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2013年2月17日日曜日

平野喜一郎氏がアベノミクスを『資本論』から批判

日本共産党明石市委員会が政策学習会


日本共産党明石市委員会は今の政治問題について連続的に学習しようと学習会を開催しました。第一回は二月八日、アベノミクスをどう見るかについて、平野喜一郎三重大学名誉教授が講義しました。

平野氏は冒頭、「アベノミクスで株価が上がって良いことだと、また円安になって良いことだと言われているが、とんでもありません。株が上がっているのは投機筋が釣り上げているだけで実態をともなっていません。また、円安といいますがそのもとで原油や食料品など生活に関わるものが値上がりしています」と指摘し、講義を始めました。

初めに、第一次世界大戦後の好況から世界恐慌を経てニューディール政策やケインズ主義の登場、ニクソンショックからレーガノミクスやサッチャリズムの登場、そしてリーマンショックへ至る道筋など大まかな経済史について講義しました。

その中で資本主義をどう捉えるかという問題で市場に規制をかけない自由放任主義が事態を深刻にしているという問題にふれ、この点で「ケインズは資本家の立場の経済学者であるが資本主義に対する態度では『それ自体としてみるかぎり、資本主義はきわめて好ましくない』とみており、『賢明に管理されるかぎり』他の制度よりましだとみていました」と紹介しました。

また、ブレトンウッズ体制に組み入れられ、一九七一年にそれが崩壊した後には八〇年代以降アメリカが不況を脱するため、日米構造協議を機に年次改革要望書によって日本に「構造改革」路線を強いてきたこと、そして現在のTPPで日本を飲み込もうとしていることなど、日本がアメリカに経済面でも従属されていく過程について明らかにしました。


そのうえでアベノミクスとは何かについて解明。まずその目玉の「大規模財政出動」については、「乗数効果の効き目も長く続かず、効果も下がっています」とバブル崩壊後の九〇年代に毎年十兆円ほどの公共事業をやったが効果がなかったという点を指摘しました。

そして「問題は、経営者が技術の創出や市場の開拓に挑戦せず、財政支出や企業減税に頼ったこと、金融機関が企業の成長を支えることをせずに投機に走ったことです。このままでは実体を伴わない株価の上昇が必ず破綻し、リーマンショックが再来します。そしてTPPによりアメリカはその損害と費用をいっそう日本に負担させるでしょう。こうした道を避けるためには、国民の所得を増やすことと、正社員が当たり前にして若者の実に半分が非正規雇用という現状を変えないといけません。さらに社会保障を充実させ、将来への生活不安をなくすことが大切です。『資本論』第三部では『すべての恐慌の根拠は資本主義の生産の衝動としての……生産力を発展させようとする衝動と対比しての大衆の貧困と消費制限である』とあります。今の日本がかかえる問題はまさにこの点にあります」と講義をしめくくりました。


(2013年2月17日付「兵庫民報」掲載)


*写真中に掲示されている平野氏のお名前の表記は間違っています。記事本文の表記が正しい表記です。

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