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2013年5月19日日曜日

なまの舞台をごいっしょに:「てけれっつのぱ」

神戸演劇鑑賞会6月例会

原作は蜂谷涼。彼女は、北海道の小樽で小説を書き続けている。その傍ら、当地での文化活動にも活躍をし、小樽をこよなく愛する和服の似合う清楚な作家です。この原作が文化座の佐々木愛の目に留まった。さっそく、文学座の俳優であり、脚本も手がけている瀬戸口郁の所に持ち込まれた。原作の持っている味を損なう事なく舞台は出来上った。

車曳きの銀次が闇の中に浮かび上がる。懸命に銀次は車を曳く。しかし、鉄道馬車には到底及ばない。この車曳きの銀次を通して、世の中が移り変わってゆくことを、まず、観客に伝える。

江戸から明治へ。その少しあとの明治十四(一八八一)年の小樽。ニシン漁で賑わっているこの地に、政府は北海道開拓使を置いた。別所鐵太郎は開拓の陣頭指揮を執るために北海道へ渡ることになった。この時、別所の庇護を受けている元芸者のあや乃と女中のセキも同行する。

あや乃はこの小樽で、別所から独立をして、生計を立てる決心をする。煮物、代書、髪結い、なんでも商う「きし屋」をはじめた。店は大繁盛をするが……。

あや乃の周囲に集まった人と人の交流は、本当に頬笑ましい。加えて、心地よい台詞の流れが、人と人との絆に拍車を掛ける。しかし、時代に翻弄され、生き場所を失いながらもなお、前を向いて生きて行こうとする人たちに、感動もするが勇気も与えられる舞台です。

(小谷博子)



劇団文化座「てけれっつのぱ」/6月例会/6月9日(日)15時、10日(月)18時30分、11日(火)13時30分、神戸文化ホール中ホール/原作=蜂谷涼、脚本=瀬戸口郁、演出=西川信廣、出演=佐々木愛・阿部敦子他、/会員制(入会時に入会金1000円+月会費2カ月前納)、月会費3500円(大学生2000円、中高生1000円)/☎078-222-8651、Fax 078-222-8653、m


(2013年5月19日付「兵庫民報」掲載)

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