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2011年9月3日土曜日

丹波市革新懇結成

代表世話人を代表して挨拶する高見啓二氏

丹波市革新懇が八月二十七日、結成されました。

同日、丹波市のハートフルかすが大ホールで開かれた結成総会には、猛暑にもかかわらず七十人を超える人びとが参加しました。

最初に、兵庫革新懇を代表して岡本毅一代表世話人が来賓挨拶。

総会では、結成にいたる経過の報告(次号に詳報の予定)の後、農業委員、絵手紙講師や元市職員、元町議など、二人の女性を含む八人の代表世話人を選出。医師の高見啓二氏が代表して挨拶しました。

丹波市議会議長からのメッセージも紹介されました。

参加者らは、丹波での様ざまな課題の実現へ共同を広げることと、平和・民主主義・生活向上の三つの分野で古い政治をおおもとから変える革新の目標を掲げ、国民多数の合意をかちとっていくこと、この二つを統一的にすすめる革新懇ならではのとりくみへの決意を新たにしました。
結成総会を記念して、「原子力発電の話」と題し、全日本年金者組合兵庫県本部書記次長の阪井保宏氏が、三菱重工社員として原発製作にかかわった経験から、原発の問題点を分かりやすく講演しました。

質疑応答では、聴衆からは「福島原発のようすを聞けば聞くほど、政府や東京電力の無責任さに腹がたった」「実態を知るほど背筋がぞっとする。子どもたちのことを考えると心配です」と感想が出され、阪井氏は「感情的な不安ではなく、冷静に判断して批判的な目を持ちましょう」と話を締めくくりました。

(2011年9月4日付「兵庫民報」掲載)

姫路革新懇(準)がエネルギー問題講演会

池内了氏ら自然エネルギーへの展望を語る

講演する池内氏
姫路革新懇準備会は、講演会「『原発ゼロ』に向けて今こそ再生可能エネルギーへの転換を」を八月二十七日、カトリック姫路教会で開催。総合研究大学院大学教授の池内了氏と元関西電力労働者の本行清氏が講演しました。

呼びかけ人の大脇和代日本共産党姫路市議が司会し、はじめに本行氏が「関西電力の実態」について講演しました。 

本行氏は、七月の関電株主総会で株主から「再処理に一日七億円のムダ遣い」「役員賞与は節電なみにカットを」と意見が出されたことを紹介。一方で、「電力総連」から支援を受ける民主党参院議員が「脱原発は企業の力を落とす」「電気料金が上がり雇用が減る」など電力業界の代弁者となっていると批判しました。

また、革新懇近畿ブロックが八月五日、関西電力本社に要請・懇談したことを紹介し、関電姫路支店へ姫路革新懇として要請・懇談してはどうかと提案しました。


姫路市出身で宇宙物理学が専門の池内氏は「原発から自然エネルギーへ」をテーマに講演しました。 

具体的な試算も紹介し、現在は「地下資源文明」から「地上資源文明」への「文明の転換期」にあり「地産地消」のエネルギー政策こそ求められると強調。

20%の節電は一九九〇年レベルであり、それほど苦ではないこと。自らの足元から安楽な生活を見直し、可能な限り自然エネルギー利用を実践すること、性急にならず「自然エネルギーへの転換」を政府に要求していくことを提起。「脱原発のムードだけではなく、息の長いたたかいが必要だ」と結びました。

(2011年9月4日付「兵庫民報」掲載)

民青同盟東播地区委員会を再建

日本民主青年同盟東播地区委員会が八月二十八日、再建されました。同日、三木市内で開かれた第一回代表者会議に十人の同盟員が参加し、再建決議を採択、六人の地区委員を選出し、活動を開始しました。

高校生班結成も決議に

代表者会議では、はじめに日本共産党東播地区委員会の山口博明地区委員長が来賓挨拶し、「党地区委員会としても、民青地区委員会の再建決意に励まされている。震災・原発事故をうけて大きく変化している青年・学生の思いにこたえられる民青同盟として、綱領・古典連続教室など学ぶこと、食事会などの交流などを力に活動をひろげ、仲間もひろげましょう」と呼びかけました。

