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2013年10月20日日曜日

観感楽学

「広島・長崎の原爆放射線による被爆をほとんどしておりません」―原爆症裁判で被爆者(原告)に対して国側が言い放った。わが耳を疑った。原爆の放射線を受けて病苦とたたかっている被爆者に言うことか▼「(福島原発の)汚染水は完全にブロックされている」「(水俣病の)水銀による被害は克服された」「(オスプレイの)日米合意に反した飛行はない」―国は被害者の実情を知らないはずはない。汚染水漏れは毎日のように報道され、水銀規制条約のために来日した百四十一カ国もの代表が水俣病被害者と面談、沖縄県は目視調査でオスプレイの運用違反の実例を三百十八件も明示した▼被害を目の当たりにしても平気でウソを押し通そうとすることに恐怖を覚える。原爆症問題でも被爆の実相に向き合おうとしない。国の認定制度が裁判で断罪されても制度の改善を図ろうとしない。日本は法治国である。法治国とは、すべての政治は憲法と法律により行われ、その最終解釈は裁判所が行うということだ▼数十回もの裁判の判断に従わない国の態度は法治国ということを否定するものだ。見ぬふり、ウソを通す、法を無視する―日本の政治の頽廃ぶりを示すものだ。(K)

(2013年10月20日付「兵庫民報」掲載)

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