記事を検索

2013年6月16日日曜日

ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟:6月6日

被曝の影響否定する〝蒸し返し〟を批判

副島圀義

六月六日の法廷(大阪地裁)は、真鍋穣・滝本和雄両先生の医師証言です。

原告Tさんは長崎の爆心地近くで数日野宿。肝細胞がんで原爆症認定申請。

Sさんも長崎で被曝。甲状腺機能低下症・肝硬変で申請。

いずれも国に却下され、提訴しました。肝臓も甲状腺も、放射線による発病の可能性が高いことを国は、一般論としては認めています。しかし、個々の被爆者に対しては「原爆放射線が発病の原因とはいえない」と却下してきました。

この日の裁判でも、国側代理人は「飲酒歴があったのではないか」「喫煙歴はどうか」「いろいろな論文で、放射線被曝量と発病との因果関係は認められていないのではないか」と、いつもと同じ議論を蒸し返しました。

証人は、国側の「論点」のひとつひとつについて、懇切丁寧に反論しました。

―肝臓がん発病の放射線起因性は、確定判決で決着済。

―被爆者の場合、がん抑制遺伝子が損傷していたり、免疫力が弱っていたりして、ウィルス性肝炎に感染した時にそれが肝硬変、肝臓がんに進行する危険性は高い。

―放射性ヨードの半減期は短いが、崩壊するまでの間に損傷を与えた甲状腺(細胞・遺伝子)が、二十年以上も経ってから機能障害として発現する危険性はよく知られている。

―放射線量と発病との間に『統計的に有意な関係が認められない』としている諸論文も『関係がない、とはいえない』と断っている(高い放射線を浴びた被爆者の多くが早くに亡くなったことなど、データと解析の限界を認めている)。

―飲酒や喫煙はリスクファクターの一つではあるが、そのことは被曝の危険性を否定するものではない。

―などなど。

国側代理人が、甲状腺機能低下症と放射線の因果関係を否定しようとするのに対して、原告側弁護士が「厚生労働省も〝因果関係はあるから原爆症として積極的に認定〟としている。その前提を崩すような議論には異議」と申し立てる場面もありました。

(2013年6月16日付「兵庫民報」掲載)

日付順目次