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2012年9月16日日曜日

原発なくし自然エネルギーを推進する兵庫の会が学習会

この夏、原発は必要なかった

原発をなくし自然エネルギーを推進する兵庫の会が、学習企画「この夏大飯は必要なかった」を9月5日、神戸市勤労会館で開きました。政府、財界、電力会社らが「原発を稼働しないと、この夏停電が大規模に起こる」と国民を脅し、福島原発事故の収束も事故原因の究明もできていないまま、国民の猛反対を押し切って大飯原発を再稼動させましたが、電力は不足せず、夏が終わろうとしています。この夏の電力はどうだったのか検証し、大飯原発再稼動で井戸敏三兵庫県知事の果たした役割や、関電神戸支店前で広がる一点共同のとりくみについても学ぼうと開催されたもので、約60人が参加しました。

大飯原発分を超える電力が余った

説明原発なくす会で報告する宮田県議を追加

はじめに原発なくす全国連絡会が作成した『エネルギーの未来を開く挑戦』DVDを視聴した後、電力兵庫の会の速水二郎氏が夏の電力需給がどうだったかについて講演しました。

速水氏は、戦後3番目の猛暑にもかかわらず、国民の節電努力もあり、大飯原発2基分236万kWを越える300万kWもの電力が余ったことを関電資料で説明し、原発ゼロでも乗り切れることが証明されたと強調。関電幹部も原発再稼働は電力不足でなく経営の問題が理由だと言明していることも紹介しました。

さらに電力会社・マスコミが広めた「原発を停めると液化天然ガスなどの燃料代で電気代が高くなる」との論は、極めて高い価格の燃料代で計算した数字で新たな脅しだと批判しました。

参加者からの質問に速水氏は、「関電は安全対策もおざなりで原発全機稼働を考えている」「原発は効率の悪い発電装置であり、自然に負荷をかけない自然エネルギーこそこれからの道だ」と答えました。

再稼働容認の見解をまとめた井戸知事

つづいて宮田しずのり日本共産党県議が報告。関西広域連合会長の井戸知事が5月30日、政府の意を受け、急いで容認見解をまとめたことが大飯原発再稼動へ道を開いたと指摘しました。

5月5日の泊原発停止で国内の全原発が停止となったもと、再稼働へ財界・電力会社による様々な策動があったこと、関西広域連合は関電はじめ財界人が役員に入り、財界と一体の組織であることも報告しました。

そのなかで、井戸知事が「原発をやめると電気代が上がり企業は海外に行ってしまう、単にやめろという主張にはついていけない」(6月会見)と述べるなど、原発からの撤退に背を向け、福井原発群で事故が起これば阪神各市の8割以上の給水源である琵琶湖に危険が及ぶことも認識していないと批判しました。

神戸支店前行動など反原発の共同広がる

「核兵器ゼロ!原発ゼロ!ZEROこねっと」の橋本銀河氏は、ZEROこねっとのよびかけで始まった毎週金曜日の関電神戸支店前行動について報告しました。

7月はじめ百人の参加で始まった行動が、8月31日にはネットやビラのよびかけで5百人による関電包囲に広がったこと、自発的参加の青年など半数が初参加であり、自由な鳴り物やアピールも行われ、反原発・非暴力で共同が広がっていることを紹介。さらに続けていきたいと語りました。

県知事選で流れ変えよう

最後にこの学習企画に協賛した憲法が輝く兵庫県政をつくる会の石川康宏代表幹事が挨拶。「現知事がどんな政治をしたかが来年の選挙で問われる。原発問題もその大きなテーマ。井戸知事は、先日の関西広域連合で原発再稼働が臨時的だったと他知事から意見が出ても、すぐにはとめないと却下するなど、財界のめざす方向と知事の姿勢は一致している。この流れを変えよう。来年の知事選へ向けて知恵と力を集めてがんばろう」と訴えました。

26日18時から県庁包囲行動

「原発なくす兵庫の会」は、この学習会を力に、9月26日午後6時から、井戸知事に抗議する県庁包囲行動を行うことを呼びかけています。

(2012年9月16日付「兵庫民報」掲載)

日本共産党第72回兵庫県党会議

選挙勝利へ強く大きく


日本共産党の第72回兵庫県党会議が9月9日開かれ、「兵庫県党の2012、13年総合計画」を決定し、「党創立90周年をめざす党員拡大を中心とした党勢拡大大運動」の到達点と教訓に立ち、「大運動」目標を総達成する意思統一を行いました。またその先頭に立つ県役員を選出しました。

