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2012年8月12日日曜日

憲法が輝く県政へ(10)

大企業より中小企業に支援を

日本共産党兵庫県議会議員 宮田しずのり

上限なしの補助金で大企業を誘致


パナソニック尼崎工場。昨年6月のある日の朝礼で突然、従業員に「工場が生産停止になるので10月いっぱいで全員辞めてもらう」と言い渡されました。

主に梱包と出荷の仕事を行う請負会社で、時給950円、12時間・2交代勤務、雇用契約は1カ月毎の更新で1年4カ月働いてきたAさんは、やむなく9月で会社を辞め、いまだに次の仕事はありません。

こうして非正規労働者1千人以上が職を失いました。また、実態は公表されていないものの出入りの中小企業等にも打撃を与えたことは言うまでもありません。

「雇用が増える」「税収が増える」と2000年代初めから全国の自治体が巨額の補助金制度をつくり大企業誘致を競う中で、兵庫県は、設備補助(投資額の3%)、雇用補助、しかも全国で唯一「補助額の上限なし」の企業立地集積条例をつくり、誘致に奔走。

この補助金を受けパナソニック社が尼崎市に世界最大のプラズマディスプレイ工場を建設し、3工場が05年9月から順次稼動しました。ところが、業績の悪化を理由に12年3月までに、第1工場は稼動から6年、第3工場はわずか2年で生産を停止、第2工場だけが稼動しています。

パナソニック社の余りにも身勝手な行動で、県も尼崎市も振り回され、改めて大企業を中心とした誘致補助制度や自治体の産業・経済政策の問題点が浮き彫りになりました。

雇用・地域経済に無効どころか逆効果


第1の問題は、多額の補助金を出して大企業を誘致しても雇用や地域経済には効果がないどころか、逆効果を及ぼす場合もあるということです。

パナソニック尼崎工場の場合、同社の直接雇用の正社員はごく少数、殆どが請負会社等の非正規・低賃金労働者で、あげくの果ては身勝手な企業活動の調整弁にされ、新たに大量の失業者を生みす結果となっています。

多額の県民の税金が水の泡


第2の問題は、多額の県民の税金が水の泡となってしまうということです。

県は、パナソニック社に対し、尼崎第1、第2、第3の工場と姫路工場に、合わせて約2百億円の補助金支給を決定し、05年~17年までの13年間に分割交付します。すでに12年度までに122億44万円(うち尼崎工場分は88億4千4百万円)を支払っています。

しかし、これまで早期撤退等に対する補助金返還請求の規定も無く、日本共産党県議団の徹底した追及の結果、慌てて規定を作り返還させたのは12億5千7百万円で、尼崎工場分の支給済額のわずか14%に過ぎず、生産停止した以外の工場分の補助金は払い続けます。

県民には相次ぐ「行革」で福祉、医療、教育の予算を削りながら、企業誘致補助金は“聖域”扱いし、投入した莫大な税金がムダになっています。

中小企業向けはパナソニック1社の半分以下


こうした大企業に対する優遇策の一方、事業所数で99%、雇用の7割を支えている中小企業向けの予算は融資を除くとパナソニック1社に対する補助金の半分にも満たない額です。

負債1千万円以上の中小企業の倒産は今年も月平均50件にものぼり、特に建設関連が高い比率となっていますが、県下の土建業者などから要望の強い住宅リフォーム制度にも背を向けたままです。

今こそ、井戸知事が進める大企業優先から、中小企業支援を中心とした産業・経済政策への転換が求められています。

(2012年8月12日付「兵庫民報」掲載)

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