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2013年9月1日日曜日

映画『少年H』:平和への願い熱く

お盆休みに家族で出かけ、映画『少年H』を鑑賞する機会がありました。

『少年H』は原作も読みましたが、映画の方は妹尾河童氏の少年時代を再現するためにずいぶん苦労されたようで、戦前の空間に溶け込むようなリアルさがあり、それだけに胸を打つものがありました。長田や須磨、三宮などなじみのある場所で戦前の市民生活の軍国主義におおわれた重苦しさ、兵役を拒否して命を絶つ青年、空襲に逃げまどう親子や焼け野原に残された死体など戦争の無惨さ、年端もいかない中学生に軍事教練を繰り返す狂気が見事に描かれていました。そうした中で、人としての良心をまもり、「恥ずかしい生き方したらアカンよ」とこどもを諭す父親。「鬼畜米英」から「アメリカさん大したもんや」と手のひらを返したように変貌する大人に、海の流れに揺れ動く「ワカメや」と憤るH少年など、いくつものシーンが目に焼き付きました。

会場は満席で、この映画を通じて多くの神戸市民の中に「反戦平和」の願いが広がっていくのではないかという思いを熱くしました。

自民党の古参幹部が「最近の若手議員は本当の戦争を知らない」とぼやいていた新聞記事を見たことがありますが、国防軍だ、軍法会議だ、集団的自衛権だと安倍政権が騒いでも、戦争の記憶を消すことはできない。そして国民的反撃の力は戦前とは比べものにならない強さと広がりを持っている…そう確信させてくれた映画でした。
六甲おろし



(2013年9月1日付「兵庫民報」掲載)

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