続いて、議長から、この間の活動経過の報告とともに、「一人ひとりの学ぶこと、行動すること、願いにこたえるとりくみをひろげることを支え、仲間を迎え、班をふやし、青年の身近な居場所となる東播地区委員会をつくりましょう」という再建決議案が提案され、討論をおこないました。
討論では―「裁判員制度や労働基準法など、身近な疑問から出発した学びが楽しかった」(三木班・フリーター)、「政治について、テレビなどとは違う視点で見られるのがいいかな。学校の校則についても、当たり前と思っていたけど、『おかしい』っていわれて初めてそう思うようになった」(高校生)、「小中高と友だちをつくってこなかった。民青に入るまでは、家族以外に話し相手がいなかった。同年代の人がいると聞いて民青に入ったけど、仕事のいやなこともふくめて話ができるのがいい。入っていなかったら、一人孤独にいきていたんじゃないかと思う」(明石班)―など、それぞれが実感している民青同盟の魅力を交流しました。

討論のまとめでは、「高校生どうしの交流をもっとしたい」という高校生同盟員からの要望をうけ、決議に「高校生班を結成する」ことが盛り込まれました。
地区委員長に選出されたNさん(23)は、「人とのつながりあいを大切にしながら、人の命が大切にされる政治と社会を実現するために、この東播で民青同盟を大きくし、活動を発展させたい」と新地区委員会の活動への抱負を語りました。
代表者会議の前には、みんなでバーベキューを楽しみました。

(2011年9月4日付「兵庫民報」掲載)

UR借上げ復興公営住宅:党県議団が知事に申し入れ

希望者全員に契約延長や買い上げを

日本共産党兵庫県会議員団(団長=練木恵子)は、阪神・淡路の被災者が住む「UR借上げ」復興公営住宅の問題で八月二十三日、井戸敏三知事に申入れを行いました。

申入れでは、住み替え前提でなく、「まず第一に被災者が安心して住み続ける住宅を保障」するため、「継続入居を希望する人すべてに、契約延長や買い上げの対応をすること」を求めました。

県知事は、二十二日の記者会見で、今回の「住み替え支援策」の「一番基本になるのは、住み替えを前提にしていること」と述べ、以前インタビューで「一棟買い上げも検討する」としていたこととの関係を問われましたが、「一棟買い上げも個別の住宅の(契約)延長も検討課題」と答えました。

結局、入居している被災者にとって、「(二十年の借上げ期限の)四年以上前なら満額の支援金がもらえる」などと、追い出し・住み替えをせまられることになりますが、“被災者に冷たい知事”としての批判を恐れ、「今回の実態調査を踏まえ、個別相談に乗りながら、買い上げや延長も検討する」と言わざるをえませんでした。

しかし、昨年の県調査でも、日本共産党が独自に行ったアンケートでも、「住み替えは困難」が入居者・被災者の多くの声となっています。「個別の状況」ではなく、入居者の大半の実態が「継続して住み続けること」を求めていることは明白です。

県の担当者は、「買い上げるとなると、『行革』で制限されている県営住宅戸数の兼ね合いもある」と述べ、県が買い上げなどの対応を打ち出せない背景には、「第二次県行革プラン」があることも、浮き彫りになりました。

今後、被災者の継続入居の願いをどう実現するのか、知事の言う「個別の状況」を広範に認めさせることも含め、世論と運動が、重要になっています。

(2011年9月4日付「兵庫民報」掲載)

県立淡路病院予定地の津波被害を検討

党淡路地区委員会が講演会

日本共産党淡路地区委員会は「南海・東南海地震にいかにたちむかうか」と題する講演会を八月二十一日、京都大学名誉教授の志岐常正氏を講師に招き、淡路市内で開催しました。

えびす智彦南あわじ市議の司会で始まった講演会は、岡田教夫地区委員長の主催者あいさつ後、片岡格洲本市議が県立淡路病院の移転の経緯や問題点、市庁舎建て替え問題では、現在の場所で本当にいいのかを住民に問いかけていることを紹介しました。

志岐氏は、講演前に県立淡路病院の移設予定地の洲本川河口周辺を調査し、その結果を講演で紹介。新病院が予定地に建設された場合、津波で被害を受け、建物はつぶれないが、周辺が浸水し、病院に行き着けなくなるおそれ、入院患者の孤立するおそれは、けっして小さくないと指摘しました。

また、志岐氏は、淡路島では、地震について海溝型と内陸型の両方を問題にしないといけないとして、プレート境界地震や中央構造線、淡路島内での直下断層について説明しました。液状化についても、ボーリングのデータを公表する必要があることを指摘しました。

さらに、新しい県立淡路病院建設にあたっては、説明会を開かせるなど住民の意見を反映させること、複数の専門家から意見を聞くセカンドオピニオン制度の検討を提起しました。

(2011年9月4日付「兵庫民報」掲載)

揚水発電所使ってる?

