2012年7月15日日曜日

憲法が輝く県政へ(6)

こども病院をなぜポーアイに〈中〉

兵庫県保険医協会副理事長 武村義人

前号からの続き)

当会は、県がポートアイランド移転計画を国に申請したことを、昨年8月5日付「兵庫保険医新聞」に掲載して会員に知らせたところ、不安の声が多数寄せられた。そこで、8月末に会員にFAXアンケートを実施したところ、千件を超える回答が寄せられ、高い関心が示された。結果は「反対」「どちらかといえば反対」が最多の45%で、「賛成」「どちらかといえば賛成」22%の倍であった。しかし「わからない」とする意見も22%を占めた。

当会は、こうした会員の意見を受けて、会員への情報提供につとめることにし、関係者へのインタビューを行っている。

県産科婦人科学会会長も断固反対


元こども病院周産期医療センター長で兵庫県産科婦人科学会会長の大橋正伸会長は、「こども病院は安全な場所になければならない。移転には断固反対」とし、阪神・淡路大震災のとき「病院は停電し、NICUなどが使えなくなり……微妙なコントロール下にある新生児を他医療機関に移すのは本当に大変。大人を移すのと訳が違う」と当時の苦労を語っている。

県が移転の理由としている中央市民病院と隣接することによるメリットについても「病院を隣り合わせにしても単純に相乗効果があるとは思えません」とし、むしろ「大災害時に市民病院もこども病院も機能停止になれば、兵庫県の周産期医療は崩壊してしまう」と警鐘を鳴らした。

申請が国に受理されてから他案を検討


しかし、厚労省は2011年10月に、地域医療再生計画の申請に対する審査結果を県に通知。再生計画を承認するとともに、こども病院の建替え構想に対して30億円を交付するというのが、国の回答であった。

県は、これを受けてポートアイランド案のほか、現地建替え、神戸テクノロジスティックパーク、北区の住宅他の3案を加え、4案の比較検討資料を作成。今年1月に「総合事業等審査会」で審議した「結果」、ポートアイランド移転を決定したとしている。

しかし、国に申請して受理されたものを、今さら他案と比較検討してひっくり返すなどということがあるはずもなく、このような比較検討が形式的なものにすぎないことは明らかである。

ちなみに、4案の比較では―①面積は、現地の約3万1千平方mに対し、ポートアイランド2期地は約2万6千平方mで84%に縮小。他の2候補地も約2万2千平方mで、現地がもっとも広い。

②用途地域は、現地が「第1種住居地」で良好な環境であるにもかかわらず、ポートアイランド2期地は「商業地域」。

③大規模災害のリスク状況としては、ポートアイランド2期地は「大規模災害の影響がある恐れは低い」とし、「兵庫県南部地震発生時に広範囲で液状化が発生したが、主な道路の車での通行に支障はなかった」などとしている。

④費用については、現地であれば170億円で可能だが、ポートアイランド2期地の場合は、用地取得費が必要となるため、総額で214億円と最も高額。国の交付金30億円が入るものの、神戸市に土地代として24億円を支出しなければならない。

―など、実態も明らかになってきた。
(次号に続く)

(2012年7月15日付「兵庫民報」掲載)