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2011年11月27日日曜日

若狭原発群からの撤退を:日本共産党が政府交渉

経済産業省と交渉する清水氏、(その左から)こくた・宮本議員ら

野田政権の原発推進に対し、日本共産党の近畿6府県、福井県の各委員会と国会議員団近畿ブロック事務所は11月22日、世界一の密集地、福井県若狭湾の原発群からの撤退などを求め、経済産業、環境、文部科学の3省と交渉しました。

福井原発群(15基)は近畿千4百万人の水源・琵琶湖から30km圏にあり、過半数が運転30年以上の老朽炉。高速増殖炉「もんじゅ」など核燃料サイクル計画の実験場にされているなど特別の危険があります。

要望は▽原発の再稼働・新増設反対▽老朽化や活断層上にあるなど特に危険な原発の廃炉、プルサーマル中止▽琵琶湖汚染対策▽福井県に隣接する府県・自治体と電力事業者の安全協定締結▽節電問題▽再生可能エネルギーの普及など31項目です。

関電が大飯3、4号機のストレステスト結果を報告し再稼働への動きを強めている問題では、地元合意もなく、「まともな規制機関なし」の再稼働は論外と指摘。

「もんじゅ」は、停止中も1日4千万円ものムダ遣いをしているとして、「今こそ廃炉の決断を」と求めました。

琵琶湖については、汚染の危険の認識をただすとともに常時監視体制をとることを要求。

今冬の節電では、正確なデータ、根拠を示して協力を求める、1般家庭に過度に求めない、節電を原発推進に利用しないことを求めました。

交渉には清水忠史(近畿)、藤野保史(北陸信越)両衆院比例候補、堀内照文兵庫国政委員長、宮田しずのり兵庫県議ら22人が参加し、こくた恵二、宮本岳志両衆院議員、山下よしき参院議員が同席しました。

(2011年11月27日付「兵庫民報」掲載)

福崎町長選11月29日告示・12月4日投票

住民が主人公の町政発展へ
しまだ正義氏が全力

しまだ正義氏
福崎町長選は、11月29日の告示が目前となりました。明るい福崎町をつくる会の現職、しまだ正義町長(76)と新人の松岡茂利氏(57)との一騎打ちの見込みです。

しまだ氏は、これまで16年にわたりすすめてきた公正明朗、「住民こそ主人公」の明るい町政を守り、さらに発展させたいと決意。福祉・子育て応援の町、災害に強く、安全・安心の町、農業・商業振興で活気ある町―など5つの町づくりの方向を「いきいきプラン2011(案)」にまとめ、保守・無党派も含め共感を広げています。

松岡氏は、しまだ町政に「異論はありません」としながらも、「郡内行政の連携・効率化」を主張し、小学校統廃合などを肯定しています。


(2011年11月27日付「兵庫民報」掲載)

公立高校の学区再編を考える―識者・関係者に聞く②

高塚の悲劇再現は許されぬ
鈴木英喜(元・神戸高塚高校事件を考える会代表世話人)

兵庫県は高校の学区を大幅に拡大する方針を打ち出しています。学校を選ぶ範囲が広がると歓迎する意見も少なくないといいますが、果たしてそれでいいのでしょうか。

神戸高塚高校事件

私はこのようなことを聞くと、21年前の1990年7月6日、遅れて登校する生徒を強制的に排除しようと、教師が実力で鉄製の門扉を閉め、女子生徒の頭部をはさんで死に至らしめた痛ましい「神戸高塚高校事件」を思い出さずにはおれません。

当時の県教育委員会と高塚高校は事件をひた隠しにしようとしました。私たち在校生の親たちの有志が「考える会」を組織し、最高裁判所までの裁判をたたかいました。こうした取り組みがあったからこそ、この事件は、今なお風化せず多くの人びとの記憶に留まることになったのではないでしょうか――といえば、簡単にことが運んだように思われますが、これが大変だったのです。

人権無視が根底に

まず、あのような大事件を起こしておきながら、保護者に対し校長から簡単な事実経過の報告が行われたのは、発生から2週間もたってからでした。しかも、質疑に入る前に司会者が「発言者は生徒の学年、氏名を述べること」と指示したため、約5百人の参会者がいっせいに抗議し、その指示を撤回させました。保護者の発言は、事件の根底に生徒の人権無視があることへの怒りに集中しました。

