記事を検索

2012年9月16日日曜日

憲法が輝く県政へ(14)

公契約条例で安全・豊かな地域

兵庫自治体労働組合総連合執行委員長 森栗 強

「公契約条例」は、2009年9月に全国で初めて千葉県野田市で制定(翌年2月施行)され、その後、川崎市、相模原市、多摩市、渋谷区、国分寺市で実現している。そのほか、札幌市などでも条例実現の動きが出ている。

「公契約条例」の運動はもともとアメリカ等の「リビングウェジ(生活賃金)条例」を基本にしていた。しかし、生活賃金、労働者の賃金保障だけがねらいではなく、自治体の役割を果たす上で、多くの側面を持つ。

①生活賃金・良質な公的サービス確保


1点目は、「生活賃金・良質な公的サービスの確保」である。

低賃金の仕事に市外からわざわざ交通費を使い勤務する人はいない。そのほとんどが市民であり、行政は「市民の生活」に責任を持つ責務を有している。市民の福祉向上のために「公契約条例」の意義がある。

②地元事業者の育成


2点目は、「地元事業者の育成」の側面である。

中小都市の市内事業者は、ほとんどが中小企業であるが、自治体の財政難とも相まってダンピングが横行している。

そのダンピングで受注するのは東京・大阪に本社を構える大手企業であり、市内事業所は下請けとして安値で仕事を押し付けられ、儲けは東京・大阪の大手が吸い上げるという重層構造・「ピンハネ」の構図が広がっている。

また「適正な価格競争」が阻害された例もある。京都市で、地デジ化により、市内の学校のテレビを一斉に入れ替える事になったが、入札の結果、大手家電量販店「ヤマダ電器」が受注。地元の小売店は排除されたため、市民から批判の声が上がった。

不当なダンピングを防止し、適正価格での競争によって市内事業者が受注できるように役立つのが「公契約条例」である。

③防災・減災でも地元業者の強み生かし


3点目は、「防災・減災」の側面である。

地元の事業者が様々な仕事で「街づくり」に参加することで、市民目線で意見を持ち、行政への参画の道が開く。それにより、防災計画も行政からの1方的な計画でなく、市民自らのものとなる。

受注業者と災害時の協定を締結し、建物・施設や上下水管などを即座に点検・修復するなど、地元ならではの強みを生かすことができる。

④地域経済の再生


4点目は「地域経済再生」である。

地元事業者の育成により、地域内・地元に「お金」が還元され「地域内再投資力」が増す。地域経済の再生は主に中小企業の活性化が不可欠である。

その意味では「公契約条例」だけでなく「中小企業振興条例」も合わせての制定運動が重要である。2010年6月18日に「中小企業憲章」が閣議決定をされており、その意味では「公契約条例」より進んでいるとも言える。

東日本大震災からの復興でも重要に


東日本大震災でも、これから復興事業に多額の財源が投入される。無駄な大型公共事業は反対であるが、震災復興はどうしても大型公共事業が必要になる。

その時に大企業だけが「ぼろ儲け」をするのでなく、被災地で適正に復興財源が還流されることが求められる。その事が「人間復興」「生活復興」と密接に関係している。

震災復興闘争に「公契約条例・法」制定の観点を前面に押し出す必要がある。

(2012年9月16日付「兵庫民報」掲載)

日付順目次