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2012年10月21日日曜日

憲法が輝く県政へ(18)

基本的人権行使への支援を

兵庫障害者連絡協議会事務局長 井上義治

兵庫県の身体・知的・精神の障害者手帳の所持者は毎年増え続け、30万8千人を超えました(2012年3月末現在)。障害者手帳の所持率は5.5%、県民18人に1人の障害者に相当します。いまや障害者問題は、他人ごとではありません。

福祉を変質させた「自立支援法」


障害者(児)は、障害があるがゆえに、一人ひとりのニーズに応じた様々な制度(サービス)を利用しなければ人として生きていけません。その制度のありようを根本から変えた「障害者自立支援法(以下、自立支援法)」が、2006年4月から施行されました。この法律は、自民・公明両党の賛成で成立したものです。

この自立支援法は、①障害は自己・家族責任であるから、制度利用を私益として「応益負担(定率1割負担)」を導入②サービスを利用するには「障害程度区分」認定を必要とし、その区分によって利用できるサービスを決定③サービス利用は事業者と利用契約し、買う福祉に変更④報酬の日割り制度などを特徴としています。

憲法違反だと訴えて


私たち障害当事者や家族、関係者は、「自立支援法の廃止」を求め多くの団体との共同行動を行ってきました。あわせて、2008年10月、「障害のある人だけが障害(バリア)を取り除くために利用料を払うのは、憲法14条(平等権)違反」「福祉施策を利用することは法に基づく市民権の行使、憲法13条(幸福追求権)」、そして「憲法25条(生存権)に反する」として、全国の14地裁に提訴しました。兵庫では、最終的に13名の原告が裁判に立ち上がりました。この裁判は、「自立支援法を廃止する」とした民主党政権のもとで、国と原告団が「基本合意」を結び(2010年1月)、裁判所の関与で和解し、終結しました。

自立支援法に対する私たちの運動で、成人の場合の所得判断は2008年7月から「世帯全体」ではなく「本人及び配偶者」に、低所得者の福祉サービス・補装具の利用料は2010年4月からゼロ円となっています。

「自立支援法」の最悪部分を引き継ぐ兵庫県


しかし、この時期、兵庫県は「行財政改革」推進と称して、2008年度予算で民間社会福祉施設居住改善整備補助(2080万円)の廃止、のじぎく療育センターの廃止(2億1477万円)、知的障害者の訓練ホーム・生活ホーム補助7610万円の県単独補助の廃止などを行いました。

2009年には、重度障害者医療費助成制度の所得制限を「特別障害者手当の所得制限(扶養親族2人の場合の給与収入金額883万2千円)」から「自立支援医療制度に準拠した所得制限(市町村民税所得割額23万5千円未満。扶養親族2人の場合の扶養義務者の所得593万円)」に引き下げ、あわせて、一部負担金も引き上げました。このことによって、全国でも最も所得制限が厳しい県となりました。

本年7月からは、重度障害者医療費助成制度の所得判定単位を「同一世帯の最上位者」から「世帯合算」にしました。その理由は「自立支援法医療制度の世帯構成員相互に支えあうという考えにあわせる」としており、自立支援法の最も悪質な部分を引き合いにしています。

同時に、乳幼児等・子どもの医療費助成制度にもこの考え方を適用し、全県下の障害者・乳幼児・子どもたち約5万4千人をこの制度から排除しました。ただし、一部の市町は「世帯合算」を適用せず、市町独自に従前のまま頑張っていることは大いに評価できることです。

私たちぬきに、私たちのことを決めないで


医療費問題は、いのちの問題に直接、影響します。障害のある人たちだけでなく、幼い子どもたちにもなんと冷たい兵庫県政なのでしょうか。

私たち障害当事者は、「私たちぬきに、私たちのことを決めないで」を合言葉にして、国連障害者の権利条約の批准をめざして、国内法の見直しにとりくんでいます。

私たちのこの合言葉が真に兵庫県政に生かされ、憲法等に基づく基本的人権の行使を支援する温かい兵庫県政の実現を強く望みます。

(2012年10月21日付「兵庫民報」掲載)

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