私たちは、こうした怒りの声を背に、翌91年1月、「神戸高塚高校事件を考える会」を発足させ、弁護士、教育関係の先生、国立教育研究所の先生などの皆さんから、阪神・淡路大震災の大変な時期も含め、幅広い支援をいただき、教育のあるべき姿について最高裁まで争いました。残念ながら裁判では負けましたが、私たちはこのたたかいを通して、多くの貴重な財産をいただいたと思っています。

わが家のことで恐縮ですが、当時、神戸高塚高校2年生だった娘は、あれ以来、毎年、事件当日にわれら夫妻の仲間とともに、校門前に献花してきました。今では娘だけでなく孫も献花に協力しています。8年前、脳溢血で倒れた私ももちろん参上、身体の続く限り献花を続けたいと思っています。

生徒にとって百害あって一利なし

なぜ、こんな不幸な事件が発生したのか、今のような時期だからこそ、じっくり思い返してみる必要があるのではないでしょうか?

ところが兵庫県は、今でさえ競争の激しい学区をさらに広げようとしています。学区拡大は、子どもたちをランクの輪切りの渦の中に放り込むこと以外の何ものでもない、このような細かい輪切りを際限なく拡大させるための何ものでもない、生徒たちにとっては「百害あって一利なし」だと、私は思うのですが、間違っているでしょうか。

(2011年11月27日付「兵庫民報」掲載)

救援ボランティアレポート(第10回)福島県いわき市

元の生活に戻す政治責任
田中 信一(東播地区委員会)

左端が田中氏
日本共産党兵庫県委員会の東日本大震災第10次救援ボランティアに参加し11月6日、福島県いわき市へむかいました。

福島県内だけでも11月10日現在、173カ所に約1万6千戸の仮設住宅が建てられ、いわき市好間工業団地には大熊町要請の仮設住宅が2カ所に240戸完成しています。10月から入居が始まっていますが、2、3日前に移ってきた人もいました。

7日朝、仮設住宅を大熊町議の石田洋一さんを含む2人1組3班で訪問。「共産党のボランティアです」と言うと、門前払いは1軒もなく快く応対してくれました。「建てて3年の家が大熊にありローンを払っている」「地震や津波にも大丈夫だった家があるのに」「もう帰れないと思う」「帰れたらなと30%願っていますが」と、これからの暮らしに不安を隠せない様子です。

家族に原発関連の仕事も多く「夫はいま現場に行っている」「私は2号機で掃除の仕事をしていた。いまは連絡待ち」。また「夫は仕事で埼玉に2週間行っている」「1人娘が仕事で千葉に行き寂しい」など家族がバラバラな状況も語られました。

夕方から、いわき市の住宅団地郷ガ丘に放射能測定結果のビラを配布すると、8日「私のところも測定ください」と事務所に数件の電話がありました。

津波被害がいまも手つかずの福島県いわき市
測定しながらビラを配布していると、車で追いかけてきた夫妻に「いま0.3μSv/hはあります」と測定器を見せると「ありがとう」とお礼を言われました。

まわっていると0.5や0.6と高いところがあり、いわき市も除染対策が必要だと思いました。

ビラ配布後、海岸線を見に行きました。四倉漁港には無残な船や車が寄せられて津波の凄さを見せつけていました。久之浜港は、瓦礫は撤去されていましたが、廃虚の街になっていて夕日が悲しく照らしていました。8カ月の時間がここでは止まっています。

仮設住宅の人たちが求める「元の生活に戻す」のは、政治の仕事です。

(2011年11月27日付「兵庫民報」掲載)

グリーンウェーブ実行委員会が緊急集会

TPP参加は「亡国の道」

「TPP(環太平洋連携協定)は一握りの大企業・財界の利益のために日本社会をアメリカに売り渡す、亡国の道」、TPP参加反対緊急集会が11月18日、神戸三宮東遊園地でひらかれました。兵庫農民連、兵庫県母親連絡会、兵庫労連でつくる秋のグリーンウェーブ実行委員会が主催、200余人が参加しました。

