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2013年5月5日日曜日

観感楽学

五月の花はツツジ。県庁裏にある相楽園ではヒラド・キリシマなどのツツジが見ごろです▼相楽園は明治初めに三田の旧藩主に従って神戸に来た小寺泰次郎が資産家となり建てた邸宅でした▼この邸宅が数千人の市民に包囲され投石・乱入されるという小寺邸襲撃事件がありました。ちょうど百年前の一九一三(大正二)年二月のことです▼小寺泰次郎の子が小寺謙吉で、彼は明治晩期に欧米留学から帰ると若くして衆議院議員になります。当時は資産家が国会議員になる例が多いのです(戦後には最初の公選市長となります)▼事件の原因は、謙吉が、憲政擁護運動を進めていた国民党を抜け、首相となった桂太郎の新党に走ったことに抗議するものです。このとき全国で護憲派の民衆が騒動を起しています▼騒動参加者二百余名が検挙されうち半数が送検されますが、その職業は多岐にわたりほとんどの階層を網羅していました。つまり市民の多数派と言えます▼普通選挙ではない当時、これらの人々のほとんどは選挙権を持っていませんでした。政局に異議があっても、こういう形でしか表現できなかったのです。今なら投票で自分の意見を表明できます。(TS)

(2013年5月5日付「兵庫民報」掲載)

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