県委員会報告で岡正信県委員長は、「大運動」の到達・教訓を報告した上で、「総合計画」に沿って提案しました。

(1)迫る解散・総選挙に向け、国政の重要課題について「2大政党」づくりの破綻という新しい情勢のもと、①改革と展望を示すたたかい②様々な分野での一致点に基づく共同③「維新の会」など閉塞状況につけこんだ反動的逆流とのたたかい―の「三つの政治的探求」をすすめる。

(2)総選挙・参院選で兵庫から国会議員を誕生させる。2013年の知事選・神戸市長選など住民本位の地方政治をめざす。

(3)総選挙勝利、多数者革命を担いうる強く大きな党づくり。

さらに、党会議を機に、書記局よびかけ・幹部会声明に基づく9月の奮闘を呼びかけました。



討論では―「支部がないからと入党の働きかけを迷っていた。ないなら支部をつくろうとすべての読者に呼びかけたら、次々と応じてくれた」

「正当な要求を掲げても通るとは限らないが、たたかわなければ壁にぶつかれない。そのなかで入党した労働者が日本共産党綱領を学び、展望をつかみ、社会発展と自分の人生を重ねている」

「鯉の飼育や庭づくりのさかんな地域で、それを話題に対話しながら『赤旗』購読などを訴えている。つながりが生き、“党勢拡大は楽しい”」など「大運動」の成果や教訓が語られました。

また、民青同盟の県・地区を担う青年党員4人も発言し、次々と青年を党に迎えている経験を語りました。新婦人グループからも3人が発言し、運動の継承をはかるためにも子育て世代を党に迎えようと取り組んでいることを報告しました。

職場支部を支部会議を軸にねばりづよく援助した経験、支部が主役の活動を促進する補助指導機関の役割の重要性も発言で明らかにされました。



嶋田正義福崎町長は来賓挨拶で、政府が日本国憲法を暮らしに生かすことに責任を持てば、地方自治体はもっと役割を発揮できると指摘。「経済提言」は日本共産党の大きな資産であり、これを持って、もっと広く打って出てほしいと強調しました。


衆院選・参院選の候補者も勢ぞろいし、決意を表明しました
(写真は堀内照文衆院比例候補の挨拶)

(2012年9月16日付「兵庫民報」掲載)


憲法が輝く県政へ(14)

公契約条例で安全・豊かな地域

兵庫自治体労働組合総連合執行委員長 森栗 強

「公契約条例」は、2009年9月に全国で初めて千葉県野田市で制定(翌年2月施行)され、その後、川崎市、相模原市、多摩市、渋谷区、国分寺市で実現している。そのほか、札幌市などでも条例実現の動きが出ている。

「公契約条例」の運動はもともとアメリカ等の「リビングウェジ(生活賃金)条例」を基本にしていた。しかし、生活賃金、労働者の賃金保障だけがねらいではなく、自治体の役割を果たす上で、多くの側面を持つ。

①生活賃金・良質な公的サービス確保


1点目は、「生活賃金・良質な公的サービスの確保」である。

低賃金の仕事に市外からわざわざ交通費を使い勤務する人はいない。そのほとんどが市民であり、行政は「市民の生活」に責任を持つ責務を有している。市民の福祉向上のために「公契約条例」の意義がある。

②地元事業者の育成


2点目は、「地元事業者の育成」の側面である。

中小都市の市内事業者は、ほとんどが中小企業であるが、自治体の財政難とも相まってダンピングが横行している。

そのダンピングで受注するのは東京・大阪に本社を構える大手企業であり、市内事業所は下請けとして安値で仕事を押し付けられ、儲けは東京・大阪の大手が吸い上げるという重層構造・「ピンハネ」の構図が広がっている。

また「適正な価格競争」が阻害された例もある。京都市で、地デジ化により、市内の学校のテレビを一斉に入れ替える事になったが、入札の結果、大手家電量販店「ヤマダ電器」が受注。地元の小売店は排除されたため、市民から批判の声が上がった。

不当なダンピングを防止し、適正価格での競争によって市内事業者が受注できるように役立つのが「公契約条例」である。

③防災・減災でも地元業者の強み生かし


3点目は、「防災・減災」の側面である。

地元の事業者が様々な仕事で「街づくり」に参加することで、市民目線で意見を持ち、行政への参画の道が開く。それにより、防災計画も行政からの1方的な計画でなく、市民自らのものとなる。