実行委員会からの訴えで永井脩兵庫農民連会長は、対アメリカと国内とで、参加表明の言動が異なる野田首相を厳しく批判。「農水省試算でも食料自給率が40%から13%に激減する。350万人の雇用が失われる」と強調しました。また全農兵庫労働組合の小東寛農業対策部長は、農協組合員の3分の1がすでに70歳以上で、組織基盤が減少している実態を述べました。

津川知久兵庫労連議長は、労働分野でもアメリカの要求をのみ、労働者派遣法改定が骨抜きにされた経過を述べ「TPP参加阻止へ共同のとりくみを広げよう」と訴えました。

白衣装に電飾をちりばめた「月光仮面」も集会参加。「TPPは売国行為。許せない!」と怒っていました。

(2011年11月27日付「兵庫民報」掲載)

地域人権問題東播地区研究集会

原発・食料・介護を考える

第27回地域人権問題東播地区研究集会(実行委員会主催)が11月20日「平和と平等と人権を大切にする地域づくり運動の前進を」をテーマに、明石市勤労福祉会館でひらかれ約170人が参加しました。

無言館館主の窪島誠一郎さんが記念講演。夭折画家の絵を展示した信濃デッサン館と、戦没画学生の絵を集めた無言館の建設経過を述べ「画学生たちは、かけがえのない肉親への感謝と、自分の命の証しを描いた。いまを生きる私たちに明日をどう生きるか問いかけている」と語りました。

基調講演で神戸女子大学講師の阿江善春さんは「安全装置として社会保障が守られないと、社会は真っ暗闇になる」と述べました。

3人が報告。「原発推進と安全神話、宣伝のために国民負担の電気料金が使われてきた」(桜井聡電力兵庫の会幹事)、「アメリカは不況打開へTPPで日本への輸出2倍化を狙っている」(永井脩兵庫農民連会長)、「国民の願いとかけ離れた介護保険制度になろうとしている。小さなコミュニティの中で安心して暮らせるまちをみんなでつくろう」(肥塚俊一ほのぼのの郷所長)が出されました。

(2011年11月27日付「兵庫民報」掲載)

核兵器のない世界へ:日本原水協国連要請団レポート(下)

ウォール街デモに参加
垣本 聖

アメリカの平和活動家ジョゼフ・ガースンさん(左から3人目)と
垣本さん(右から3人目)ら要請団
核保有国ロシアの政府代表は、核兵器禁止条約の交渉開始を求める私たちの要請を、支持はするものの、「核兵器廃絶よりも世界の安定が必要だ」と語りました。核兵器廃絶の立場に立っていないので、こちらからのアプローチがまだまだ必要だと感じました。

国連軍縮問題担当上級代表のセルジオ・ドゥアルテさんを訪問しました。「みなさんの来訪をとてもうれしく思う」と歓迎してくれました。ドゥアルテさんは「みなさんの活動は私たちと市民社会を結びつけている。私たちの仕事を支持してくれている」と語りました。原水協の活動の大きさを、改めて実感しました。

また「本部ビルに昨年のNPT(核不拡散条約)再検討会議の場で日本原水協が提出した700万の署名を積み上げてあるので見てほしい」と言われました。

次の日行くと、署名は天井まで3mほどびっしり積み上げられていました。

アメリカの反核平和団体との交流では、ジョゼフ・ガーソンさん(アメリカフレンズ奉仕委員会)やニューヨーク市の平和旅団の人たちとざっくばらんに意見交換しました。日米安保条約のもつ危険性や、オバマ大統領がアメリカの軍事費に手をつけていないことなどを話し合いました。

その後、ウォール街のデモにも一緒に参加しました。集まっている青年たちが声をかけてくれ、私たちも訪米の目的などを話しました。持参した核兵器禁止の資料やグッズを渡し交流しました。

日本とは違ったデモを体験できました。日本でも、若者たちの行動が各地で広がればいいなと思いました。

核兵器をなくすとりくみに参加し、今回、国連本部や各国代表を訪問できたのは、とてもいい体験でした。でも、世界が思いを一致させる難しさもわかりました。

やっぱり、僕たちみんなの声を大きくすることが大事だと実感しました。平和を願う一人ひとりの声を、これからも伝えていこうと考えています。 (終)

