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2012年1月1日日曜日

新しい政治へ:衆院比例近畿ブロック予定候補

野田政権と国民との矛盾の急速な広がりのなか2012年が明けました。日本共産党の衆院比例近畿ブロック予定候補が来るべき総選挙への決意を語ります。(写真は右から清水、こくた、宮本、堀内の各氏)

ことしは大闘争の年
衆議院議員 こくた恵二

大震災と東電福島原発事故の被災者の方々は、どのように新年を迎えているだろうかと思わずにはいられない。

阪神・淡路大震災救援と復興の中で、県民の皆さん、亡くなった作家の小田実さんらと、住宅再建への公的支援制度の確立をめざして取り組んだ。被災者再建支援法の拡充として実った。その教訓を発展させ、「生活と生業の再建」「放射能汚染の除去と全面賠償」を前進させる年にしたい。

「アメリカと財界言いなり」政治の転換こそ閉塞状況打開の道である。

今年は、大闘争の年。社会保障の充実、消費税増税ストップ、人間らしい雇用、普天間基地撤去、TPP参加反対、原発ゼロめざし、国民的大運動を草の根から起こそう。

政治を変えたいという思いと、各層との共同が、共産党員首長の連続勝利に結実している。

総選挙勝利をめざし、今こそ強く大きな日本共産党づくりに挑戦しようではないか。

政治革新は兵庫から、堀内照文さんとスクラムを組み、奮闘する決意である。


命と人の絆の大切さ
衆議院議員 宮本岳志

兵庫の皆様に新年のご挨拶を申し上げます。

昨年は、大震災と原発事故によって、人命と「人の絆」の大切さを思い知らされた1年でした。

私は、文部科学委員会で、1日も早い学校の復旧・復興や被災学生・生徒への授業料減免実施や奨学金の拡充などを、強く政府に迫ってきました。また、学校内の放射線量測定や校庭や校舎の除染対策を急ぐことなど、原発事故による放射線被害から子どもたちを守りたいと、一貫して論戦を進めてきました。

いま、「2大政党づくり」が破綻に直面し、国民の中に新たな選択肢を求める動きが広がっています。TPP参加反対など、広範な人々と日本共産党との共同も大きく広がっています。同時に、政治の閉塞状況の反動的・ファッショ的な打開をめざす「橋下・維新の会」などの危険な動きも軽視できません。

こういう状況下での総選挙。比例近畿の候補者として、何としても前進と飛躍をひらく決意です。


爽やかで新鮮な風おこし
党大阪府副委員長 清水忠史

“2012年を必ず党躍進の年にする!”その決意とともに、謹んで新年のお慶びを申し上げます。

私のもとにも、政権交代に希望を抱いていた方々から、「民主党に裏切られた」「あのドジョウは米国産だ」「今度こそ共産党に伸びてほしい」との声がたくさん寄せられています。

大阪ダブル選挙の結果は、変化を求める国民の期待と閉塞感を打破してほしいという切実な願いの表れです。政治をおおもとから変える日本共産党こそが、次期総選挙では必ずその受け皿にならなくてはなりません。

若い人たちに仕事を! お年寄りに福祉を! 女性に権利を! 子どもたちに夢を! そして、すべての国民の幸せのために、今こそ財界・米国いいなりの政治を変えようではありませんか!

難しい政治の話をわかりやすく、そして愉快に語り、日本共産党の爽やかで新鮮な風を起こすことが私の役割だと自覚しています。

これからも読者のみなさまのあたたかいご支援をよろしくお願い申し上げます。


原発ゼロ、明るい未来を
准中央委員・党兵庫県副委員長 堀内照文

昨年は3.11を契機に政治のあり方が根本から問われました。私もボランティアに参加し、福島第1原発から南へ30km余りの地点にある保育所で除染作業をおこないました。「半分以上の子どもが避難のため退所」「子どもを外で遊ばせてやれない」「このまま住み続けていていいのでしょうか」と堰を切ったように語ってくれた親御さんの涙が忘れられません。

