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2012年11月18日日曜日

ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟裁判傍聴記

副島圀義

十一月七日、大阪地裁でのNさんの意見陳述(広島・爆心地から三km、当時二歳、甲状腺機能低下症で申請)。

「父や母の姉妹一家を探す母に背負われて、爆心地近くに何度も入った。結婚が決まりかけたとき、相手の母から「被爆が遺伝するのでは」と反対された。国はなぜ私の病気を原爆と無関係だと言い張るのか。原爆の被害を覆い隠したいとしか考えられない…」

続いて河本一成先生(あさくら診療所所長)が、被爆と甲状腺機能低下症の関わりなどについて、実際の症例や研究文献などに即して詳しく証言しました。

国側代理人の反対尋問は、今までの裁判で破綻済みの議論を蒸し返したものでした。

―下痢は放射線以外の原因でも起こるではないか。(典型的な放射線被曝急性症状である、下痢、出血、脱毛などをすら、国はストレスや栄養不足などに解消して、原爆の影響を極力否定しようとしてきました)

―甲状腺機能低下症と放射線被曝とに有意な相関性はない。(甲状腺の場合、半減期の短い放射性ヨウ素の内部被曝の影響が大きいので、被曝線量測定値と発症率との相関性が確定しにくい。福島の今後にも関わる課題です)―などなど。

「仮に、爆心地から二・七kmで被爆し、爆心地に近づかなかったとしたら被曝線量は?」との反対尋問に至っては、初期放射線しか認めない立場からの、まったくナンセンスな質問でした。

「たとい一命をとりとめた被爆者にも、生涯いやすことのできない傷跡と後遺症を残し、不安の中での生活をもたらした。…高齢化の進行している被爆者に対する保健、医療及び福祉にわたる総合的な援助対策を講じ、あわせて、国として原子爆弾による死没者の尊い犠牲を銘記するため、この法律を制定する」

―被爆者援護法の前文ですが、厚生労働大臣の代理人たちは、この法律をどう考えているのでしょうか?

(2012年11月18日付「兵庫民報」掲載)

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