受注業者と災害時の協定を締結し、建物・施設や上下水管などを即座に点検・修復するなど、地元ならではの強みを生かすことができる。

④地域経済の再生


4点目は「地域経済再生」である。

地元事業者の育成により、地域内・地元に「お金」が還元され「地域内再投資力」が増す。地域経済の再生は主に中小企業の活性化が不可欠である。

その意味では「公契約条例」だけでなく「中小企業振興条例」も合わせての制定運動が重要である。2010年6月18日に「中小企業憲章」が閣議決定をされており、その意味では「公契約条例」より進んでいるとも言える。

東日本大震災からの復興でも重要に


東日本大震災でも、これから復興事業に多額の財源が投入される。無駄な大型公共事業は反対であるが、震災復興はどうしても大型公共事業が必要になる。

その時に大企業だけが「ぼろ儲け」をするのでなく、被災地で適正に復興財源が還流されることが求められる。その事が「人間復興」「生活復興」と密接に関係している。

震災復興闘争に「公契約条例・法」制定の観点を前面に押し出す必要がある。

(2012年9月16日付「兵庫民報」掲載)

県知事選挙まで1年―憲法県政の会が地域のつどい

憲法が輝く県政へ語り合う


憲法が輝く兵庫県政をつくる会は各地域で「県政報告会・県政要求を語るつどい」(「地域のつどい」)を開催しています。

小野:地域経済振興や防災にこそ

小野での「地域のつどい」で報告する田中事務局次長

小野市内で9月8日、開かれた「地域のつどい」には三木市、はりま中央、西脇多可の三つの地域の会の代表らが参加しました。

田中邦夫事務局次長は、映像で2009年知事選のたたかいをふりかえりながら、冊子「ウィーラブ兵庫」の発行など学習を力に地域の会の広がりを追及してきたことを報告しました。来年2013年の知事選にむけニュースの発行とともに、会の公式ホームページやツイッターの立ち上げ、ブログの充実や動画配信など新しい挑戦にもとりくんでいることを紹介しました。

参加者との意見交換では、市町合併による過疎化、地元に仕事がなく土木・建築業者が京阪神まで足をのばし低単価でやっと仕事を得ている現状などが報告されました。

参加者は、「織物の機械が国内で調達できず、もはや地場産業とは言えない」「復旧工事に終わっている河川改修を本格的にすすめてほしい」「神戸電鉄粟生線や地域のコミュニティーバスなど公共交通支援の政策を」「大型開発優先から地域循環型の県政に転換が必要だ」と発言。「県民の命と暮らしを支える県政を実現しよう」と話し合いました。


尼崎:地域の会が大きな役割

尼崎での「県政報告会」で報告する田中代表幹事

尼崎でも同じく8日、尼崎市労働福祉会館で「県政報告会」が開かれました。

代表幹事の田中耕太郎氏は、憲法県政の会では「地域の会が大きな役割を果たしている」と強調。会として、自然エネルギーや防災の学習会と知事選1年前の宣伝行動としてとりくんだことなどを報告。「景気、産業、雇用」「生きる希望のもてる兵庫県に」を訴え、「『輝け憲法』をキーワードに県民に伝えていきたい」と訴えました。

また、日本共産党の宮田しずのり県議からは、県「行革」で、こども医療費、重度障害者医療費助成の所得制限強化、借り上げ住宅の追い出しなどの一方で、大型開発の温存、パナソニックへの多額の補助金の問題点などを指摘。井戸知事が原発再稼働や消費税増税などで悪い役割を果たしていること、「県立こども病院のポーアイ移転」「塚口病院跡地」「園田競馬のナイター」「南海トラフ大地震への備え」など、いまの県政上の課題を報告しました。

フロアからは、「学区拡大でなく、尼崎の子どもは尼崎で育てよう」(高教組)、「子どもの医療費を全県で無料に」(新婦人)、「中小業者のために住宅リフォーム助成制度の実現を」(民商)、「保育の新システムの問題は大きい」(尼保連)などの発言がありました。

最後に、畠山和雄事務局長から当面の運動提起があり、参加者で確認されました。

(2012年9月16日付「兵庫民報」掲載)

フレッシュ ヴォイス(2)

美容師になるため社会のことも学ぼう

Sさん(東灘・灘・中央地区)

