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2013年6月23日日曜日

観感楽学

日本の「戦後生まれ」人口が一億人を超えた。総人口の七八・七%を占める。直接の戦争体験のない世代が圧倒的多数を占めるということだ▼「骨のうたう」の詩は、「戦死やあわれ 兵隊の死ぬるやあわれ 遠い他国で ひょんと死ぬるや」「国のため 大君のため 死んでしまうや その心や」と詠う。作者は竹内浩三。挺身隊としてフィリピン戦線に送られ四五年四月に二十三歳で戦死。「ひょんと死ぬる」ことの「あわれ」さ、無意味さ、無念の思いが伝わってくる▼歌手・田端義夫は、「人があっけなく死んでしまう戦争の残酷さを伝えたい」とこの詩に曲をつけステージで歌い続けた。「大利根月夜」などのヒット曲が戦局に合わないと軍部から批判され、慰問先の中国で直面した多数の死が根底にある▼「戦争っていやですね」と語る姿が印象的だ(映画『オース!バタヤン』)。木下恵介の映画『陸軍』は出征を見送る母親の姿を理由に上映中止に。木下の戦争体験は生涯、反戦を貫き多くの名作に結実した▼戦争を知らない安倍晋三、橋下徹らが憲法九条を目の敵にする暴走を国民が食い止めるには今こそ戦争体験者の継承のとりくみが重要になっている(K)

(2013年6月23日付「兵庫民報」掲載)

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