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2013年8月18日日曜日

観感楽学

六十八年目の「長崎の日」。安倍首相が原爆症裁判の控訴断念を表明した。八月二日に未認定原告八人全員が勝利判決を得た。原告は認定申請を長期間放置され、判決まで五年から七年もかかった▼被爆から六十八年経った今でも、被爆者には放射線による病気が出続けている。判決は、原爆放射線の人体影響について未解明な部分が多いことなど、科学的知見に一定の限界があることを前提に、国が内部被曝、残留放射線被曝を無視していることを断罪、誤りとした▼国は控訴を断念したが、個別の事例での判断と限定、原爆症認定制度全体の改善には手をつけようとしない。今も全国百人をこえる被爆者が訴訟をたたかっている。平均年齢が七十八・八歳になった被爆者が裁判をしなくて済むように原爆症認定制度の抜本的改善が急がれる▼判決が示したのは核兵器が人道に反するということ。原爆投下から六十八年経っても放射線による被害を人間に与え続けるからだ。低線量被曝、内部被曝が人体に無害でない以上、原子力発電所の稼働と存続は直ちに止めるべきだ。被爆者の味わった生き地獄を私たちが見つめることが核兵器を地上からなくす原点になる。(K)

(2013年8月18日付「兵庫民報」掲載)

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