(2011年11月27日付「兵庫民報」掲載)

元町賑わい座公演第2弾「トナリマチセンソウ」

突然始まる隣町との戦闘

稽古風景
劇団四紀会(村井伸二代表)が、常打ち小屋・神戸元町賑わい座公演第2弾として「トナリマチセンソウ」を12月2日から11日までの週末、神戸元町の劇団スタジオ・プチシアターで上演します。

三崎亜記の原作「となり町戦争」を団員が脚色、演出は十管業之介さん。「ショウガァル~異聞『舞姫』」につづく2作目です。

舞台は某都市の舞阪町。各家庭のテレビが突然、番組放送を中止し「明日から隣接する森見町と戦争を開始します。住民は有事に協力を」と伝えます。地域活性化や失業者対策を目的に、町議会の議決で始まる戦争。驚きながらも無関心でいる住民に、役所が「戦時特別偵察業務従事者」の辞令を交付します。近づく爆音、広報が知らせる戦死者の数…。

「原作は茫洋とした怖さだが、もっとリアルな恐怖として書いた。えらいことが起こっているのに、冷めている私たちって何だろう。寓話ではなく、ある種の警鐘でありたい」と十管さんは言います。


神戸元町賑わい座公演「トナリマチセンソウ」三崎亜記原作、十管業之介演出/12月2日・9日(金)19時30分、3日・10日(土)13時・18時、4日・11日(日)13時/元町プチシアター/予約制、一般1,800円、学生・身障者・シルバー1,500円/☎078・392・2421(20時以降)

(2011年11月27日付「兵庫民報」掲載)

神戸空襲写真&丹波サトルさん木目込み人形展

12月3・4日、兵庫県県民会館

自作の人形を前に丹波サトルさん(右)と娘の冨士谷香恵子さん

66年前の3月17日、神戸市街地を襲ったアメリカ軍の爆撃で、両親を失った丹波サトルさん(90)=長田区腕塚町=。戦争がどんなに悲惨か伝え、平和の大切さを知ってもらおうと「神戸大空襲写真展&木目込み人形・パッチワーク展」を12月3日と4日、兵庫県民会館1階ギャラリーでひらきます。

兵庫区御崎本町の家は跡形なく、父は行方不明のまま。捜しだした母は5日後死亡。遺体をドラム缶で泣きながら焼きました。焼け跡に残った金庫にはサトルさんの写真と成績表が入っていました。

愛情一杯に育ててくれた父母。「夢で会いに来てくれたのは父が2回、母は1回だけ」と言います。毎年3月17日は、神戸空襲を記録する会の慰霊祭に参加。神戸市に犠牲者名を刻んだ碑建設を求めて運動しています。

同会保存の神戸空襲の写真と、サトルさんが50代から習い始めた木目込み人形30点やパッチワーク作品を展示します。


神戸大空襲写真展&丹波サトル作「木目込み人形・パッチワーク展」/12月3日(土)・4日(日)11~18時(4日16時)/兵庫県民会館1階アートギャラリー

(2011年11月27日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

先日、ある団体が講演会を計画したところ、聴覚障害者から「参加したいので手話通訳をつけていただけないか」とのFAXが入りました。調べたところ手話通訳派遣制度で相当の経費がかかることを知り、乏しい予算を工面して手話通訳者を依頼することにしました▼今年7月、障害者基本法の改正法が成立。第3条に「全て障害者は…言語(手話を含む)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保される…」と、手話通訳や要約筆記、触手話・指点字等が聴覚障害者や盲ろう障害者の「言語」であるとの基本理念が初めて明記されました▼しかし、まだ聴覚障害者等が社会のあらゆる場面で手話通訳などを利用し、情報とコミュニケーションを保障される状況にはありません▼9月には聴覚障害者・関係者が「皆で創ろう!情報コミュニケーション法を」と116万筆以上の署名を国会に提出しました▼さきほどの団体はこの機会にと「聴覚障害者が社会参加し、コミュニケーション確保のため手話通訳者の派遣とそのための予算を」と神戸市に要望書を提出しました。改正基本法の理念が実現するよう、さらなる運動の広がりに期待したい。(N)

(2011年11月27日付「兵庫民報」掲載)