関西に住む私たちにとっても福井に原発群があり、琵琶湖汚染の危険など、人ごとではありません。政府には昨年11月に、関西電力には6月と11月に、安全対策と原発ゼロを求めて要請を重ねてきましたが、再稼働へひた走る政府と、「安全」を強弁する関電には心底怒りが沸きました。

6歳と2歳の2人の息子を前に、原発ゼロへ、子どもたちに豊かな自然と明るい未来をと大人の責任を痛感しています。

17年目を迎える阪神・淡路大震災の被災地から、誰もが安心して暮らせる平和な日本をめざして、がんばる決意です。

12.18兵庫県集会デモの先頭に立つ堀内氏(右)='11年12月18日

(2012年1月1日付「兵庫民報」掲載)

政治変える展望さし示し2012年、頑張ります

「3.11」後の変化に応え
衆議院議員 吉井英勝

「3.11」から多くの人々のものの考え方が変りました。電力会社の『原発は安全』という言葉は全く信用できないこと。政府や原子力安全委員会の安全審査に基づく『安全』という保証も信用できないことが明らかになりました。再生可能エネルギーを爆発的に普及させる仕事を地域の農林漁業や中小企業のとりくみにすることで、地域経済を再生させ、エネルギーの面でも地域経済の面でも原発に依存しない持続可能な日本社会が築けます。

コンビナートなど液状化のすすむ工業地帯での地震対策と、都市部での民家の屋根を太陽光発電所に変える仕事で、地域の中小企業の仕事を増やし、原発に依存しないエネルギーの確保にとりくみましょう。

「3.11」から私の国会活動も急変しました。6年まえから何度も、地震と津波による老朽化した原発の事故の危険性を指摘してきたのに、東京電力も政府も、真面目に耳を傾けて対策を取ろうとしなかったことが、あの原発事故で指摘した通りに、全電源喪失、炉心溶融、放射能被害の拡大という事態を招きました。

「3.11」から私の暮らしも急変しました。原発講演会やシンポジウムで、全国を駆け回り2万人ほどの人たちに話を聞いてもらいました。その努力が、日本共産党の新たな躍進に結びつくよう今年も頑張ります。


希望のもてる年に
党兵庫8区国政対策責任者 庄本えつこ

新しい年が明けました。今年こそ、明るいみんなが希望のもてる年にしたいと思います。

民主党政権になって、2年5カ月。3代目の野田総理大臣は、財界、アメリカの「使い走り内閣」といわれ「顕微鏡で見ても違いがわからない(志位委員長)」くらい自民党政治にすっかり戻ってしまいました。

「民主も自民もだめ。共産党が言っていることが1番気持ちに合う。ぶれない共産党はいい。国会議員増やして」。いろいろなところで共通してかけられる言葉です。「兵庫県から日本共産党の国会議員を」。堀内照文さんといっしょに頑張ります。




キリッと目を見開き
党書記局長・参議院議員 市田忠義

「政治をかえてほしい」。そう願って前回総選挙で民主党に投票した人が多かった。なのに少しもかわらなかった。それどころか、TPP、原発、消費税、普天間基地、政治とカネ。自民党以上に自民党的だ。

こんなはずではなかった、と思っている人がふえ続けている。2大政党づくりの破綻がはっきりしてきた。

しかし、いくら矛盾が鋭くなっても“果報は寝て待て”ではダメ。

キリッと目を見開いて、多くの国民の皆さんと要求と怒りを共有し、“アメリカいいなり、大企業の利益中心”という「二つの異常」にメスをいれて、政治をかえる展望をさし示すこと――政治の変革は、日本共産党の主体的努力で実力をつけること、これにかかっている。

今年は古稀。でも気持ちは青年。
がんばります。


連帯と進歩を感じて
参議院議員 山下よしき

阪神・淡路大震災直後、政府は「個人財産の形成になる」として住宅再建への公的支援を冷たく拒否しました。新人議員としてとても悔しい思いをしました。

しかし、被災者のみなさんはあきらめなかった。ねばりづよい運動で公的支援を一歩一歩前進させ、とうとう全壊世帯に300万円支給されるまでになりました。

「これは東日本大震災の被災者の生活再建の大きな土台となります」

いっせい地方選挙、街頭でそう演説すると神戸でも尼崎でも大きな拍手が起こりました。人間の連帯、社会の進歩を感じます。

新しい年に新しい希望を!