最初、党に入らないかと誘われた時、正直嫌でした。別に親も共産党員ではないので、全然わからなかったし、むしろ興味がなかったのです。

私の夢は美容師になることです。

そこで、党員のなかに美容師がいると聞いたので、その方たちに話を聞くことにしました。

その方の話を聞いたときに思ったのが、社会のこと何にも知らずに職に就くより、社会の事を知ったうえで職についたほうが断然いい、ということです。いつか店を持った時に政治・経済のことを知らずして働くとなると、大変だとわかりました。

だから、私は勉強をしなければならないと思い党に入ることを決断しました。

今回(8月末)は参加できなかった福島へのボランティア活動などにも、今後、参加したいと思います。


(2012年9月16日付「兵庫民報」掲載)

兵庫労連第44回定期大会

構造改革政治との正面対決

大会で選出され1人ずつ自己紹介する兵庫労連の新役員

兵庫県労働組合総連合(津川知久議長)の第44回定期大会が9月8日、神戸市勤労会館大ホールでひらかれました。運動方針として「原発の再稼働反対、原発ゼロへ。憲法を暮らしにいかし、雇用の安定、社会保障が充実した地域社会の実現」を全代議員の賛成で採択しました。開会挨拶で津川議長は「民主党は総理が替わるたび、自民党の構造改革路線にすり寄っていった。参院で7野党共同提案の野田首相問責決議に、国民はまったく同じ思い」と述べました。

北川伸一事務局長が運動方針を提案。5つの重点項目として▽構造改革政治阻止、住民本位の震災復興実現▽働くルールの確立、雇用・賃金の安定▽憲法を守り暮らしにいかす▽貧困と格差をなくす▽組織拡大―を掲げました。構造改革政治との正面対決、税と社会保障の一体改革を実行させない大運動、環太平洋連携協定(TPP)反対への積極的参加を強調しました。

2つの争議団が支援を訴えました。「橋下徹市長による職員思想調査は憲法違反」(大阪市・思想調査国家賠償請求訴訟原告団)、「ものを言う組合を排除し安全がないがしろにされている」(JAL不当解雇撤回裁判原告団)と呼びかけました。

つづいて活発な討論がおこなわれました。

「朝日新聞阪神支局襲撃事件から25年。事件風化を許さないとりくみをつづけている。労働者がファシズム阻止の先頭に立っている」(西芦地域労連)

「30年にわたる争議で100件以上の勝利判決命令を勝ちとった。ここ2年、会社の姿勢が大きく変わり『争議を解決したい』と言いだした」(ネッスル労組)

「計画的廃業、組合つぶしなどの不当労働行為に対し、地労委に救済を申し立て闘っている」(宝塚映像労組)

「全国教研集会を延べ7千人を超える参加で、右翼と権力からの妨害をはねのけ、神戸で成功させた。兵庫労連の多くの仲間に支えてもらった」(高教組)

「悪政と闘う但馬大集会を11月6日に計画している。実行委員会で要求がたくさん出された」(但馬労連)

「兵庫県の最低賃金が10円引き上げられたが、大阪府との差は51円。大阪と尼崎は同じ経済圏なのに差が開いていく。全国一律最賃をめざす」(尼崎労連)

「トムソン正社員化裁判闘争は、最高裁が弁論を開かないまま、大阪高裁の不当判決を是認した。早期解決めざし会社との交渉をつづける」(JMIU)

「私たちが市民からのアンケートをもとに要求した高齢者見守りネットワークが実施されることになった。誇りをもってとりくみたい」(自治労連神戸市水道サービス公社労組)などが出されました。(2012年9月16日付「兵庫民報」掲載)

オスプレイ配備反対で連帯:沖縄県民大会

兵庫県からも代表団参加


「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」(実行委員会主催)が9月9日、宜野湾市の宜野湾海浜公園でひらかれました。

市議会議長会長の永山誠廣那覇市議会議長が開会宣言。「警告」を込めたシンボルカラー「赤」を身につけた人びと10万1千人で、会場は埋まりました。

大会には宮古、八重山大会も含め、沖縄県全市町村の首長や国会議員、地方議員が超党派で駆けつけ、事故を繰り返すオスプレイは「構造的欠陥機」であるとして、普天間基地への強行配備に「ノー」を突きつけました。

兵庫県からも安保破棄県実行委員会、平和委員会、民医連、兵庫教組、大学生ら10余人が参加し、沖縄県民と心ひとつに、オスプレイ強行配備反対の声をあげました。

(2012年9月16日付「兵庫民報」掲載)

