この夏、原発は必要なかった
原発をなくし自然エネルギーを推進する兵庫の会が、学習企画「この夏大飯は必要なかった」を9月5日、神戸市勤労会館で開きました。政府、財界、電力会社らが「原発を稼働しないと、この夏停電が大規模に起こる」と国民を脅し、福島原発事故の収束も事故原因の究明もできていないまま、国民の猛反対を押し切って大飯原発を再稼動させましたが、電力は不足せず、夏が終わろうとしています。この夏の電力はどうだったのか検証し、大飯原発再稼動で井戸敏三兵庫県知事の果たした役割や、関電神戸支店前で広がる一点共同のとりくみについても学ぼうと開催されたもので、約60人が参加しました。大飯原発分を超える電力が余った
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説明原発なくす会で報告する宮田県議を追加 |
はじめに原発なくす全国連絡会が作成した『エネルギーの未来を開く挑戦』DVDを視聴した後、電力兵庫の会の速水二郎氏が夏の電力需給がどうだったかについて講演しました。
速水氏は、戦後3番目の猛暑にもかかわらず、国民の節電努力もあり、大飯原発2基分236万kWを越える300万kWもの電力が余ったことを関電資料で説明し、原発ゼロでも乗り切れることが証明されたと強調。関電幹部も原発再稼働は電力不足でなく経営の問題が理由だと言明していることも紹介しました。
さらに電力会社・マスコミが広めた「原発を停めると液化天然ガスなどの燃料代で電気代が高くなる」との論は、極めて高い価格の燃料代で計算した数字で新たな脅しだと批判しました。
参加者からの質問に速水氏は、「関電は安全対策もおざなりで原発全機稼働を考えている」「原発は効率の悪い発電装置であり、自然に負荷をかけない自然エネルギーこそこれからの道だ」と答えました。
再稼働容認の見解をまとめた井戸知事
つづいて宮田しずのり日本共産党県議が報告。関西広域連合会長の井戸知事が5月30日、政府の意を受け、急いで容認見解をまとめたことが大飯原発再稼動へ道を開いたと指摘しました。
5月5日の泊原発停止で国内の全原発が停止となったもと、再稼働へ財界・電力会社による様々な策動があったこと、関西広域連合は関電はじめ財界人が役員に入り、財界と一体の組織であることも報告しました。
そのなかで、井戸知事が「原発をやめると電気代が上がり企業は海外に行ってしまう、単にやめろという主張にはついていけない」(6月会見)と述べるなど、原発からの撤退に背を向け、福井原発群で事故が起これば阪神各市の8割以上の給水源である琵琶湖に危険が及ぶことも認識していないと批判しました。
神戸支店前行動など反原発の共同広がる
「核兵器ゼロ!原発ゼロ!ZEROこねっと」の橋本銀河氏は、ZEROこねっとのよびかけで始まった毎週金曜日の関電神戸支店前行動について報告しました。
7月はじめ百人の参加で始まった行動が、8月31日にはネットやビラのよびかけで5百人による関電包囲に広がったこと、自発的参加の青年など半数が初参加であり、自由な鳴り物やアピールも行われ、反原発・非暴力で共同が広がっていることを紹介。さらに続けていきたいと語りました。
県知事選で流れ変えよう
最後にこの学習企画に協賛した憲法が輝く兵庫県政をつくる会の石川康宏代表幹事が挨拶。「現知事がどんな政治をしたかが来年の選挙で問われる。原発問題もその大きなテーマ。井戸知事は、先日の関西広域連合で原発再稼働が臨時的だったと他知事から意見が出ても、すぐにはとめないと却下するなど、財界のめざす方向と知事の姿勢は一致している。この流れを変えよう。来年の知事選へ向けて知恵と力を集めてがんばろう」と訴えました。
26日18時から県庁包囲行動
「原発なくす兵庫の会」は、この学習会を力に、9月26日午後6時から、井戸知事に抗議する県庁包囲行動を行うことを呼びかけています。
(2012年9月16日付「兵庫民報」掲載)