(2012年1月1日付「兵庫民報」掲載)

日本共産党員町長からの挨拶

日本の夜明けが楽しみ
福崎町長 嶋田正義

嶋田正義 福崎町長
新年おめでとうございます。

町長に当選し、5期目の町政運営にあたることになりました。

憲法を暮らしにいかし、一人ひとりを大切にする町政をすすめます。

私は物事を楽しい方向で見るように努めています。政府がすすめている政策は大部分の町民にとってきびしいものですが、国民との矛盾が深まり夜明けが近づいていると思います。町民との対話、予算編成、自給自足の畑仕事など、どれも楽しみです。

健康に留意し、今年も元気で仕事をしていきます。


安心で住みよい上郡に
上郡町長 工藤 崇

工藤崇 上郡町長
明けましておめでとうございます。
昨年十月末から町政を担うことになりました。

若い人たちが上郡町に愛着をもって住み続けられるよう、子育て支援拡充を最優先に町づくりを進めます。子どもの成長を地域で喜びあいつつ、お年寄りやお体の不自由な方がたに手をさしのべる、そんな町にしたいと思っています。

町民の皆さんとの対話を大切にし、声なき声にも耳を傾け、多くの方に町政に参加していただき、安心で平和な住みよい上郡町をつくっていきたいと決意を新たにしています。



(2012年1月1日付「兵庫民報」掲載)

対談:兵庫県政を県民の手に

東日本大震災後、大きく変化する情勢とそのなかでの兵庫県政の転換について、憲法が輝く兵庫県政をつくる会(略称・憲法県政の会)の石川康宏代表幹事と日本共産党のねりき恵子県議団長に語り合っていただきました。

阪神・淡路大震災での過ちを繰り返させてはならない

ねりき恵子県議
ねりき 私は、阪神・淡路大震災の年に県議会議員になりました。元の暮らしを取り戻すことが被災者の何よりの願いでした。選挙後初の臨時県議会(95年7月5日)で筒井基二議員が代表質問で公的支援を求めたのに対し当時の貝原俊民知事は「憲法違反だ」とまでいって公的支援を否定しました。
しかし、長い時間がかかりましたが、阪神・淡路と全国の被災者の皆さんの運動と県議団、国会議員団との連携で、被災者生活再建支援法ができました。
それをさらに拡充していくとりくみが、いまこそ求められています。兵庫県の誤りを繰り返させてはなりません。

石川 東日本大震災以後、“人間の復興なのか、それとも大資本の論理での復興なのか”、その対立が日本の針路をめぐる焦点として浮き彫りにされていると思います。
宮城県は復興の名のもと、漁業権の大企業への開放、漁港の集約化をすすめようとしていますが、これらはもともと財界団体が打ち出した方針です。
国政の転換とあわせて、国の悪政とたたかって住民の暮らしを守るのか、あるいは国にもましてひどい政治を行うのか、自治体の姿勢の根本が問われています。

対決軸はあきらか国民の動き次第で大転換

石川康宏代表幹事
(神戸女学院大学教授)
石川 憲法県政の会の県民要求アンケートには「2、3年前より生活が悪くなった」という回答が7割もありました。医療・福祉の充実が、特に切実な願いです。それは県の「新行革プラン」が切り捨てをすすめてきた分野であり、県政の転換が県民の暮らしを守る上でどうしても必要だ、ということを示すものでした。

ねりき パナソニックは、県から全部で218億円も補助を受けながら、尼崎の三つのうち二つの工場を生産停止。「行革」で福祉や医療を削りながら税金が別のところに使われているのは許せません。

