求めた、経済協力開発機構(OECD)の「多国籍企業行動指針」にそった手続きで解決した日本初の事例となりました。争議解決にあたりネッスル日本労働組合本部委員長の播戸さんに寄稿していただきました。(見出しは編集部)

2010年2月の「ネスレ包囲行動」

深く傷ついた職場の人間関係も回復へ

ネッスル日本労働組合本部委員長 播戸夏樹

一九八二年の組合分裂以降、ネスレ日本による組合つぶしとのたたかいは職場でだけでなく、労働委員会闘争や裁判闘争としても取り組み、ネスレ日本を断罪する命令や判決を百件以上勝ち取ってきました。

一九九五年二月には、組合否認・支部団交拒否の不当労働行為事件で、組合は最高裁勝利判決を勝ち取り、以降、ネスレ日本に対し、「最高裁判決に従え」「日本の法律を守れ」と争議解決に向け、取り組みを強めてきました。

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二〇〇七年、日本共産党の笠井亮衆院議員がネスレ争議について国会質問し、麻生太郎外相(当時)から、OECDが定めた「多国籍企業行動指針」順守のために「連絡窓口をつくってのぞんでいる」との回答を引きました。翌〇八年、全労連、兵庫労連とネッスル日本労組は、そのOECD連絡窓口に、同「指針」に違反していると申し立て、事態が進展しました。

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そして、ことし十月一日、長い、長い争議でしたが、兵庫労連、ネッスル日本労組とネスレ日本との間で合意書に調印、また全労連とネスレSA(スイス本社)との間でも確認書が交わされて、和解しました。

調印式後、私たちに、「やっと解決した」という安堵感と喜びが湧きあがりました。

組合は合意について「ネスレ日本が、職場での人権侵害、いじめなど、差別的取り扱いの疑いをもたれる可能性のある行為がないよう努める。従業員への教育、訓練、注意喚起を行う」「ネスレ日本は、過去にあった最高裁判決をはじめ、裁判所、労働委員会の判決または決定内容を真摯(しんし)に受け止め、今後は順守することを表明し、本合意書に調印する」との合意内容と確認書をもって担保され、ネスレ日本がこれから過去の過ちを繰り返さないものと考えました。

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職場に組合員がいる間に、組合がある間に解決できたことは大きいと考えています。組合分裂以降、「挨拶するな」「話をするな」と圧力がかかり、職場の人間関係が深く傷つけられてきました。これから少しずつではあると思いますが、挨拶や話もできるようになっていき、職場と組合とのつながりも生まれてくると考えます。十月七日付「神戸新聞」で争議解決の記事を見た社員から早々、「終わったんやね」と傍目を気にしつつも声をかけてくる状況が生まれました。

全国のたたかう仲間、弁護団、民主団体のみなさんの物心両面でのご支援により、組合はつぶれることなく長い争議をたたかい抜くことができました。

心よりお礼申し上げます。

(2013年11月3日付「兵庫民報」掲載)

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