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2013年9月1日日曜日

兵庫革新懇夏期一泊研修ツアー(1)

瀬戸内海の島々に戦争の傷跡を訪ねる

松田隆彦

毒ガス製造に中高生も動員され被害:大久野島(広島県)


兵庫県革新懇は八月二十五~六日、恒例の研修ツアーを行いました。激しい雨の降る中、車中で西沢慎代表世話人から原水禁世界大会の参加報告を受け、最初に向かったのは「安芸の小京都」と呼ばれる広島県竹原市。格子戸の町家が並ぶ美観地域を散策しました。


そのあとバスに乗ったままフェリーで大久野島へ、ここで平和学習ガイドの山内正之さんの案内で旧日本軍が毒ガスを製造していた跡地を見学しました。


島には毒ガス資料館が設置されており、旧日本軍の毒ガス研究と製造、人体に及ぼす影響、中国などでの毒ガス使用の実態、島に作られた工場での苛酷な労働と被害などが展示されています。第一次大戦で使用された毒ガスが、あまりに残虐であることから日本も賛成し国際的に禁止になった毒ガスを、ひそかに製造し使用したことは、重大な国際法違反でした。政府は毒ガス製造の事実を隠蔽するために、大久野島自体を地図から消すほどの徹底ぶりでした。

戦後、米軍の指導で貯蔵されていた毒ガスは、防空壕などに埋設、高知沖に海洋投棄など処分されました。ところが、東京裁判では七三一部隊の細菌兵器と並んで毒ガス使用も、アメリカの意向で裁かれませんでした。


毒ガス障害死没者慰霊碑前で山内さんは、毒ガス工場の従業員や学徒動員された中高生の受けた被害の実態を紹介。政府が、国際法違反を逆手にとって、被害者を救済しようとしなかったことを指摘し、高齢になった被害者が重度の気管支炎などで今も苦しんでおり救済法の制定が必要だと訴えました。

大久野島は戦後、朝鮮戦争時に米軍の弾薬庫に使用された後、一九六三年に国民休暇村が建設され、現在はうさぎが走り回る平和なリゾート地になっていますが、平和学習の地として学生や家族連れも資料館等を見学し、毒ガス製造・使用の犯罪性、残虐性、平和の貴さを知らせる島になっています。(続く



(2013年9月1日付「兵庫民報」掲載)

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