石川 前回知事選の時、井戸現知事の後援会「新生兵庫をつくる会」の会長は兵庫トヨタの会長、特別顧問は神戸商工会議所会頭で神戸製鋼所の元会長でした。
大企業が自分たちに都合のよい政治を実行させるために井戸知事を当選させる。その関係ははっきりしているわけです。

ねりき 井戸知事が連合長に就いている関西広域連合も、執行機関と議会に加え「広域連合協議会」を置いていますが、連合協議会には関西財界のトップが名前を連ねています。議会は年2回ですが連合協議会は頻繁に開かれ、広域インフラなど財界の意向を色濃く反映した提案が次々と決まっていきます。

石川 東日本大震災の直後から財界は東北の復興を、全国的な道州制実施の入口にすると明言してきました。
関西広域連合は関西州への一里塚とされたもので、大阪の橋下「維新の会」の都構想も同じです。
原発災害を引き起こした東電に対する政府の姿勢は極めて弱腰ですし、TPP推進、財政難といいながらの法人税減税でも、この国の政治が財界に牛耳られているということが、非常に見抜きやすくなっています。
それだけに“いつまでも財界いいなりの政治でいいのか”と、政治が大きく変わる可能性が広がっていると思います。

住民自身が社会をになう自覚と力量をもって

東日本大震災に関する兵庫県知事への要請書を
秘書課担当者(中央奥)に手渡す憲法県政の会の役員
(右端が石川氏)='11年3月31日
石川 次の県知事選挙は2013年夏の予定です。これに勝利するための準備を急がなければなりません。’09年の選挙ではようやく30%を超える得票になりましたが、これを50%を超えるところに引き上げなければなりません。前回と同じことをすればいいという惰性に陥っていたのでは話になりません。
改めて県政についての学習を深め、広げる。全県民に届く宣伝やアピールを工夫する。地域に根ざした要求や運動を全県的に交流していく――などが必要です。

ねりき そうですね。公立高校の学区再編については、地域崩壊につながると保守の人たちも声をあげています。
柏原と淡路、二つの県立看護学校が2013年度から募集停止となります。しかし、柏原では定員40人に200人以上の応募が毎年あるのに、地域の方々には何の説明もありませんでした。先日も看護師の団体が看護学校の存続を要望しています。
TPP問題では、農協関係だけでなく、県医師会も日本の皆保険制度が崩壊する、絶対にやめるべきだとアピールしています。県医師会は、県立淡路病院とこども病院の移転についても、津波被害など危険な場所であり、いざというときに役立たないとパブリックコメントなどではっきり指摘しています。
農協、医師会といったこれまで知事を支えてきた団体の意見にも耳を傾けない、もっと別の力が働いているとしかいえない状況が、いま県と県議会にあります。
一方、私たち日本共産党県議団も、各地のさまざまな住民運動と連携して要求実現へ頑張っています。知事提案の予算に対し、具体的な組み替え提案を毎年行っています。住民運動といっしょになっての十数年間にわたるとりくみで、こども医療費助成や35人学級などの前進を勝ち取ってきました。

石川 それらは県知事選挙での飛躍を実現する大きな可能性を示すものにもなっています。県教委による高校の学区再編提案は、県下のすべての中高生をいっそう強く「競争の教育」にまきこむものです。学べない子どもが生まれる、地域が崩壊してしまうなど、政治的立場のいかんにかかわらず、不安や反対の声が出されています。それらは県政の転換を求める大きな力でもあるわけです。
原発からの撤退、自然エネルギーへの転換の問題も同様です。放射能被害をこうむることのない兵庫県をつくり、子どもたちに安全・安心の未来を手渡したいという思いは、従来の政治的立場の相違を超えた広がりをもっています。
憲法県政の会は昨年末、『原発ゼロ自然エネルギーへの転換 ウィーラブ兵庫⑤』(日本機関紙出版センター発行、A5判、106p.本体476円+税)を発行しました。各団体や地域の会で、ぜひ学習の機会をつくっていただきたいと思います。

