Web版の発行はしばらく休止します

「兵庫民報」編集部は2012年11月から専任1人で続けてきましたが、その1人も2020年末で退職し、2021年1月からは嘱託となりました。編集業務の整理のため、「兵庫民報Web版」はしばらく休止いたします。それにともないTwitterへの転送も休止します。 紙版の通常号のご購読をお願いします。

2012年1月29日日曜日

阪神・淡路大震災17年メモリアル集会

東日本大震災被災地と結び、真の復興めざすたたかい交流

阪神・淡路大震災から17年の1月17日、阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議は、神戸市勤労会館で「東日本大震災被災地と結ぶ阪神・淡路大震災17年メモリアル集会」を開きました。兵庫県内をはじめ、岩手、宮城、福島の3県からも参加。330人を超える人たちが真の復興をめざすたたかいについて議論を深めました。

集会は、松平晃氏のトランペット演奏で開会。全国災対連の住江憲勇代表委員、日本共産党の山下よしき参院議員、高橋ちづ子衆院議員が来賓挨拶しました。

阪神・淡路:いまなお震災は終わらず

阪神・淡路からは3人が報告。


阪神・淡路大震災兵庫県民会議の岩田伸彦事務局長は、「融資一辺倒のもとで、災害援護資金や緊急復旧融資の返済、シャッター通りの長田の再開発など、いまなお震災は終わらず、問題は山積している。高齢化がすすむ借り上げ住宅からの追い出しは、絶対ゆるせない。阪神・淡路への支援、被災者支援法の大幅拡充の要求を掲げて、東日本のみなさんと一緒にがんばる」と決意をのべました。

被災者ネットワークの安田秋成代表は、自分も入居する借り上げ住宅での住民同士のきずなを結ぶ努力と苦労、住民の暮らしぶりを紹介。「東日本の人たちと私たちも1緒になって政府を動かさなければいけない。安心してくらせる社会へがんばりたい」と訴えました。

須磨民主商工会の豊村和正副会長は、震災前年に2千万円の借金をして建て替えたばかりのケミカルのプレス工場兼住居が全焼し、残った借金の返済に身を粉にして働いた17年を振り返り、東日本の被災者に繰り返さないよう二重ローンなど債務への支援、自営業者への支援を訴えました。

岩手・宮城:世論と運動で支援策前進も

東日本大震災の被災地から4人が報告・発言しました。

復興岩手県民会議の鈴木露通事務局長は、被災者の生活、生業再建の見通しは、まだたたないものの、世論と運動、震災後の知事選挙や県議選を通じて、3県立病院の再建、二重ローン解消の手立て、中小企業の復旧・復興の「グループ補助金」など前進させていることを紹介しました。

みやぎ県民センター事務局長の菊池修弁護士は、宮城県内の実態について、仮設住宅での寒さ対策の遅れの一方、復旧工事は大企業奉仕で、復興計画も「水産特区」やカジノ構想までもりこまれていると告発。同時に、宅地地滑り被害に、公共事業の枠組みでの復旧や市の助成ができたことも紹介。「個人財産に補償なし」の壁に風穴をあけたたたかいを報告しました。

宮城県労連の小玉高弘常任幹事は、石巻市の災対連ボランティアセンターへ全国からのべ6千人が支援に来たことに、感謝をのべました。

「オール福島」で全面補償を要求

福島県からは福島県民主医療機関連合会の斉藤和衛事務局長が報告。1月30日の「1万人集会」の成功と、東電への全面賠償、福島を戻せという「オール福島」の運動を紹介。農業、観光はじめ全産業が甚大な被害を受けていること、除染対策、健康影響への対応など現状を報告しました。6万人におよぶ全国各地への避難者の支援、被災者に追い打ちをかける消費税増税と社会保障切り捨ての阻止をよびかけました。

記念講演:原発震災繰り返えすな

石橋克彦神戸大学名誉教授が「原発震災をくりかえさないために」をテーマに記念講演しました。

石橋氏は——「原発震災」とは、地震によって原発の大事故と大量の放射能放出が生じて、通常の震災と放射能災害が複合・増幅しあう人類未体験の破局的災害のこと。そこでは、被災地の救援・復旧が強い放射能のために不可能となるとともに、原発の事故処理や住民の放射能からの避難も地震被害のために困難を極める。無数の命が見殺しにされ、被災地が放棄される。ガンなど晩発性の被害が未来世代までおよび、国土の何割かを喪失し、地球全体をも汚染する——と述べました。

