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2013年5月26日日曜日

ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟:5月16日

被爆の実相を正しく認識する―原爆症裁判は学びの場でも

副島圀義

五月十六日の法廷(大阪地裁)は、さながら、郷地秀夫先生(東神戸診療所長)を講師とした学習会。先生自身、法廷後の集会でその問題意識を披歴されました。

「フクシマの現実を見るにつけ、いかにヒロシマ・ナガサキの実相が知られていないか痛感する。初期放射線だけで十万人以上を殺したことを見るだけでも『フクシマではヒロシマ・ナガサキの何百倍の放射能が撒き散らされた』ということの間違いは明らかなのだが、今これを正さないと、放射線被害の過小評価に拍車がかかる」と。

―砂漠の核実験場と、水の豊富な広島・長崎とでは、「死の灰」の拡散の様子がまったく異なるのに、「黒い雨」等、放射性降下物の影響を無視するのは重大な誤り。

―福島で放出された「死の灰」は一部だが、広島・長崎では核反応しなかったウラン・プルトニウムも含む全てが飛散・降下した。

―身体全体にほぼ均等に当たり通過し測定しやすいγ線と、局部に強烈なエネルギーを照射するがわずかな距離で測定できなくなるα線、β線とを、同じモノサシで測ってはならない。

―強い放射線で細胞・組織自体が損傷を受けて起こる急性症状があったということは、遺伝子や染色体も傷ついたはず。その影響が病気として現れるのは一定の時間が経過してからだ。

―放射線も喫煙も、心筋梗塞の要因になる。ただし、喫煙はやめれば影響が低下するが、放射線の影響は消えない。

―原爆と病気の関係はまだまだ解明されていない。二千人の被爆者を診てきたが、原爆症だと確信をもって医師意見書を書いたのはその一割でしかなく、残念だ―などなど。

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国側代理人は放射線の影響を過小評価する文献などを引き合いに「反対尋問」しましたが、郷地先生はその一つひとつについて「文献の読み方」「その文献のもつ制約」「学会での論争点」にも立ち入って解明・解説しました。

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ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟の全面勝利をめざす支援の集い/6月1日(土)午後2時~4時半/大阪グリーン会館ホール(大阪市北区天神橋1丁目13-5)

(2013年5月26日付「兵庫民報」掲載)

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