阪神・淡路救援・復興県民会議が政府要請
阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議は1月24日、災害援護資金や緊急災害復旧資金の返済について厚生労働省と中小企業庁に要請を行いました。
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阪神・淡路大震災では、個人補償は無く、多くの被災者が借金に頼らざるを得ませんでした。被災者生活再建支援法の2度にわたる改定で最高300万円の支給をはじめいくつかの制度や運用が改善されましたが、阪神・淡路大震災被災者には遡及適用も特例での救済措置もなく、災害援護資金や緊急災害復旧融資などの返済の行き詰まりは顕著で、自己破産、代位弁済などの増加は17年たったいまも続いています。災害援護資金貸付は返済期限が過ぎた2011年3月末でも、借受人の23%の12,981人(内、徴収困難・不可能が2,104人)が未償還。19%の10,877人が月々1,000円からの少額償還で返済を続けていますが、暮らし再建の重石となっています。
被災中小企業に対し、地元自治体が行った緊急災害復旧資金融資の残高は、11年末で1,400件、99億8,100万円。県信用保証協会が肩代わりした「代位弁済」は6,920件、529億800万円となっています。この融資で営業再建を果たし、大震災後の地域経済を支えてきた業者の中にも、廃業に追い込まれ、生活基盤の住宅・店舗を売却してもなお、残存債務に苦しんでいる人びとが少なくありません。
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東日本大震災被災者へは、同震災限定施策とはいえ、災害援護資金は、連帯保証人があれば無利子、なくても1.5%と低利息、返済困難者には返済免除の道も開かれました。被災業者など個人債務者の私的整理についてのガイドラインも策定されています。
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今回の要請で県民会議側は、こうした前進点もあげ、厚生労働省に対し、災害援護資金返済問題について①未返済者の返済を免除すること②連帯保証人の連帯保証義務をはずすこと③滞納者に対する延滞利息10.75%は適用しないこと―を求めました。厚生労働省の担当者は要請に対し「すでに返済された方との公平性」を持ち出しましたが、県民会議側は、昨年の参院災害特別委員会で、山下よしき議員の質問に対し、平野達男防災担当相が「東日本大震災では償還免除事由の拡大を打ち出している。そこを横にらみしながら検討すべき課題だ」と答えていると指摘し、この答弁の後、どんな検討がされているのか、阪神・淡路大震災被災者が救われる検討をと強く要請しました。
中小企業庁では、緊急災害復旧資金融資の残存債務について、①債務の全部または一部を減免すること②債務免除の対策を講じること―を求めました。
同庁担当者は「返済不能などの事案はあがってきていない」「おおむね立ち直れているのではないか」など、阪神・淡路大震災被災業者の実態とかけ離れた説明をしましたが、県民会議側が「借り換えや代位弁済など、数字の上では返済が終わっていても、被災業者のところには借金が残っている」と指摘すると、「確かに、借り換えや代位弁済などの内訳はつかんでいない」と認めました。
県民会議側は、実態をしっかりつかんで免除などに踏み切るよう訴えました。
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この要請には岩田伸彦事務局長ら県民会議役員のほか、日本共産党の堀内照文衆院比例予定候補、味口としゆき・山本じゅんじ両神戸市議も参加。山下よしき参院議員が同席しました。(2012年2月5日付「兵庫民報」掲載)