記事を検索

2012年11月18日日曜日

観感楽学

映画『放射線を浴びたX年後』が上映中だ(大阪・シアターセブンで二三日まで)。一九五四年三月一日のビキニ水爆実験は第五福竜丸にとどまらず千隻に及ぶ漁船、日本を含む世界中に汚染を広げた。その実態は闇に隠されていたが、高知県の高校生たちが被爆船を捜し歩くことから始まり、汚染の実態が映像で明らかになった▼被災船は船体と漁獲物を検査され汚染マグロは廃棄処分された。しかし、第五福竜丸以外の漁船員は検査もされず漁獲物の放射能検査も年末には打ち切られ、放射能に汚染されたマグロなどは市場に出回ったのだ。同年五月には政府調査船が出向いたが水しぶきを浴びるだけでも危険というほどの汚染状況で、乗組員に白血球減少症が多発した▼漁船は操業中止を指示されることもなく、その海域の危険性も知らされなかった。米政府が行っていた水爆実験の世界的影響の調査報告書も発見され不都合な結果を隠し通そうとした日米政府の策謀が告発された▼日米政府はどれだけの漁船と漁船員がどれだけ被爆したか調べようとしなかった。広島・長崎の原爆被害でも福島原発事故でも被害実態を隠そうとする策謀との闘いが決定的だ。(K)

(2012年11月18日付「兵庫民報」掲載)

日付順目次