住民と企業に信頼され展望ひらく
日本共産党の堀内照文衆院比例予定候補と金田峰生参院兵庫選挙区予定候補は4月4日、福崎町の嶋田正義町長を訪ね、日本共産党の「社会保障充実、財政危機打開の提言」などについて懇談しました。(文責編集部)
*福祉充実がまちに明るい展望ひらく
堀内 この間、私たちは「提言」をもって、各地の市町長や商工会を訪問しているのですが、「今の経済情勢で増税すべきでない」という方がほとんどです。「経済をよくしようと思ったら、内需をどう拡大するのか、が鍵だ」ということは誰も否定されません。
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嶋田正義・福崎町長 |
嶋田 時宜にかなった「提言」だと思います。
堀内 「提言」が出て最初に訪問したのが、相生市の谷口芳紀市長でした。去年の春から子ども医療費を無料化されています。
嶋田 少子化を何とか止めたいのだが、「福崎町が中3まで無料化して喜ばれている。あなたのところでできるなら、うちでも」と実行されたそうです。
堀内 無料化が始まると、その月から母子手帳の発行が過去10年の最高件数となり、赤ちゃんが増える兆しが見えて来たといいます。
嶋田 よかった。
堀内 学校給食の無料化財源は市財政の0.5%。政治の姿勢いかんで財源は確保できるし、明るい展望を開けるんだということに、私たちも非常に大きな勇気をもらいました。
*独自施策へのペナルティはやめてほしい
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堀内照文・衆院比例予定候補 |
金田 福崎町はこうした取り組みを先進的に進められてきていますが、いろいろ困難もあったのではないでしょうか?
嶋田 堀内さん、金田さんにぜひお願いしたいのですが、国会に出て、市町の独自施策へのペナルティは無くしてほしいですね。
国は、「無料にすればみんなが病院へ行き、医療費がかさむ」といって補助金を減額します。医療費を無料化して、なぜ福崎町が1,250万円もペナルティをかけられるのか。これは辛い。
多くの市町が中3までの無料化に踏み切り、その力で「ペナルティ撤回を」との声をどんどんあげて国の姿勢を改めさせなくてはなりません。
堀内 早期発見・早期治療で医療費はかえって抑制されるはずなのに逆ですね。
自治体関係者の皆さんから、国の制度が、「三位一体改革」を筆頭に、自治体財政を締め上げる、本来あったものがなくなったり、政権交代で制度が変わる中、ずいぶん翻弄されてきたという話を各地で聞きました。
嶋田 国民がもっともっと怒らなくてはいけないと思います。日本人は忍耐強いと褒められたりしていますが、今は怒りを燃やして行動に立ち上がる時だと思います。
金田 公約を平気で投げ捨てる、社会保障の財源だと消費税を増税しようとしている、被災者・国民が一生懸命に立ち上がろうとしているのに、それを打ち砕くような増税を押し付けようとする今の国の政治手法をどう見ておられますか?
嶋田 まったくけしからん話です。公約に掲げたことを実行せず、ことごとく破棄し、自民党が言っていた方向に逆戻りして、ものによってはそれ以上のことですから。
*住民の暮らしと安全支える公務員
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金田峰生・参院兵庫選挙区予定候補 |
嶋田 町政運営で大事なことは二つです。一つは情報の公開。もう一つは職員の資質向上です。
良いことも悪いことも隠さずに公表するということが町政を進めていく上で大事です。職員の資質を高めるのは、町長の仕事でもありますが、議員の皆さんの仕事でもあります。議員さんが的確な質問をしてくださることが町職員の資質を高めます。
金田 今年の職員採用は何人ですか?