学生が奥多々良木発電所でフィールドワーク

奥多々良木発電所の内部

西宮の学生が八月二十五日、元関電社員で元日本共産党県議の北岡浩氏の同行で、朝来市にある関西電力奥多々良木発電所でフィールドワークを行いました。

出発前に北岡氏が学生たちに、「関西電力の有価証券報告書を基に計算すると水力発電はわずか17・2%しか稼働していない。今日行く奥多々良木発電所は日本最大の揚水力発電所で、原発二基分の発電能力を持っている。これがどれだけ動いているかを見に行くのが今日の目的。あまり動いてなかったら、“電気が足りない”と言っている関電の主張が間違っていることになる」と説明しました。

多々良木ダムを望む参加者
奥多々良木発電所は下部の多々良木ダムから上部の黒川ダムに夜間、水を汲み上げ、電力需要の多い昼間に水を落とし発電する揚水力発電。発電するタービンや、水を落とすパイプもすべて地下につくってあり、発電機がある地下も見学できました。

この日に動いていた発電機は六基のうち二基。「六基すべて動かせる日はあるんですか?」と聞くと、案内の係員は「私が出勤している日や時間で限ると、一日だけ五基動いていた日はありますが、ほとんど二基ほど」と答えました。

参加した学生は「日本一の発電所があるのには驚いた」「電力が足りない、といっていますがそうではないこともわかった!」と語っていました。


(2011年9月4日付「兵庫民報」掲載)

憲法県政の会:エネルギー問題で学習会

'13年知事選政策づくりの一環

憲法が輝く兵庫県政をつくる会は八月二十七日、神戸市勤労会館で「脱原発、自然エネルギー中心の社会へ」と題した学習会を開き、会場いっぱいの百二十人が参加しました。二〇一三年の知事選挙にむけた政策づくりの一環として開かれたもの。日本環境学会会長の和田武氏が記念講演し、「電力兵庫の会」の松崎保実氏が報告しました。

和田氏は、原発について、ヨーロッパや北米など減少傾向なのに、日本の増設は突出していること、原発建設を温暖化対策の口実にしながら、温室効果ガスを逆に増やしていることなど、日本のエネルギー政策の実態を示しました。

世界では原子力ではなく自然エネルギーが急増していると指摘。原発をもたないデンマークや段階的廃止のドイツでは、住民が共同して風力発電施設を所有・設置するとりくみをすすめてきたこと、国が電力の買い取り制度など自然エネルギーを普及・促進する政策に積極的とりくんでいることなどを紹介しました。

自然エネルギーの普及が、地球環境や資源の保全、新産業の発展と雇用創出、農山村の発展をはじめ、資源争奪の戦争をなくすことにもつながると指摘。地球のこと、未来のことを考え、行動しようと呼びかけました。

松崎氏は、福井県若狭に十五基もの原発が集中する危険な実態を告発。兵庫県で再生可能エネルギーを大きく普及させる展望とそのためのとりくみの方向性などを語りました。

(2011年9月4日付「兵庫民報」掲載)

後援会ニュースづくり講座

「後援会ニュースを発行したいけれど、どのようにつくればいいのか」
「過去に作ってはみたがなかなか続かない」
「親しまれる紙面とは?」

ニュースの「力」は理解できても具体的に作成するとなると、二の足を踏んでしまう場合が少なくありません。
そんな悩み解決に県後援会が講座を開催いたします。

1部(午前)ニュース発行の基本を具体例をあげて解明
なぜニュースを作るのか/誰に向けて発信するのか/記事の集め方は/定期発行の秘訣は/親しめる紙面とは?…

2部(午後)パソコン(ワード)で簡単作成の講習
簡単にできる見出し/文章をいろんなところに流して作る。写真の取り込みと簡単な加工/表の作成はエクセルで貼り付けが便利…

◎9月11日(日)10時~16時 党県委員会3F大ホール

▽午前のみ、午後のみの出席もOK。午後参加の方はノートパソコンを持参下さい
▽これまで、作成したニュースを持参していただければ幸いです
▽講師は県後援会ニュース担当の宇山英樹氏
▽連絡先078-577-1656もしくは078-577-6255(日本共産党兵庫県委員会)
▽参加費は無料