さらに石橋氏は、日本列島の大地震は、いつどこで起こっても不思議ではなく、いま活動期に入り、とりわけ若狭湾一帯は地震活動帯だと指摘。「起こる可能性のある現象は必ずおこる」という「予防原則」の考え方が重要だとし主張し、「地震と共存へ社会のあり方を一人ひとり考えてほしい」と呼びかけました。

集会アピール

集会では、被災者生活再建支援法の改正、原発廃炉、安全、安心な国づくりなどを訴えたアピールを採択しました。県民会議代表委員の前田修さんが開会あいさつ、代表委員の菊本義治さんが閉会あいさつをおこないました。

(2012年1月29日付「兵庫民報」掲載に加筆)

ヤマサクラ61中止を防衛大臣らに請願

陸上自衛隊中部方面総監あてに申し入れる
(左から)ねりき県議、吉見氏、(右から)住田市議、上原市議ら
1月24日から2月6日、伊丹駐屯地を主会場に行われる日米共同演習「ヤマサクラ61」に断固抗議し、日本共産党兵庫県委員会、阪神北地区委員会と県議団は1月23日、防衛大臣と陸上自衛隊中部方面総監あてに請願しました。

請願内容は、同共同演習は米軍が「アジア・太平洋地域の即応態勢強化」を目的に位置づけている訓練に自衛隊を組み込み、憲法違反の軍事行動に通じるものだと強く批判し、直ちに中止するよう求めるものです。自衛隊の市街地行進もやめるよう求めています。

ねりき恵子県議団長、吉見秋彦衆院兵庫6区予定候補と上原秀樹伊丹市議、住田由之輔川西市議らが伊丹市にある陸上自衛隊中部方面総監部を訪れましたが、自衛隊は構内へ立ち入らせず、渉外班長(3等陸佐)が門外で応対。ねりき議員が申し入れ書(請願)を読み上げ手渡しました。

(2012年1月29日付「兵庫民報」掲載)

灘区の借り上げ住宅入居者が県へ請願

「年老いての転居は無理。継続入居を」


神戸市灘区の「借り上げ住宅『フレール六甲桜ヶ丘』継続入居を求める入居者の会」は1月23日、県知事あてに、借り上げ県営住宅継続入居を求める請願署名を提出しました。署名提出にあたって「借り上げ住宅入居者連絡協議会」の安田秋成氏、石田健一郎氏、日本共産党の、きだ結県議、味口としゆき神戸市議が同席しました。

「入居者の会」からは、「県から住宅の斡旋があり、『これに外れたら追い出される』とあわてて転居された人が、慣れない暮らしのなかで心労が重なり、救急車で病院に運ばれました。命にかかわる問題なので、継続入居を認めてください」「『引越しするのはかなわん。年も年やから、おいてほしい』―これが入居者の声です。七十を過ぎての転居は無理です。ぜひ買い上げることから検討してほしい」など切実な声が次つぎに出されました。

「宝塚市は再契約を約束したので、ぜひ県も約束してください」「震災の最大の教訓は、コミュニティーを壊さないことではないですか」との訴えにたいし、応対した県土整理部住宅建築局住宅管理課長は、「宝塚市は戸数が少ないから、兵庫県や神戸市とは違う」「コミュニティーは、グループでの住み替えも検討しています」など、冷たい答弁に終始しました。

写真:請願を提出し、県担当者に実情を訴える借り上げ県住入居者と、日本共産党の、きだ県議(右端)、味口神戸市議(その左)

(2012年1月29日付「兵庫民報」掲載)

民青同盟が第52回県代表者会議

新しい日本社会へ、大きな民青同盟兵庫でも

日本民主青年同盟第35回全国大会を受け、第52回民青同盟兵庫県代表者会議が1月22日、神戸市内で開催されました。

力重智之県委員長が、県委員会報告を行い、地区委員会を2つから6つへと再建するなかで実現してきたことを振り返り、さらに組織的に前進し、今年216人の仲間を迎えることなどの方針を提起しました。