自治体とは本来どうあるべきか議論も深め

石川 デンマークのロラン島は“自然エネルギー地球イチバンの島”として有名です。それは’70年代にデンマーク政府がこの島に原発建設を計画したのに対して、住民が「急いで決めないで、考えさせてほしい」と要望したことから始まりました。
住民は各地で学習討論会を繰り返し、エネルギー不足は大変だが、原発事故と放射能被害はそれ以上に恐ろしいとの結論を出し、’85年に国が原発政策を全面的に放棄するきっかけをつくりました。あわせてそれが自然エネルギー導入への大きな転換点をつくりました。

ねりき 住民参加の機会を保障することはすごく大事なことですね。県立淡路病院の移転問題をみても、残念ながらいまの兵庫県にはその姿勢はまったくありません。
県議会も議会改革委員会で議論しています。常任委員会の傍聴が昨年11月からいつでも傍聴できるようになるなど改善も進んでいますが、議案に対する議員個人の態度の公表は自民、民主が反対。請願者の意見陳述も自民が反対しています。

石川 この国の主権者は国民であり、その意向を実現する上で専門的な力量を発揮するのが自治体職員や議員の役割です。この基本的な関係にそった改革をすすめていただきたいと思います。
市町村合併や道州制と、地方自治体は巨大化ばかりがもてはやされていますが、憲法県政の会では、地方自治体は本来、互いに顔の見える範囲での住民の議論を基礎にして行うものではないかと話しあっています。住民一人ひとりが社会の主人公になり、一人ひとりの暮らしを互いに守りあう社会をつくるには、その点での発想の転換が必要ではないかと思っています

ねりき 市町合併で地域を知らない職員が増え、災害時の救援が遅れることなどが実際に起こっています。福祉の向上も制度の拡充と合わせて助け合いのできる地域コミュニティがすごく大切だと思います。
日本共産党は憲法県政の会に参加する唯一の政党です。憲法県政の会のみなさん、研究者のみなさん、住民運動のみなさんとともに、県民の切実な要求をくみとり、いっしょに兵庫県政を住民に取り戻すため、今年もがんばります。

石川 がんばりましょう。

(2012年1月1日付「兵庫民報」掲載)

つくる喜び、支える仲間:モモ栽培 古跡真一さん

熱意見込まれ後継者に

モモの木を手入れする古跡さん夫妻
古跡真一さん(38)、清美さん(32)夫妻は加東市で農業を初めて10年。手塩にかけた堆肥を使い、有機栽培にこだわった野菜と米を地域の学校給食の食材にも出荷しています。

酒米の山田錦や転作として菓子用米粉作りもとりくんでいます。

そんな2人を見込んで、モモの栽培農家が「後継者になってくれないか」と声をかけたのは2年前。加東市上久米産のモモは「社のモモ」として伝統があり、約18軒の農家が守っていますが、高齢化が進んでいます。

米と野菜作りだけでも目一杯でしたが、声をかけてくれた好意を受けて快諾。初年は手取り足取り指導を受けながら50aを栽培。勉強熱心が他の生産者にも認められ、昨年から倍近い90aのモモ畑を育てています。

作っているモモは白鳳、清水白鳳、川中島の3種類です。年間通し、枝の剪定、摘蕾、摘花、摘実、袋かけとすべて手作業。

家族そろって
形も味もよいモモになるまで、1本1本、木と会話するように枝振りをイメージし形づくります。脚立を使っての作業のため、下草刈りも欠かせません。

表面が傷つきやすいうえ、出荷が7月下旬から盆過ぎに集中するため、選別、箱詰め、発送は時間との競争。人を雇い作業します。

次から次への作業を振り分けながら、5人の子育てにも手を抜かない清美さんは、昨夏「気づいたら1週間、家から1歩も外へ出なかった」と言います。

冬のこの時期も、毎日2人で枝の剪定をつづけています。教えを受け継ぎながら、よりよい品種にしようと新しい技術も積極的に取り入れています。

「喧嘩する暇も元気もない」と笑う2人。「農業以外の仕事は考えられない。食べて喜んでくれる人がいるからつづけられる」、顔を見合わせながら言いました。

(2012年1月1日付「兵庫民報」掲載)