嶋田 正規職員は7人採用しました。退職者の補充はきちんとして、世代間で不均衡が出ないようにしています。今年の国家公務員のような採用減はしたくありません。町の場合、すべての職員が直接、住民の仕事をお手伝いしていますから。
堀内 人づくりが町政の要になっていますね。
昨年の台風12号で奈良に土砂ダムができたとき、震災による土砂ダムへの対処を経験した新潟県内の国交省出先機関の職員が奈良へ応援に駆けつけました。蓄積をもつ出先機関を廃止していいのかと思います。
兵庫県でも佐用町の水害では、国交省姫路事務所では副所長なども現地のことをよく分かっていました。地名をいうだけで、状況や対処策を次々と答えてくれました。
逆に、地元の方が合併で広域になったのに職員も減らされ、いざという時にすぐ対応ができなかったのは本当に大変だと思いました。
公務員削減は、町民の安心・安全を削るのだということを実感として思い知らされました。
嶋田 福崎では税金申告のお手伝いもしています。今、農家も昔の青色申告並みの収支計算をします。それを自分でしなければならないとなると申告できない人もいるでしょう。医療費など控除できるものまで、控除せずに申告する人もいます。そうならないよう職員はていねいに指導しています。
自治体職員になろうと思っている人は、本来、住民サービス・公共サービスに貢献したいと思っているのです。採用試験の面接でなぜ公務員をめざすのかと話を聞けば、公平な目で見て住民サービスに貢献したいと、皆言います。皆その気で入って来た訳ですから、住民の皆さんと接して、温かく親切にしたいという気持ちがほんとうの姿なんです。
福崎町の町民税(現年度分)納税率は99.1%。住民の皆さんもよく見ておられて、親切にしてくれるならと納税に努めていただいているのだと思います。
堀内 町政への信頼感がなければ納税しようという気になりません。
嶋田 一方で、今年の統計はまだですが、納税者の所得は260万円からここ6年で30万円も落ちています。
*堅実な企業が福崎町へ進出・出店
金田 法人税の方はどうなんでしょうか?
嶋田 工業団地には色んな業種があって、いっせいに落ちてしまうということはありません。進出企業に対し、税制面で優遇はしませんが、そこの労働者が生活しやすいような町づくりで応援したいと答弁しています。
金田 堅実な事業体が来ているようですね。
嶋田 おかげさまで、そういう会社の方が町の事業に色々な面で支援をしてくれるのです。例えば「歩こう大会」の途中で配る飴や秋祭り・夏祭りの景品など、けっこう住民にサービスしています。ニット製造の会社が行う年1回のバーゲンもすっかり町の風物詩になり、国道に自動車が並ぶほどにぎわいます。
「赤旗」でも紹介していましたが、海外進出は、優遇措置ではなく需要があるかどうかで決めるというのが7割という統計もあります。国内でもそうでしょう。福崎へ進出している企業も事前に市場調査をしているはずです。
金田 「提言」は、民主的な経済改革が一つの柱ですが、住民の生活も保障・サポートし、信頼してもらえるような良い政治をすれば、税収も上がる。あとは景気の問題。福崎町政は「提言」の先取りですね。
*日本共産党の頑張りが試される時
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懇談には2人の福崎町議も参加。 (右から)嶋田町長、堀内氏、石野光市町議、小林博町議、金田氏 |
堀内 戦後の自民党政治が行き詰まり、政権交代したが、民主党もていたらく。「政治を変えてほしい」というエネルギーの行き場がない閉塞感を利用している動きを軽視はできませんが、同時に、橋下徹氏の流れで政治が変るのかと言えばけっしてそうではない。大企業・アメリカ優遇という根本を正していく日本共産党がいかに頑張るかが試されています。
嶋田 今、共産党が一番頼りになる時だと思います。同時にやはり、頼りにされるというのは頼りになる行動があってこそです。それが無ければ共産党の良さも知られないままということになりかねません。
今、「提言」をいかに国民の中に持ち込んでいくかが重要です。精力的に幹部の皆さんが全国的に講演しているのはうれしいことです。
堀内 兵庫県でも5月8日に小池晃政策委員長が出席して「経済懇談会」を開きます。
嶋田 国民に対しては平易な言葉でゆっくり説明することが大切です。書き言葉との違いに気をつけて話し言葉を磨くことも大事ではないでしょうか。
堀内・
金田 私たちも「提言」への共感を広げ、政治を前向きに変えるため、全力をあげます。
(2012年4月15日付「兵庫民報」掲載)