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2012年10月7日日曜日

憲法が輝く県政へ(16)

2千戸近い農家が毎年離農

兵庫県農民運動連合会事務局長 上野信行

高齢者が支える県農業

兵庫県農業の実態ですが、5年に1度の農業センサス(農業の国勢調査、2010年)によると

①総農家戸数は、95499戸で、5年前(10万4990戸)に比べ、9941戸(9.0%)減少した。年平均1988戸の離農である。

②販売農家(30a以上か年50万円以上の売上のある農家)は、56793戸で、5年前(6万5104戸)に比べ、8311戸(12.8%)減少した。

③販売農家の就業人口は73366人で、5年前に比べて2637人(22.0%)減少。平均年齢は67.8歳。65歳以上がなんと68.4%である。

農家の間では「県農業はあと10年、いや5年もつか」と自嘲気味によく語られる。長年続いた農産物の自由化をおしすすめ、農業では生計を成り立たなくさせた結果である。

TPP「受け皿」づくりの規模拡大政策


自民党政権時代から、一方で農産物の自由化をおしすすめ、もう一方で輸入農産物に対抗できる農業をめざすとして「規模拡大」が推し進められてきた。民主党に政権交代し、今、自民党農政をはるかに上回る規模拡大政策が行われようとしている。

「人・農地プラン」と言われるもので、平地で20~30ha、中山間地で10~20haの経営体を作るというもの。自民党政権最後の規模拡大政策であった品目横断的政策(個別4ha、集落営農20ha)をはるかに上回るものである。これを5年間で行い、耕地面積の8割程度を集積するというものである。

これを推進するには小さい農家の多くに農業をやめてもらう必要がある。自然には実現しないので、「農地集積協力金」なる「離農促進協力金」とも言うべき一時金が、農地の「出し手」には10a当たり30万円から70万円、「受け手」には10a当たり2万円が支払われる。これは多額の税金を使って大量に離農者を作るものである。

当初は、離農者が再び農業に復帰しないように、田植え機、トラクター、コンバインなどを「廃棄処分か無償譲渡せよ」の条件があったが、さすがにこれは農家から猛反発を受けなくなった。このような政策をまともに実行させるわけにはいかない。

県、自治体の役割は重要


これらの政策を実際に推進するのは地方自治体である。とりわけ県の権限は大きい。唯々諾々と国の政策をおしつけるようなことをやってはならない。

第1に、県は、選別、排除の立場にたたないこと。経営規模によって選別した自民党時代の品目横断的政策から、民主党政権は、まがりなりにもすべての農家を対象にした戸別所得補償政策を採用した。県は、経営規模で選別せず、「やりたい人、続けたい人」はすべて大事な県農業の担い手であるとして支援の対象にすること。

第2に、農村では、「なんとか集落の農地を守ろう、地域を活性化させよう」と頑張っている農家がたくさんいる。これら農家の意見をよく聞き尊重すること。

第3に、画期的な青年就農給付金(年15万円、最長5年)に、「人・農地プランに位置づける」などの条件はつけないこと。国にも要請すること。

第4に、TPP参加には反対すること。県は、最悪の場合、県内農家が2020年に6割減、総農家数は現在の4割弱の3万6千戸に減少する、耕地面積も4割弱の2万2千haに減少と試算したはずである。

今、県農業は正念場に立たされている。県を先頭に、市町、農家が一体となって県農業再建のために努力する時である。

(2012年10月7日付「兵庫民報」掲載)

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