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2013年2月3日日曜日

観感楽学

厳しい寒さです。豪雪の予想もあります。しかし二月四日は立春。暦の上では「春」になります。俳句の季語では梅・椿▼梅は往古に中国から渡来し、椿はもともと日本列島を覆っていた樹です。どちらも花を観賞するだけでなく、梅干・椿油など役に立っています▼六甲山系の山麓にはヤブツバキが茂っています。六甲山系は明治晩期まで全くの禿山で、むき出しの砂肌が豪雨があると崩れたようです▼植林と砂防の必要を説いたのは、六甲山に日本で最初のゴルフ場を造ったイギリス人の貿易商A・H・グルームです。兵庫県知事に働きかけるとともに自らも植林を進めます▼明治末年に山麓住民が同氏の功績を讃えた「六甲開祖の碑」を山上に建てます。ところが日中戦争が進むと中国を支援するイギリス排斥運動が起きます▼昭和十五年秋、有野村村会が碑の撤去を決め、碑は倒され谷底に突き落とされます。戦後兵庫県が記念碑を建てますが、経過は明示されていません▼先年、中国雲南省の山奥で、「日中共同登山」の記念碑が削られているのを見ました。反日運動の徹底さに驚きました。六甲山の碑と言い、煽られるナショナリズムの怖さを示すものです。 (TS)
(2013年2月3日付「兵庫民報」掲載)

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