残業なしに生活できる賃金へ大幅引き上げ
「正社員が当たり前」の雇用実現を
日本共産党川崎重工委員会は、昨年末から正規社員、非正規社員を対象に「人間らしい労働と生活」実現の要求アンケートにとりくみ、このほど137人から回答をえ、その集計結果を職場新聞「はぐるま」2月号外に掲載し、県下の川重工場門前で配布・宣伝しました。
東日本大震災と福島原発事故、リストラ、消費税大増税と社会保障切り捨ての「一体改悪」やTPP参加策動――国民の暮らしを守る課題が重大化するなかで2012年国民春闘がたたかわれています。
日本経団連は、2012年春闘の経営方針である「経営労働政策委員会報告」で、企業の「危機」をあおりたて、ベースアップの実施は「論外」、定期昇給の「延期・凍結」もありうる、非正規雇用の労働者だけの処遇改善は「不適当」などと、例年に増して強い調子で賃上げの抑制を打ち出し、労働者にさらなる犠牲を求めています。
2000年以来の10年間で、民間労働者の賃金は年平均約50万円も減らされています。一方、大企業の内部留保は、10年間で90兆円ふえ、10年度266兆円の金余り状態です。「危機」なのは大企業ではなく、労働者・国民の生活です。
職場でもっとも不安・不満に感じていること
「職場でもっとも不安・不満に感じていること」のトップは、正規、非正規社員ともに「賃金が安い」(図1)ことで、「頑張って働いているのに生活保護受給者と比べてもらえるお金が月2万~3万程度しか変わらないのはおかしい」(20代男性)「若い世代ばかりサービス残業が多い」(20代男性)「ボーナスがほしいです」(派遣20代女性)など切実な意見が寄せられています。
図1 職場でもっとも不安・不満に感じていること(複数回答)
正規社員
1位 賃金が安い 38%
2位 昇進・評価査定 27%
3位 労働時間が長い 24%
4位 同僚・上司との人間関係 15%
5位 住宅・家族手当がない 15%
6位 経営・雇用不安 14%
7位 健康問題 14%
8位 精神障害 13%
9位 仕事がきつい 11%
10位 ただ働きがある 11%
非正規社員
1位 賃金が安い 49%
2位 正社員との格差・差別待遇 44%
3位 雇用契約の更新 34%
4位 健康問題 12%
5位 不満はない 7%
6位 労働時間が長い 5%
7位 休暇・産休がとれない 5%
8位 セクハラ・パワハラ・いじめ 5%
9位 受け入れ先での人間関係 5%
10位 仕事がきつい 2%
生活実感
「生活実感」については、「やや苦しい」と「かなり苦しい」の合計が正規社員は約3割弱ですが、非正規社員は6割をこえています。生活向上のための賃上げでは、正規、非正規社員ともに月額3万円以上が大半の声となっています(図2)。
図2 生活実感と生活向上のために必要な賃金金額
正規社員の生活実感
かなり苦しい 5%
やや苦しい 22%
まあまあ 55%
ややゆとり 16%
かなりゆとり 2%
正規社員の生活向上のために必要な増額(月当たり)
1万円未満 5%
1~2万円 22%
2~3万円 29%
3~4万円 7%
4~5万円 26%
5万円超 11%
非正規社員の生活実感
かなり苦しい 22%
やや苦しい 39%
まあまあ 34%
かなりゆとり 2.5%
ややゆとり 2.5%
非正規社員の生活向上のために必要な増額(時間当たり)
50円未満 6%
50~100円 11%
100~200円 24%
200~300円 24%
300円超 35%
サービス残業/非正規雇用
サービス残業(正規社員)については、労働時間が長くなるほど「サービス残業」に追い込まれ、長時間労働が違法な「サービス残業」の温床になっている実態が明らかにされました。正規社員を非正規社員におきかえる「使い捨て」労働に対し、非正規社員から「4月で契約社員の期限が来るので不安に感じている」(契約20代男性)「この先正社員になれるかどうか不安です」(契約30代男性)など雇用不安や差別的な扱いへの不満の声が多くよせられ、正規社員も7割が批判的な考えをもっており(図3)、「正社員として雇用し、技術を伝承していくべき」(50代男性)との意見も寄せられています。
図3 常時必要とする業務への非正規社員の採用は(正規社員の回答)
すぐやめるべき 49%
近い将来やめるべき 21%
やむをえない 18%
よいこと 6%
わからない 6%
党川崎重工委員会は、今回のアンケート結果をうけて、「残業なしで生活できる賃金への大幅引き上げ」「サービス残業の根絶」「『雇用は正社員が当たり前』の実現」など訴え、たたかいをよびかけています。
(2012年2月19日付「兵庫民報」掲載)