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2013年10月27日日曜日

青年劇場『普天間』:神戸演劇鑑賞会11月例会

沖縄の過去と現在を紡ぎ出す



この舞台は、イントロダクションと十場面で構成されている。イントロダクションでは、「講演会」を聴くような感じで、観客は自由にメモが取れる仕様になっている。

二〇〇四年八月十三日。沖縄国際大学に、米軍のヘリが墜落した。夏休み中のことであったので、幸い死人は出なかった。舞台はこの事件の詳細をまず語る。

ヘリの尾がL字型に曲がっている部分が、唐突に折れ、機体から落ちた―生後六カ月の乳児が眠っている寝室に、二個のコンクリート片が飛び込んだ―等、墜落の模様を、事細かく描く。この細かい描写は、舞台が終わりになるまで続く。

この描写を繋ぎ合わせると、沖縄が辿ってきた戦後六十八年の歴史が浮かび上がってくる。『普天間』の舞台は普天間の基地の事だけを描いてはいない。

沖縄の人々の苦難の歴史を、劇作家坂手洋二のつぶさな観察と憤りで描いている。沖縄について知っていても、再認識を。知らなかったなら、目を開かされる。

そして、主人公、北峯美里は「沖縄の人たちは自分のペースでいきている。それは、怠慢や怠惰ではない。自分の生きたいように生きる心を大切に。沖縄の人たちのそれが戦いなんです」と語る。

舞台からの台詞のひとこと、ひとことが、観客に向けられているようで、大きな宿題のように感じて、胸が痛んだ。
(小谷博子)

青年劇場『普天間』/作=坂手洋二、演出=藤井ごう、出演=青木力弥・吉村直/①11月14日(木)18時30分②15日(金)18時30分③16日(土)13時30分/神戸文化ホール中ホール/会員制(入会時に入会金千円と月会費2カ月前納)、月会費3千5百円(大学生2千円、中高生千円)/☎078-222-8651、Fax078=222-8653、http://homepage2.nifty.com/kobeenkan/

青年劇場:http://www.seinengekijo.co.jp/frame.html


(2013年10月27日付「兵庫民報」掲載)

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