討論では18人が発言しました。

全国大会に参加してきた同盟員2人が「全国の発言を聞いて励まされた。これからの入試宣伝におおいにとりくんでいきたい」「せっかくつながりをもてた青年に、同盟員として魅力をつかんでもらえるような活動をつくっていきたい」と発言し、大会での確信を伝えました。

また、民青同盟に加盟して4カ月の学生が「TPPのことを話している学生を目撃し、周りの学生がどんなことを考えているのか聞いてみたいと思い、大学門前宣伝にふみだした」とうって出た経験を語りました。

地区委員会を再建した東播地区からは4人が発言し、「地区委員会が主催した合宿に11人が参加。この合宿で学習した1基5千億円もする原子力発電所に群がる“原発利益共同体”があるという話は同盟員みんなの心にひびいた」「自分が主体的になれるのは民青の班会があるから」と報告。

全体として、日本共産党綱領や科学的社会主義を学び「もっと成長したい」という要求、「地区委員会を再建したい」「学生班・高校生班を作りたい」などの思いが交流されました。

会議は県役員23人を選出。県委員長には力重氏が再任されました。

日本共産党からは、参院兵庫選挙区予定候補の金田峰生氏が来賓挨拶。党県委員会青年学生委員会の門屋史明事務局長が記念講演しました。

(2012年1月29日付「兵庫民報」掲載)

新人議員の自己紹介:上郡町 小原潤一議員

町の宝・子育て支援に全力

小原潤一議員(66)
兵庫県の西の端・上郡町の小原潤一です。

昨年十月、副町長も未確定の状態で突然、町長が辞職するという事態になり、管理者不在の町政に陥りました。

そこに日本共産党町議の工藤崇氏が町長選への立候補を決断。町議の後任に私が補欠選挙に挑みました。町内外からの数多くの支援で両名を当選させていただきました。

上郡町は、2004年、09年の相次ぐ台風災害の復旧真っ最中、学校給食は県内で唯一なく、こども医療費助成など子育て支援も遅れ、過疎化が急激に進む町でした。

私は、政治活動には様々な分野で携わり、議員とともに活動をしてきましたが、議会活動についてはまったく素人でした。

当選後初の定例会となった12月議会では、TPP問題、こども医療費無料化、防災対策の3点について質問しました。工藤町政唯一の与党議員として、すごく注意しながら発言しました。

町議会の様子はケーブルテレビで放映されており、町民の関心が非常に高まっていました。議会後、まったく知らない人から電話があり、テレビの影響の大きさに驚きました。

議員になり、町に出れば常に町民の視線が気になり、自分の行動、発言に気をつかっています。

幼稚園、小学校へ通園、通学している子どもたちを見ると、早く給食を実施しなくては、子育て支援を何とかせねば…と思い、お年寄りを見れば、介護は大丈夫だろうか、他の市町の支援と比較をして大変気にかかります。子どもからお年寄りまで安心して暮らせる上郡町を目指して努力しています。

学校給食施設の候補地も具体的に提起され、念願の給食開始に向け、作業が進んでいます。子どもは町の宝です。子育て支援に全力をあげます。

(2012年1月29日付「兵庫民報」掲載)

山麓線の道路公害なくそう

事故多発・騒音・振動・渋滞
神戸市兵庫区で日本共産党支部と沿線住民が運動

神戸市兵庫区の夢野地域で、大型コンテナ車などによる事故の多発、騒音、振動、渋滞など道路公害が深刻化。その解決へ住民と日本共産党が力をあわせてとりくんでいます。
2008年10月、西神戸有料道路(夢野白川線)が無料開放されました。ひよどり台から兵庫区への生活道路として、無料化は北区住民の要望が実ったものでした。しかし、それを機に、中央区方面へは有料道路である山麓バイパスを避け、夢野白川線から山麓線へ流入する交通量が1.5倍にも増え、特に大型車は1日1700台(08年11月26日)にもなりました。

周辺住民から騒音・振動などの苦情の声があがり、日本共産党の夢野支部と夢野団地支部は合同で、被害実態と、山麓バイパスの無料化・料金引き下げによる迂回などの解決策を「共同ニュース」を発行して地域に訴えました。

店先でのコンテナ車横転 (写真上・地図の❶)の状況を語る 食堂バルーンの小西ミユキさん(左)と 道路公害を考える会の亀井洋示氏(右)
そうしたとりくみのさなか09年1月、夢野白川線と山麓線がつながる鵯越交差点で、鉄材を積んだ大型特殊車による9台の玉突き事故が発生。

