社会保障充実と財政危機打開の展望
フランス大統領選で増税と大企業甘やかしに厳しい審判
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「提言」ダイジェスト版を手に解説する小池氏 |
小池氏は、フランス大統領選ではサルコジ前大統領が消費税1.6%増税と法人税引き下げを提起し、国民の厳しい審判を受けたことを紹介。5%もの消費税引き上げをねらう野田政権は、世界の大きな流れから見ても行き詰まった方向へ突き進んでいると批判しました。阪神・淡路大震災直後97年の増税と同様、東日本大震災復興への希望を奪うばかりか、貧困が全国で広がっている今、増税は許されないと強く訴えました。
「提言」ダイジェスト版3ページのグラフを示し、96年度より2010年が税収が14兆円減っているのは、消費税増税で景気が冷え込んだ結果であり、今増税すればますます税収は減り、社会保障の財源が出てくるわけはないと指摘しました。
一方、年金減額、介護保険料値上げ、後期高齢者医療制度廃止の先送り・保険料値上げなど、負担増のオンパレード。その上、国会議員定数削減までねらう野田政権に対し、社会保障を大改悪した上での消費税増税は絶対に許さない、その一点でのたたかいを広げようと呼びかけました。
国民の所得増やす経済対策を社会保障再生と並行して
小池氏は、税や社会保障の改革と、国民の所得を増やす経済対策とを並行して進めることが鍵になっている、社会保障を充実すれば国民の懐を温め、また、社会保障そのものが雇用を生み出す力を持っている、と指摘。
経済を民主的に改革―人間らしく働けるルールをつくる、中小企業への支援とあわせ、時給1,000円以上をめざす。TPPを許さず、原発ゼロ・自然エネルギーで地域経済を活性化などによって日本経済のまともな発展を実現。その結果、社会保障財源も豊かになり、財政危機打開の道を開くことにもなると示しました。
借金については、日本だけが増えているわけではなく、ドイツでも、高齢化が進み、国民の要求も高まり、借金は増えていますが、対GDP比でみれば日本だけが突出しています。
国の経済の規模に照らし借金が多すぎることは大問題ですが、その原因がGDPが伸びていないことにあると解明しました。
こういう時期に消費税を増税すれば、ますます景気が冷えこみ、本当に借金が返せなくなると指摘し、この点からも、社会保障と経済の抜本的改革が求められていると述べました。
聖域なくムダを削り、大企業減税は止めて財源に
医療の窓口負担引き下げ、高すぎる国保料引き下げ、後期高齢者医療制度・障害者自立支援法の廃止、特別養護老人ホーム・保育所の待機をゼロに、などの「社会保障の再生計画」を「提言」ダイジェスト版4~5ページで説明した上で、その財源の第一の柱として、軍事費、原発予算、大型開発、政党助成金など聖域なくムダを削ること、第二の柱として、ごく一握りにすぎない富裕層に増税し、大企業については減税を止めること―で12兆~15兆円の財源を確保し、社会保障再建、農林水産業・中小企業支援、環境対策などにまわしながら、財政危機打開をすすめると解説しました。
社会保障拡充と経済対策で好循環起こそう
小池氏は、日本共産党の「提言」は、この間の「構造改革」によって壊された社会保障を再生させるだけでなく、すでにヨーロッパで実現している先進的な社会保障も日本の経済力をもってすればできるはずであり、そこへ進むことを提案していると述べました。
最低保障年金制度、医療費の窓口負担無料化、大学学費無料化など、世界の流れになっている社会をめざすこと、こうした政策に踏み込むための財源は、国民全体でつくっていこうと率直に提起していることを紹介。
しっかりと所得が増える経済対策を前提に、応能負担という税の大原則に基づいて所得税の累進課税で社会保障財源に回します。内需主導の経済成長でさらに税収が増えるという、好循環を起こし、社会保障を抜本的に拡充しながら財政再建の道を開くことを提案。大きく日本を変えるために力を合わせましょうと呼びかけました。
(2012年5月20日付「兵庫民報」掲載)