(2011年9月4日付「兵庫民報」掲載)

原発建設を運動で阻止:香美町香住区下浜

44 年前、兵庫県と町が発表した関西電力原子力発電所建設計画に、住民たちが、真っ向から反対し、手探りながらも熱い運動を展開。3年にわたる闘いで「計画棚 上げ」に追い込んだ香美町香住区下浜地区。反対運動の牽引者だった吉川邦夫さん(74)、福田昌子さん(69)に話を聞きました。

ビラもマイク宣伝原稿も手づくり

建設予定地の下浜地区三田浜、
手前は海水浴場です
漁業が盛んで夏は海水浴客で賑わう香住。下浜地区でそれぞれ民宿を経営する吉川さんと福田さんは、ともに但馬民商会員です。吉川さんは20世紀梨も栽培。福田さんの夫惣一さんは漁師です。

67 年11月、町長が突然発表した原発誘致計画。町は「固定資産税や補助金で町財政が潤う」と宣伝しました。

「原発は安全性に問題がある」と反対の声をあげた のは、下浜区長だった吉川さんの父正夫さんや福田さんの父浜上正信さん。2人は同級生でした。住民有志は翌月、区民総会で反対を決議。町長に建設中止を申 し入れました。漁船約20隻が湾内をデモ航行しました。

学者を招き勉強会もひらきました。「勉強すればするほど原発の怖さを知った」と吉川さん。日本共産党の有田晃町議が力になってくれました。建設強行姿勢を崩 さない町長ら推進派に対し、ビラと宣伝車で原発の危険性を町民に訴えました。お金を出しあい、わら半紙を購入。文面を考え考え、ガリ版で毎回1千枚刷りま した。

空き箱厚紙に書いた街頭宣伝用原稿を手に語る福田昌子さん、
谷口眞治日本共産党町議、但馬民商理事の米田勝さん、
吉川邦雄さん(左から)
街頭で配ると、読みもせず目の前で破る人がいました。「読まないなら返してほしかった。1人でも多くの人に渡したかった」と話す福田さん。「うちの部落に責任もって配ります」と声を掛け、ビラ14軒分を持ち帰ってくれる人もいました。

福田さんはマイクで訴えた原稿をいまも保管。「人の命と健康、自然の美しさはお金では買えません。放射能の影響は子子孫孫まで及びます」、空き箱厚紙に鉛筆書きです。

通告なく地区に入った関電測量隊を阻止した吉川さんら7人を警察が逮捕。2夜留め置かれました。「お前ら犯罪者に食べさせるメシはない」と言い放った署員。女性たちが着替えの差し入れに通いました。住民は役場の大広間に座りこみ、町に計画断念を迫りました。

70年9月、有田町議の追及に町長は計画棚上げを表明しました。

「梨農家の8割が賛成し、ボロクソに言われたこともある。いろいろあったが乗りこえてきた」「反対運動中心の毎日で、蓄えもなくなり苦しかったが、諦める気持ちはまったくなかった」と話す2人です。子どもたちや次の世代に運動を伝えたいと考えています。


(2011年9月4日付「兵庫民報」掲載:一部訂正)

兵庫労連震災ボランティア報告

兵庫労連の有志20人が8月20日から4日間、宮城県石巻市へ震災ボランティアに行きました。山本邦夫さんと成山太志さんの報告です。

雨のなか共同墓地での作業、奥に見えるのは石巻市民病院

被災地は日本社会の縮図
中央区労協 山本 邦夫

石巻市は、津波被害が最も大きかった市です。約16万人の市民から3千人を超す死者、約800人の行方不明者を出しています。

私たちの活動先は海岸から1㌔入った、門脇町の共同墓地でした。1700世帯が津波で一気に押し流された町は、水浸しの荒れ地と化していました。

墓地は重機が入れないため、手つかず状態。墓石はすべて転倒、飛散。瓦礫や近隣製紙工場の原料、ヘドロが混ざり合っていました。瓦礫を土嚢袋に詰める作業を雨中、黙もくと頑張りました。

地元労働組合と話す機会がありました。「中学校は満潮時に冠水するので、授業中止。何とかしてやりたい」「避難所を出ると金の心配、医者の心配があり、出られない」「市から土地を提供すると言われても、流された住宅のローンがあり、再建できない」

