ポートアイランド移転見直しを:山下よしき議員が参院行政監視委員会で追及
山下議員は、「私たちは兵庫県立こども病院の神戸ポートアイランドへの移転に反対します」と書かれた2回の意見広告(4月、6月)を資料配布し、兵庫県と神戸市の医療関係団体がこぞって反対していることを知っているかと質問。
辻泰弘厚労副大臣(兵庫選出)は「県が総合的に勘案して決めた。防災面は対策がとられる」と県とまったく同じ姿勢で答弁しました。
対策要する場所へ、なぜわざわざ移転
これに対し、山下議員は、医師会の批判は「対策をとらなければダメなリスクの高い場所になぜわざわざ移転するのか」という点にあると追及。県産科婦人科学会会長と県小児科医会会長が連名の反対声明で、「大災害時に県立こども病院の救急医療機能が制限されることは、まさに県の小児・周産期救急医療の破綻を意味する」「大災害発生時にこれらの重症患者に対して安心・安全な医療を長期・安定的に施すことは極めて困難。県の兵庫県地域医療再生計画にはこの視点が全く欠落している」と指摘していることを紹介すると、小宮山厚労相は「指摘は重要。対応が必要」と答弁しました。
中央防災会議中間報告を踏まえる必要――厚労相が認める
山下議員の質問に対し、中川正春防災担当相は、 中央防災会議の「南海トラフ巨大地震対策について(中間報告)」(7月19日)は、「発生頻度は極めて低いものの、発生すれば甚大な被害をもたらす最大クラスの津波」に対し、「(病院などの)施設を浸水の危険性の低い場所に立地するような配置の見直しなど、地域の実情等を踏まえた津波対策を講じることが必要」と明記していると答弁しました。
これを受け、山下議員は、「災害時に拠点となる高度医療機関の新設・建て替えに際しては、中央防災会議の『中間報告』の指摘を踏まえる必要があるのではないか」と厚労相に問いました。
小宮山厚労相からは、「拠点病院の移転に際しては中間報告を踏まえる必要がある」と重要な答弁がありました。
山下議員は、県立こども病院のポートアイランド移転は中央防災会議の提起に対する「逆行」だと強く批判しました。
県立こども病院の移転・建て替え計画には厚労省の「地域医療再生基金・交付金」が利用されることになっていることについて山下議員は、この計画を強行して、果たして「地域医療再生」に資するのか、計画の再検討が必要ではないか、と厚労相に迫りました。
小宮山厚労相は、「厚労省としても、基金を使ったり、バックアップしていく立場なので、指摘の懸念が生じないよう目配りしていきたい」と答弁しました。
政治の責任で「地域医療再生」計画見直しを
山下議員は「目配り」だけでは足りないと述べ―
- ①医師会はじめ地元医療関係団体がこぞって反対している計画を強行すれば、安心・安全な地域医療構築にあらたな障害をつくる―
- ②県立こども病院のポートアイランドへの移転も含む「兵庫県地域医療再生計画」(昨年11月)がつくられた後で、中央防災会議の「中間報告」(7月)が出たのであり、事態は変わっている―
- ③ポートアイランドへの移転・建て替えの「設計」も「用地取得」もまだ済んでいない―
―の3点を挙げ、「このまま移転計画を進めて取り返しのつかない事態を招いてはならない。それが政治の責任だ。厚労省として主導的に調査し、計画の見直しも検討すべきではないか」と再度答弁を求めました。
小宮山厚労相は、「懸念がないよう検討する」と答弁しました。
(2012年9月2日付「兵庫民報」掲載)