はたらく女性の兵庫県集会

安心安全な社会めざし


「とりもどそう安心安全な社会を、手をつなごう輝いてはたらくために」を合い言葉に第31回はたらく女性の兵庫県集会(実行委員会主催)が9月9日、神戸市婦人会館でひらかれ、約80人が参加しました。

最初に実行委員会から「民主党政権は自民党政治と何ら変わりなかった。橋下維新の会も地元大阪では化けの皮が次つぎはがれている。政治を変えようと国民運動が広がっている。私たちも呼応し頑張ろう」と呼びかけられました。

産業カウンセラーの大槻久美子さんが「働く女性のメンタルヘルス」と題し記念講演。自殺者が年間3万人を超えるようになった背景に、01年小泉構造改革によるリストラの始まりを指摘しました。

運動交流では、はじめに兵庫教組代表が過重労働による疾病の公務災害認定を勝ちとった船越賀代子さんの裁判を報告。

また郵政産業ユニオン神戸中央支部が期間雇用社員雇い止め裁判を闘う中島道子さんへの支援を訴えました。

ゼロこねっとは毎週金曜の原発反対関電前行動を報告しました。

(2012年9月16日付「兵庫民報」掲載)

震災1年半:学校被害のいま

稲次 寛(北はりま教育9条の会事務局長)

山元町中浜小学校グラウンドに山積みの車

東日本大震災から1年半を前に、学校の被災実態を知るため、北はりま教育9条の会の仲間2人で8月末、宮城県を訪ねました。現地では宮城歴史教育者協議会の手代木彰雄さんがガイド役を務めてくれました。

名取市閖上(ゆりあげ)地区は、車で避難する人で交差点が大渋滞し多数の犠牲者が出ました。閖上小学校体育館には位牌やランドセル、衣類、写真などが展示してあります。子どもたちは2階に避難し助かりました。

山元町中浜地区は平野部で高台がありません。小学校の子どもたちは校舎3階へ逃げ無事でした。決められた避難場所は2km離れた坂元中学校でした。津波襲来まで一刻を争うなか、小学生に避難路2kmは無理です。校長の判断が生死を分けました。

仙台市の海岸部、荒浜小学校周辺も高台がなく、住民ともども4階まで避難しました。

石巻市門脇地区の住民は小学校に避難しましたが、押し流されてきた車の火災が引火。裏の日和山へ逃げて助かりました。焼けた校舎が残っています。
被災地にビルが横たわる女川町

女川町では町立病院から被災地を一望しました。横たわったビルの3つを残存することが決まっています。

石巻市大川小学校に建つ慰霊碑
河口に近く児童の7割が行方不明になった石巻市大川小学校の慰霊碑前には、私たちが訪れた日も手を合わせる人たちがいました。

現地で、自然の力、津波の威力を教えられました。津波で助かった例と犠牲になった例は、紙一重の差です。

間借りで授業を再開していますが、県が学校統廃合を進めているのも問題です。現地で話を聞くことの大切さを実感しました。

(2012年9月16日付「兵庫民報」掲載)

ひなたぽっころりん(500)


(2012年9月16日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

事故多発の米軍欠陥機オスプレイが日本全国で低空飛行訓練を計画している。イエローやピンクなどと名づけられた訓練ルートで年間333回以上も飛行する計画▼兵庫には島根から朝来市の生野ダムにいたる「ブラウンルート」が通る。訓練ルートと言っても米軍が一方的に設定しているもので、但馬地域のハチ高原などで1994年ごろから始まり、年間85日目撃された年もある。敵地に百~数十mの低空で攻め入るなどの訓練が行われ、子どもが爆音に驚いて高所から転げ落ちた、自治体の会議が中断したなどの被害も報告されている▼県施設で県職員が配属されている生野ダムが「攻撃目標」となり堰堤すれすれに飛び去る姿も目撃されている。氷ノ山には絶滅危惧種のイヌワシが生息している。個体数の減少に米軍機の低空飛行の影響も指摘されている。そこへオスプレイだ▼兵庫県は政府に、オスプレイが訓練すると分かった場合、直ちに説明し、米国に「危険や騒音など県民への影響がない対応をとるよう」働きかけることを求める「要請書」を提出。事前通告などしない米国に、配備やめよ・訓練するなとしっかり迫ることが肝心なのだが。 (K)

(2012年9月16日付「兵庫民報」掲載)