二つの党支部と大かわら鈴子市議はじめ党神戸市議団は兵庫警察署と中部建設事務所へ申し入れを行い、予告信号設置、舗装打ち替え、大型特殊車の検問などを実施させました。

さらに10年7月から12月には山麓バイパス通行料金4割引の「社会実験」が行われました。期間中、夢野白川線・山麓線の通行量は3割減りました。

しかし、実験終了後は再び交通量は増加し、日に2万4千台にもなりました。二つの支部が沿線住民・店舗を訪問し、住民運動団体の結成をよびかけるとりくみをはじめた矢先の11年8月、鵯越交差点東の食堂バルーン前(地図の地点❶)でコンテナ車が転倒、あと30cmで店舗兼住宅に激突するところでした。
「夢野の道路公害を考える会」は11年8月18日に結成。県警本部や市建設局などと交渉するともに「ニュース」を2千部から3千部発行(現在までに4号)し、世論に訴えてきました。その間も鵯越交差点付近では事故が続発。軽自動車、コンテナ車が相次いでグリーンベルトに突入。11月30日にはコンテナ車がバスなどに追突、乗客ら24人が負傷するという大事故が起こりました(地図の地点❷)。
バスの乗客ら24人が負傷した事故(地図の❷)
「考える会」は、安全対策と山麓バイパスへの迂回策を求め、昨年の12月市議会に陳情しました。陳情については日本共産党が採択を主張しましたが、民主党、自民党、公明党、みんなの党、住民投票議員団が反対し、不採択となりました。しかし、陳情を審議した12月12日の建設水道委員会では、赤田かつのり市議の質問に対し、建設局長が「大型2種バイパス通行料金を1280円から700円に減額」すると答弁しました。

また同日「会」が道路管理課と行った交渉の中では、①夢野白川線は車両制限令により長さ12m以上の車両には神戸市の通行許可が必要であり、トラック協会への指導や看板設置で徹底する②速度を抑えるため鵯越トンネル以南を1車線に減らす―との答えがありました。

「会」では、車線を減らすことで渋滞が予測され、山麓バイパスへの迂回へさらなる対策が必要だとしています。

(2012年1月29日付「兵庫民報」掲載)


兵庫生存権裁判の展望

弁護士 松山 秀樹

生存権裁判兵庫訴訟は、70歳以上の生活保護受給者に対して1960年以来、長年にわたって支給されてきた老齢加算の復活を求めて、原告9名が、神戸市、尼崎市を被告として07年5月、神戸地方裁判所に提訴しています。

全国で同様の訴訟が提起され、東京高裁では原告らの請求を認めない判決が出されましたが、福岡高裁は10年6月、老齢加算廃止処分を違法として原告らの請求を認める判決を出し、現在、両判決が最高裁に上告されて、判断を待っている状況です。

ところで、厚労省が、老齢加算を廃止した理由は、70歳以上の高齢者は老齢加算に見合うだけの特別の支出をしていない、というものです。

文書提出命令への最高裁不当決定

その根拠として厚労省が持ち出しているのが、99年度全国消費実態調査と呼ばれる全国規模の統計調査のデータを、厚労省が独自に集計(特別集計)した結果です。

しかし、厚労省は、特別集計の基になった調査データの内容は一切明らかにしていません。特別集計の信頼性が否定されれば、老齢加算廃止の根拠がなくなるので、特別集計の内容を検証するために、調査データを明らかにさせることが重要です。

そこで、兵庫訴訟だけではなく、各地の生存権裁判で、この調査データを国に提出するよう求めて文書提出命令の申立をおこないました。

そして、神戸地方裁判所は、全国ではじめて10年8月18日、原告らの文書提出命令申立を認めて、国に対して調査データを提出するように命じる決定を出しました。これに対し国が不服申立をしていましたが、11年8月5日、大阪高裁は国の不服申立を認めて、逆転して、文書提出命令申立を却下する決定をしました。

この決定に対し、原告らは最高裁に不服申立をしていましたが、最高裁は11年12月15日、原告らの不服申立を認めない不当な決定を出しました(なお、この最高裁の決定は、あくまで文書提出命令申立に対する判断であって、老齢加算廃止が適法か違法かを判断したものではなく、生存権裁判は、今後も神戸地裁でつづきます)。