つくる喜び、支える仲間:ブドウ栽培 坂越勝利さん

大震災体験し農業復帰

冬はブドウ剪定作業の坂越勝利さん
上郡町で地域特産のブドウを栽培している坂越勝利さん(36)は、兵庫農民連青年部の副部長です。部長の古跡真一さんは、苦労を語り合う親友です。

ハウス6棟でピオーネや藤稔など6種類のブドウをつくるほか、米、葉もの野菜、醤油原料としても出荷の小麦や大豆を、家族経営する専業農家です。

ブドウ栽培は根気のいる手作業中心です。3、4月は遅霜よけビニールをハウスに掛けて、葉や枝、蕾が出てくると1つ1つ選び間引きます。からみ合わないよう、枝を四方に誘引します。5、6月は花の間引きです。

次は、ひと房に100ほどつく粒を形を整えながら30、40粒くらい残し摘み取ります。色づきだしたら袋かけ。8月中旬から約1カ月が出荷時期です。

4人の子どもとの夏休みは「7月中に集中して遊ぶ」とのこと。子ども時代、両親に手伝わされる農業が嫌いでした。正反対へ進もうと決め調理師に。専門学校で勉強中の17年前、神戸市灘区のアパートで被災。同級生3人が死亡しました。

救援物資も届かないなかで、食料の大切さを痛感。卒業後、神戸や明石の食堂で働きましたが、家で食べた米や野菜の味を思い出すにつれ「やっぱり自分には農業が合う」と16年前帰ってきました。

ブドウは直接販売が主力。毎夏、倉庫にのぼりを立てて店開き。神戸や和歌山などから常連客が来ます。言葉を交わして、味の感想も聞き、交流できる楽しい時期です。

「手のかかる作業ばかりですが、この仕事を選んでよかった。もっとうまいブドウにしたい」と語ります。

(2012年1月1日付「兵庫民報」掲載)

喫茶軽食・若草物語 神戸長田

食材にこだわり「うまくて安い」

労組仲間が作ってくれた
木彫り看板の前で
藤田さん(中)とスタッフ
神戸市長田区腕塚町の平和と労働会館1階に「喫茶軽食・若草物語」が開店したのは10年8月。近隣で働く人たちから「うまくて安い」と好評です。

同会館に事務所をおく労働組合の藤田摩利子さん(67)が、空きスペースの有効利用を兼ね、気軽に集い食事を楽しめる場にしようと、料理好きの仲間4人で始めました。ヘルパー資格ももつ調理のベテランたちです。

店名は「4人姉妹の物語と言えば」と即決定。岡山の労組仲間が昨年7月、木彫り看板を贈ってくれました。

日祝日を除く10時~17時営業。いまは曜日別要員や緊急要員なども協力し運営しています。藤田さん始め全員が本職を別にもつボランティアです。

店内はテーブル席7つとカウンター席。メニューは日替わり定食400円が一番人気です。月曜ちらし寿司、金曜ハヤシライス、土曜オムライス、毎月1日の赤飯が定番で登場します。味噌も漬け物も手づくり。野菜は友人たちが家庭菜園の採れたてを届けてくれます。神戸牛スジ肉をじっくり煮込んだカレー350円も大好評。水と豆にこだわったコーヒーや紅茶は250円です。

常連も多く、閉店まぎわ「お腹が空いた」と駆け込む人もいます。

「400円は安すぎるけど、まぁいいかな。おいしいと言ってもらえればうれしいから」と微笑む藤田さん。お客さんたちとの交流から歌声やハーモニカ教室もひらいています。

(2012年1月1日付「兵庫民報」掲載)

古賀哲夫さん資料展

私は生涯「平和のメッセンジャー」
兵庫県民会館 1月7日~9日

河上肇さん54歳の自筆軸、友人から贈られた木彫り党章、
党員拡大記念賞の鉛版を前にして語る古賀哲夫さん
日本共産党の元県会議員で、兵庫県学習協会長も務め、現在「平和の語り部」として活動中の古賀哲夫さん(85)。長年保存してきた戦時資料や文献、記録、思い出深い品を1月7日から3日間、兵庫県民会館で展示します。

