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2013年2月10日日曜日

災害と障害者のつどい

災害と障害者・高齢者支援:地域づくりの重要性明らかに


参加者からの質問に答える中嶋氏ら


障害者・高齢者のための支援体制づくりの課題をテーマに二〇一三年災害と障害者のつどいが二月二日、神戸市勤労会館で開かれました。主催は兵庫障害者センター。

同センター理事長の藤原精吾弁護士が開会挨拶で「災害は社会のもろさをあらわにする。障害を持った仲間が阪神・淡路大震災や東日本大震災・福島原発災害など大災害をどう生き抜き、どのように命を落としたか、しっかり学び、これからの社会への教訓としたい」と呼びかけました。

特別報告は、宮城県の発達支援ひろがりネット代表・中嶋廉氏が「地域住民の連携が息子を助けた」と題して行いました。

仙台市郊外の新興住宅地・泉区館六丁目に住む中嶋氏は、共働き世帯で発達障害(自閉症)のわが子を守るためには親も地域と関わらなければと、東日本大震災以前から、近所の子育てのネットワークから町内会へとつながりを広め、町内会の安否確認行動計画をつくったところへ大震災が発生。一人で留守番をしていた息子のところへ三人もの近所の人が駆けつけ、水汲みなどのアドバイスをしてくれたため、息子もパニックに陥らずにすんだ経験を報告。

中嶋氏は、館六丁目町内会では住民全員が「公共」の担い手となること、正副会長は行政に要援護として登録している人以外の「要援護と思われる人」までの把握に日常的に努めること、要援護者と支援者を一対一と想定しないこと―などを防災計画に盛り込んでいたこと、特に「避難済み」の表示板を各戸に用意していたことで、震災時、要援護者への支援を速やかに集中できたことを紹介しました。またハロウィンなどを町内会でとりくみ、子どもと近所の大人たちが顔見知りになっていたこともあげました。

こうした町内会・住民のとりくみで震災から息子が助けられたと述べ、日常的に地域に参加することが防災でも重要だと強調しました。

二番目の特別報告「災害時要援護者名簿は有効に役立つ?」では、石巻市福祉総務課の久保智光課長と高橋幸主査が、東日本大震災での実態を報告しました。

津波被害地域では民生委員七人が死亡・行方不明となるなど支援者自身の安全確保すら困難で、要援護者の安否確認が困難だったこと、避難所での生活が困難で自宅へ戻った人もあり、ますます要援護者の所在がつかめず苦労したこと、一人ひとりを捜し出し、福祉避難所へ入所させたこと―など困難な状況を報告しました。

これらの報告をふまえて、神戸大学工学研究科の大西一嘉氏が「要援護者名簿の開示のために今、何が必要か」をテーマに講演。要援護者名簿の地域での共有、福祉避難所の指定・整備、支援体制の構築支援と人材育成をめざす神戸市の条例案も紹介。

障害を明らかにしたくないなどで同名簿への登録に不同意・保留した場合、その人は地域や行政からは見えないが、災害時にはそういう人にこそ支援が必要になるなどの課題も指摘しました。

質疑応答では、参加者から「聴覚障害者の中には手話でしか意思疎通ができない人もいる。一人ひとりが理解できる方法で知らせてほしい」「薬の避難所への備蓄が必要だが薬事法の制限がネックになっている」などの発言もありました。


(2013年2月10日付「兵庫民報」掲載)

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