厚労省が、老齢加算廃止の根拠としている特別集計の信頼性を検証するために、特別集計の基になった調査データを提出させることを認めなかった大阪高裁、最高裁の判断は、法律の理屈以前に非常識であり、到底万人を納得させるものではありません。

国は、既に調査データを利用して特別集計をおこない、それを自分に有利な証拠として利用しているにもかかわらず、訴訟の当事者である原告に、その検討の機会すら与えないのは不正義であり、不公正です。

最高裁の不当な決定によって、神戸地裁での生存権裁判では、今後、特別集計のもとになったデータなしで、老齢加算廃止の違法性を主張していくことになります。

しかし、老齢加算廃止を違法と判断した福岡高裁判決でも、調査データ自体は証拠で提出されておらず、調査データなしでも工夫を凝らした審理をすることで、勝利判決を勝ち取ることは充分に可能であると思います。

今後の神戸地裁の審理では原告本人尋問、原告宅の検証、原告らの健康調査など、大きな山場を迎えます。

さらに、福岡高裁判決について、最高裁では、今年2月24日に弁論がひらかれる予定です。福岡高裁判決を維持した判決を最高裁に出させるために、老齢加算復活を求める全国からの訴えを最高裁に届けていく運動の盛り上がりも、非常に大事です。

(2012年1月29日付「兵庫民報」掲載)

兵庫労連第43回臨時大会春闘方針決定

全労働者の賃上げ求め

「安定・良質な雇用の確保、すべての労働者の賃上げで、内需の拡大、社会保障の充実、東日本大震災の復興」を12年春闘スローガンに掲げ、兵庫県労働組合総連合(津川知久議長)の第43回臨時大会が1月21日、神戸市勤労会館でひらかれました。

挨拶で津川議長は、「国際競争力」を理由に内部留保を異常なまでに積み上げ、その一方で定昇さえストップ、労働者の生活をいっそう悪化させようとする財界の春闘スタンスを厳しく批判。「財界に路線転換を迫る春闘にしよう」と呼びかけました。

北川伸一事務局長が春闘方針を提案。運動の具体的展望として①誰でも時間額100円以上、月額1万円以上の賃上げ②時間額1000円、日額7500円、月額16万円以下の労働者をなくす③パート労働者の時間額100円以上賃上げ―を目標に、人間らしく、生活できる賃金の獲得をめざします。

そして「春闘勝利決起集会」を2月10日に開催。3月14日を集中回答日に、翌15日を全組合員行動日とする予定です。

また、公務員賃下げ反対運動、労働者派遣法の早期抜本改正を求める運動などにとりくみます。

討論では17人が発言しました。「日本化薬派遣切り裁判は、地裁と高裁で、企業の雇用責任を認めない不当判決。当たり前の働くルールをつくる闘いだ」(西播ユニオン)、「正社員化裁判は高裁で、1審で認めた慰謝料支払いを取り消す不当判決。労働者派遣法は労働者を保護するものではない」(JMIU日本トムソン支部)などが出されました。

大会では「春闘アピール」のほか「高校学区拡大反対」の特別決議を採択しました。

(2012年1月29日付「兵庫民報」掲載)

災害と障害者のつどい

当事者参加し支援策定を

兵庫障害者センター(藤原精吾理事長)主催の「災害と障害者のつどい」が1月21日、神戸市勤労会館でひらかれ約120人が参加。満員になりました。阪神・淡路大震災での教訓が、東日本の被災地で生かされたのか、4人の報告と講演を通し、考えるとりくみです。

主催者を代表して藤原理事長が「17年前の経験が東日本でどう生かされたのか、考えてみよう」と挨拶。

日本障害フォーラム(JDF)被災地障害者支援センターふくしま事務局長の和田庄司さんは、自主避難しているはずの地域に、障害者がたくさん孤立状態で残っていたこと、移動手段のない障害者が市の要援護者名簿に入っていなかった状況を述べました。

