自治体の平和力の出番
原水爆禁止兵庫県協議会事務局長 梶本修史
私たちは、前回の知事選前に「平和を発信する兵庫県政に」と訴えました(『ウィーラブ兵庫』/08年2月発行)。米国がアジア太平洋地域を重点に軍事力の再編強化をすすめ東アジアの緊張を高めている中、日本海と太平洋とに接し、アジアに隣接する兵庫県が「平和発信基地」となることを打ち出してはどうでしょうか。
広島市は被爆70年の節目に当たる2015年に、核拡散防止条約(NPT)再検討会議の広島開催を提唱しています。長崎市とともに主導する平和市長会議は、「核兵器禁止条約の早期実現」を要求して政府と国連への要請、世界の加盟都市での原爆展、市民署名活動などに取り組み、自治体が平和構築の任を担う構えを見せています。
全国の姉妹都市・友好都市は、第2次大戦による荒廃を体験し、国境を越えた市民間の交流で相互理解を深めることで世界平和に寄与する、との目標で始まりました。外交は国の専管事項ではなく、地方自治体も重要な役割を果たすのです。
兵庫県も「関西広域連合」ならぬ「関西平和地域連合」を提唱してはどうでしょう。
関西6府県204自治体で平和市長会議へは159自治体が加盟しています(80.3%/府県は市長会議の対象外)。非核宣言はさらに189自治体(92.6%)。残すは、わずか15自治体だけ。全自治体が非核宣言を行った「平和地域連合」は、地域ぐるみで非核・平和の東アジアづくりの役割を果たすのです。
兵庫県は「北東アジア地域自治体連合」に加わっています。
6カ国(中国、日本、モンゴル、韓国、北朝鮮、ロシア)、70自治体が加盟する同連合は、「互恵・平等の精神に基づいて…全ての自治体の交流協力のネットワークを形成」「世界平和に寄与する」との目的を掲げています。
この「連合」の機能を高めるためにも、県段階で唯一非核宣言をしていない兵庫県が変わらねばなりません。この「平和地域連合」で、経済、教育、文化・スポーツなど多面的な自治体外交を展開するのです。
この憲法県政は、非核「神戸方式」という世界が賞賛する「平和発信」の好例も加わって、緊張がつづく北東アジアと日本の非核・平和づくりを間違いなく前進させる力になります。
(2012年6月24日付「兵庫民報」掲載)