学校現場は超過勤務が常態に
兵庫教職員組合執行委員長 桑原敦文
兵庫の教育は、身を粉にして必死で奮闘している現場教職員によって支えられていると言っても過言ではありません。
今年、県教委が実施した「教職員勤務実態調査」では、一日当たりの超過勤務は、小学校で三時間十四分、中学校で三時間三十一分でした。しかし、現場の声は、「えっ、こんなに少ないか?」が圧倒的です。この結果は、四年前の調査とほぼ一緒で、県教委の超勤縮減策は何ら効果をあげていません。
配慮を要する子への対応と問題行動に追われる教員
二〇一一年度の兵庫県の暴力行為の発生件数は、千人当たり五・一件で全国平均の四・二件を上回っています。また、不登校も五千十七人(前年より百十六人増)で五年ぶりに増加しています。さらに、いじめ件数は、今年四月~八月の五カ月ですでに昨年の年間件数の一・七三倍です。
教員は、授業の教材研究、テストの採点、様々な文書の作成等のほかに、問題が起これば、朝早くから夜遅くまで個別指導や家庭訪問などに追われ、身も心もクタクタになっています。とくに、小学校の学級担任は、学年で相談しても保護者とは直接一人で対応することも多く、時には、個別指導のために授業を自習にせざるをえないこともよくあります。
今こそ35人学級の実現と教職員定数増を
国の学級編制基準は、小一で三十五人学級、小二は加配対応での三十五人学級。小三~中三までは、四十人学級です。兵庫の場合、三十五人学級を小四まで導入していますが、全国的には、すでに独自に中三まで実施している県も出てきています。
兵庫の現場の声は、切実です。「問題の多発する小学校高学年にも三十五人学級を」「不登校の増加する中一、受験に直面する中三こそ、きめ細かな配慮のできる少人数学級を県独自で」「誰も休まない、何も問題が起こらないのを前提としたような教職員定数では、いったんなにかあると途端に、どこかにしわ寄せがいく。多少、余裕のある教職員定数増を」等々。
身分不安定な臨時教職員をただちに正規雇用に
文科省の一〇年度調査では、教員定数の標準に占める正規教員の割合は、兵庫県は八八・五%で全国平均の九三・一%を下回っています。定員内臨時教員は、年々増加傾向です。短期間で異動する臨時教員は、身分・待遇が不安定で、力量があっても重責がなかなか担えません。その分、正規教員への負担は重くなります。
教育に臨時はありません。同様に、定員内教員に臨時があってはなりません。教育の協働性、継続性のためにも安上がりな教員配置はただちに改善すべきです。
トップダウンの強制ではなく各校の自主性の尊重を
兵庫県の教育行政の大きな問題は、各校の教育課程に介入する施策をトップダウンで押しつけていることです。広い県内に一律基準で強要される「自然学校、環境体験事業、兵庫型教科担任制、トライやるウィーク、わくわくオーケストラ」等々。
強制からは、主体的でやる気と活力のある教員は育ちません。現場を信頼してこそ、教職員の創意工夫も豊かな実践も生まれます。直接、子どもの教育に関わるのは現場教員ですから。
(2012年11月4日付「兵庫民報」掲載)