きょうされん兵庫支部の松本多仁子事務局長は、数次にわたる東日本支援活動を報告。原発賠償金請求資料が自筆原則で、障害者対応になっていないことも指摘しました。

大西一嘉神戸大学大学院准教授は「災害と障害者」と題し講演。災害直後から応急、復旧、復興へと、時期に応じて変わるニーズの把握が必要と強調。阪神・淡路で問題になった関連死を予防するため福祉避難所の整備を訴えました。

兵庫障害者センターの井上義治理事は県下41市町を対象に、昨年11月実施した障害者と災害に関するアンケート調査結果を発表。

36市町から回答があり(回収率87・8%)、「要援護者防災マニュアルの作成予定なし」は尼崎・伊丹・篠山・養父・猪名川の5市町。「福祉避難所の未指定」は尼崎・相生・加古川・市川・神河の5市町でした。

集会は「災害時の支援策づくりには当事者の参加が必須」などの提言をまとめました。

(2012年1月29日付「兵庫民報」掲載)

書家・切り絵作家 張雨均さん

3月に被災地支援作品展

繊細な蝶や模様を切り絵でつくりだす張さん

書家で切り絵作家の張雨均さん(71)=姫路市御国野町御着=は昨年、東日本大震災の被災地に、切り絵の千羽鶴を送りました。1年が経過する今年3月、被災者支援の作品展を加古川でひらきます。日中友好協会加古川支部の主催です。

張さんは中国河南省安陽市生まれ。書の先生だった父の指導で、幼いころから筆を持ち書が大好きでした。

革製品デザイナーをしていた会社の同僚で残留日本人孤児だった王鳳雲さん(69)=長尾ますみさん=と60年、結婚。日中国交回復後ますみさんの肉親が見つかり、子ども2人の家族4人で92年、日本に来ました。

「家族をバラバラにしたくなかった」の思いから、言葉や習慣の違いを越え、日本永住を選びました。

姫路に住み、中国での経験を生かして、革加工の仕事に就きました。切り絵を始めたのは定年退職後です。残留孤児の集会で「福」の字を切りとって参加者に配ると、驚くほど喜ばれました。

それを機に、3年前から独学で切り絵を勉強。小さな蝶から等身大の観音像も、ハサミとカッターナイフ、定規で切り出します。

「言葉が通じなくても、切り絵と書なら、手を繋ぎ交流できる。これからも友好と平和を作品にしたい」、張さんは語ります。

(2012年1月29日付「兵庫民報」掲載)

+IPPO展:自由な発想・素材で創作

幼児も熟年も、身体に障がいがあっても、誰もが、自分の描きたいものや作りたいものを、自由な発想と素材で形にする創作の場「アートスペースIPPO(いっぽ)」(尼崎市口田中1丁目)の第5回作品展が1月19日から6日間、塚口さんさんタウン3番館でひらかれました。

同会場で3年ぶり。新しい仲間との出会いを歓迎し、今回の作品展は「+(プラス)IPPO」と名づけました。

絵画、粘土、立体などどれも色彩豊か。大きさはさまざまです。

表面の荒い紙を使い魚独特の質感を、本物そっくりに描いた「カレイ」(松下しゅんやさん)、足をくねらせ吸盤を誇示し、胴を赤や黄に染めた「イカ」(杉岡たくみさん)などが眼をひきました。

(2012年1月29日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

重い障害を負っていても、初診日(現在の障害の原因となった傷病で最初に医療機関を受診した日)が20年も30年も前のことで確認できない、保険料の納付期間がわずか数カ月不足している、など様々な要件が整わず障害年金を受給できない「無年金障害者」が増えていることを本欄で取りあげたことがある▼2013年には国民年金法が抜本改正され、「無年金障害者を生み出さない」障害年金のあり方が議論されると聞いて期待を持っていた。しかし、民主党政権が社会保障切り捨ての動きを強めている中で不安はつのる▼一方、障害年金受給者でも等級が2級から3級に落とされて、年金を減らされたり受給できなくなったとの相談も増えている。精神障害・内部障害・知的障害の人に多い▼判断基準の一つに「労働が可能かどうか」がある。勤めても障害のため職場の人とのコミュニケーションがとれない、無理をして働くことによって障害が重くなり短期間で働けなくなる、など実際は働けないのに「働ける」と判断されるようだ▼障害年金だけが唯一の収入という貧しい年金受給者も「社会保障と税の1体改革」の犠牲にしようと言うのか!(N)

(2012年1月29日付「兵庫民報」掲載)