記事を検索

2013年8月11日日曜日

石綿労災の時効を認めず:神戸地裁

国の不支給決定を取り消し


神戸港でアスベストの荷揚げ作業に従事して肺がんになったのに、時効を理由に労災の補償金が支払われなかったのは不当として、神戸市中央区の松本博さん(79)が神戸東労働基準監督署の不支給処分取り消しを求めた訴訟で、神戸地裁の工藤涼二裁判長は七月三十日、松本さんの請求を認め、国に対して不支給処分の取り消しを命じました。

松本さんは一九五二年から二十二年間、神戸港でアスベストなどの荷揚げ作業に従事。退職後の九七年に肺がんを発症、手術を受け予後は良好です。二〇一〇年に労災保険法に基づく障害補償給付を請求しましたが、神戸東労基署は病気と業務の因果関係を認めたものの、「手術から五年以上経過しており、時効により請求権はない」と不支給の決定をしました。

工藤裁判長は、石綿による肺がんは潜伏期間が三十~四十年と長いという特徴に触れ、「時効は、肺がんが業務に起因すると認識した時から進行する」と指摘し、石綿による健康被害が広く一般に知られた〇五年六月のいわゆる「クボタショック」を時効の起算点と判断し、十年の請求は時効に当たらないと、松本さんの請求を認めたものです。

松本さんは「時効を理由に切られたのは納得できなかった。主張が認められてうれしい。支援者に励まされて闘い続けて良かった」とコメントしました。
粕川實則=アスベスト尼崎の会)

(2013年8月11日付「兵庫民報」掲載)

日付順目次