京都の立命館平和ミュージアムで昨年3月開催予定が、東日本大震災により延期になった企画を、共産党や労働・平和・文化団体の各界15人が呼びかけ人になり開催します。

学徒動員で入隊、本土決戦を前に死を覚悟し友と寄せ書きした「日の丸」。2冊の遺書ノート。戦後中学校と高校で教壇に立ち、平和教育にとりくんだころの学級新聞や文集。30年前入手した河上肇さんの遺墨。党員拡大全国7位記念賞「しんぶん赤旗」鉛版。共産党鈴蘭台後援会長当時に幸野不文さんから贈られた木彫りの党章などなど。

「死ぬまで私は平和のメッセンジャーです。私が生きてきた時代を、党の歴史を、若い人にも見てほしい」と語ります。

平和のメッセンジャー・古賀哲夫展/1月7日(土)~9日(月)10~18時、初日12時~、最終日16時/兵庫県民会館1階特別展示室/☎078・583・4615(織田)

(2012年1月1日付「兵庫民報」掲載)




詩:やっぱり神戸に

やっぱり神戸に
國重 正廣


何も知らなかった 僕たちが
造船で夢をつかまえました
そして 技術も身につけ
やっと彼女も見つかって
春には結婚式を控え
夢は大きく膨らみました

やっててよかった
さあ これからというときに

いきなり会社の発表で
造船から撤退しますと
聞かされました
いまだに 何の説明もなく
後は勝手にやってくれと
言っているように感じています

神戸の街は船の街です
港めぐりで廻ってみても
船が消えたら 何を見るのでしょう
古い歴史の造船の街が
僕らの時代に 終わってしまったら
悔しい気持ちが残るだけです

育ててくれてありがとう
という気持ちで
もう一度 夢を探しに
神戸を恨まず去っていきます

つらい思いで親方が
必死で見つけてくれた
横浜の造船所で
大きな船を見たときは
いままで鍛えた技術に自信をもって
神戸の技術で もう一度
夢に向かって進みたい

いつかまた
神戸に船が戻ったときは
立派な技術を身につけて
神戸を元気にするため
やっぱり神戸に戻りたい
やっぱり神戸が好きだから
神戸で彼女が待っているから


負けるな若者たち
君たちがいれば
いつかきっと
昔の神戸が戻ってくることを
私は信じています


くにしげまさひろ(61歳)神戸市兵庫区で自営業25年


(2012年1月1日付「兵庫民報」掲載)

一コマまんが

TPP―亡国に参加するな

間康成
(2012年1月1日付「兵庫民報」掲載)

ひなたぽっころりん(483)


(2012年1月1日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

2012年が明けました。昨年は東日本大震災と原発問題が最大のニュースでした。被災者の方の1日も早い立ち直りと原発から自然エネルギーへの転換を願い、誰もが「今年こそは」との思いを強くしているはず▼昨年の拙稿をふり返ると、やはり震災での障害者の方や関係者たちの苦労やとりくみが目立った。一方で障害者運動の広がりと発展も随所に見られ、新年への期待もうかがえる▼障害者が「生きる」ための支援に個人負担を課す最悪の「障害者自立支援法」を廃止し新しい障害者総合福祉法を制定する運動は、政府・民主党の「裏切り・変節」に抗して更に大きく広がりを見せた1年でもあった▼全国的にはこれまで東京・日比谷で開催してきた大集会も昨年はさらに参加団体が増え、「10・28 JDF大フォーラム」として1万人の参加で大成功▼新しい法律はまもなく開会する通常国会に提案される予定です。障害者の願いがつまった新法となるかどうか、新年の最も大きな運動課題です▼「私たちは贅沢なこと、特別な権利を求めてはいません。障害のない人たちとの平等、安心して生きていける法制度を望んでいるのです(兵障協ニュースより)」(N)

(2012年1月1日付「兵庫民報」掲載)