日本共産党兵庫県副委員長 堀内照文
昨年末の総選挙では、日本共産党は八議席を確保しました。多くのみなさまのご支援に心から感謝申し上げるとともに、近畿比例で一議席を減らしてしまい、私も議席に届かなかったことを、お詫び申し上げます。
今回の選挙戦で得た教訓をしっかりと掘り下げ、直ちに今年夏の参院選勝利への活動へ生かして奮闘したいと思います。
選挙結果の全体は、「自民圧勝」というものですが、実際には、「政権交代」で大敗した前回と比べても二百万票以上も減らしています。公明党も前回比で百万票近く減らしており、とても「勝った」とはいえない中身です。「二大政党」全体でも七割近くあった得票が四割台にまで落ち込んでいます。兵庫では三九%にまで落ち込んでおり、「二大政党」の支持基盤の崩壊はより顕著です。「維新」など「第三極」は、近畿で伸ばしたものの、当初の勢いを欠くものになりました。「未来」は六十余議席から九議席への惨敗です。
「政治を変えたい」という国民的な模索と探求はさらに深まり、そのエネルギーが大きくなっていくことは間違いありません。
そうしたなか、勝ち取った八議席は今後のたたかいの足がかりとなる貴重な議席です。
模索する有権者に党の主張や政策、立場が届くほど広がる手応え
選挙戦そのものは、最後まで模索する有権者に、党の主張や政策、立場を届ければ届けるほど広がる、確かな手ごたえを実感するものでした。
そうした有権者の動向を考えて、一カ所十五~二十分の街頭演説を丁寧におこなうことを心がけ、最後まで演説は十五分程度を、丁寧に語ることを貫くなかで、徐々に手ごたえが生まれてきました。特に、最後の三日間は、文字通り尻上がりに反応がよくなり、最終日は、これまでに経験したことがないほど、男女問わず、どの年齢層からも、またどのテーマでも、うなづいたり、手振りや「がんばれ」などの激励、宣伝物を向こうからとりにくるなどの姿が相次ぎました。後にある事務所でお話をうかがうと、小選挙区候補が地元駅で最終日の夜に宣伝をしていると、「今日は昼に神戸で演説を聞いた。共産党に入れることを決めた」と若い人たち三人くらいから声をかけられたそうで、訴えが届けば確実に広がっていった選挙だったと思います。
論戦の中身では、「提案し、行動する」党の立場が、有権者の心をとらえました。消費税増税に頼らない財源論、いますぐ原発ゼロこそ本当に責任ある提案であること、政党のあり方論などにくわえ、当初、“経済政策は自民党”のような雰囲気がつくられていましたが、“リストラでは産業の未来もない、大企業の内部留保の一部を活用して正社員の雇用を増やしてこそ、ホンモノの景気回復策”とのわが党の訴えは、若いサラリーマンや女性層も含めて、現役世代の心をとらえる力になったことは、これまでにない新しい特徴だと思います。また、憲法問題でも、従来距離のあった中高年の男性層からも「国防軍でいいのか」との懸念から、尖閣諸島や北朝鮮問題も含めて、紛争の解決のためには外交手段が大事であること、共産党の野党外交を紹介すると、共感する反応が寄せられたことも新しい特徴でした。
「経済提言」や「原発ゼロ提言」など、この間の政策提起の成果であり、約一年かけて懇談会や、原発ゼロをめざす運動を多くの国民とともにとりくんできたことも大きな力となりました。
選挙中、自民党の安倍総裁も、消費税増税の実施は経済状況を判断するといわざるをえませんでした。ならば、中止すべきかどうか問われます。消費税増税の立場の違いを超えて、この時期の増税の中止を国会で多数にする条件が広がっています。原発ゼロも一〇年から四〇年と違いはあっても、少なくとも「なくす」という方向性は多くの政党が否定できなくなっています。ならば、その間、一つひとつの原発の再稼働の是非が具体的に問われてきます。また、改憲・タカ派の潮流では、山積する対中国、アジア外交で行き詰まることは必至です。
私たちがおこなった選挙中の論戦は、このように今後のたたかいにすべて生きるものです。政治のゆきづまりのおおもとにある財界中心、アメリカいいなり政治を正す立場と覚悟を持っているのが日本共産党です。目の前の問題の解決を通して、政治の変革を求める国民的模索に寄り添い、ともに打開する日本共産党の存在はますます大きなものになるでしょう。論戦の成果を新たなたたかいの力にして奮闘し、そうした姿を通して、「共産党の八議席があってよかった」「もっと大きく」と思ってもらえるよう、国会内外で(私はもちろん「外」でですが)活動を強めたいと思います。
国民に根を張った不抜の党をつくろう
「維新」などの動向から全国一の激戦といわれた近畿で一議席後退を余儀なくされたことは残念ですが、多くの人が最後まで模索し、前回と比べても一千万人の人が投票に行かなかったことを考えると、その一割でも獲得できる党であれば、あと百万票は上乗せできたのにと、やはり、私たちの「自力」不足を痛感させられます。
投票日の翌日・十二月十七日付の中央委員会常任幹部会の声明で、「党の力の根源は、何よりも、さまざまな困難に直面しその解決を求める各層の広範な国民に溶け込み結びつく力にこそあります」「行き詰まった古い政治のもとで、苦しめられている多くの国民と結びつき、その苦難を軽減する展望を語りあう……国民に根を張った不抜の党をつく」るとの指摘は、その点で非常に大事な今後の課題だと思います。
それでも、この間「党勢拡大大運動」にとりくむなかで迎えた新入党員のみなさんが、宣伝や対話に各地で奮闘する姿や、議会中にもかかわらず粉骨砕身いただいた地方議員のみなさんの奮闘には頭が下がる思いです。
第二十五回日本共産党大会で決めた成長発展目標の達成など、この二〇一〇年代を党躍進の時代にするために、本腰を入れた、性根をすえたとりくみが本当に求められていると思います。この点でこそ、党の真価が問われているとがんばりたいと思います。
(Web版のみ)