被災地には、ゆがんだ日本社会の縮図がありました。法人実効税率の引き下げや社会保障の圧縮を求めている財界や政府に、いまの被災者の実態をつきつけることが、何より大切だと思いました。

陸路を片道12時間かけ石巻市に入った兵庫労連のボランティア


津波被害規模の恐ろしさ
郵産労神戸支部 成山 太志

石巻市はまだ信号が復旧しておらず、警官が交差点の真ん中に立ち手信号をおこなっていました。

共同墓地から海の方向を見ると、だいぶ向こうに石巻市民病院の建物が見えます。3階まで津波でやられ、孤立した患者・職員が屋上からヘリコプターで救出された病院です。

共同墓地は石塔が倒れている程度ではありません。骨壷も骨もグチャグチャです。ゴミと土砂で1㍍四方を片付けるのに土嚢10袋以上必要です。袋に入らない長 い木切れが厄介です。土嚢は斜面をバケツリレーの要領で降ろします。雨が降ったり止んだりのなか作業しました。晴天だと暑さと粉塵で、かえって大変だった でしょう。

全労連現地責任者の人が、市街地を一望する高台に案内してくれました。海岸沿いに積まれた瓦礫の山、車の山、旧北上川河口横にも瓦礫の大きな山が見えます。瓦礫の山が石巻市だけで10数カ所あるそうです。

今回行った石巻市は人口約16万人。その規模の市で、死者は3千人以上、行方不明者は約800人。非常に高い割合で犠牲者が出ていることに恐ろしさを感じました。


(2011年9月4日付「兵庫民報」掲載)



無年金障害者「年金110番」

制度不備まとめ政策提言へ

相談に対応する原静子さん(中央奥)や弁護士、社会保険労務士たち
第3回無年金障害者「年金110番」が8月28日朝10時から6時間、大阪市北区の弁護士事務所で開設されました。無年金障害者の会(原静子代表)が主催し、阪神間の弁護士や社会保険労務士ら約20人が対応しました。

身体や心に障害を負いながら、年金保険料納付要件()の壁などで、年金を受給できない人たちから52件の相談が寄せられました。継続して対応策を考える事例も10件以上あります。

相談の中には「厚生年金に通算15年加入。退職4カ月目に脳梗塞で右半身麻痺。初診が退職後だからと、障害年金に厚生年金加入期間がまったく反映されない。働いていた間は忙しく、体調が悪くても医者に行く時間がなかった」(男性49歳)

「鉄工業を自営。21年前に頸椎損傷。2年後、障害年金を申請したが、滞納していたからダメだと言われた。保険料免除申請をしたが、遅すぎたと言われた」(男性62歳)

「大学在学中に統合失調症で精神科受診。親族の会社で1年働いた。年金を受ける方法はないか」(男性51歳)などがありました。

当 時、年金任意加入だった大学卒業直前、交通事故に遭い下半身麻痺の車椅子生活をおくる原さん(66)は法整備と無年金障害者の救済を裁判で訴えてきまし た。「相談できず困っている人がまだまだいる。免除制度も周知らされていない。問題点をまとめ政策提言したい」と語っています。

【年金保険料納付要件】初診日「前日」において、初診日の属する月の「前々月」までに被保険期間があり、その期間内に、保険料納付と保険料免除を合わせた期間が3分の2以上あること。


(2011年9月4日付「兵庫民報」掲載)

兵庫生存権訴訟 大阪高裁が文書提出命令否定

原告が最高裁に不服申立

生活保護の老齢加算廃止は生存権を保障した憲法に違反すると、国と自治体を相手どり9人が神戸地裁へ提訴した兵庫生存権訴訟で大阪高裁が8月5日、神戸地裁の文書提出命令を否定する決定をおこないました。

07 年5月提訴した兵庫をはじめ、全国8カ所で審理中の生存権裁判は、「高齢者は老齢加算に見合うだけの特別な出費をしていない」と、国が老齢加算廃止の根拠 にした「09年度全国消費実態調査特別集計」のデータ開示を原告側が要求。必要性を認めた神戸地裁は昨年8月、国に文書提出を命じました。

こ れに対し国は、大阪高裁に不服を申し立てました。決定で大阪高裁は、理由の第1に「調査協力者のプライバシー」、第2に「調査票データがなくても、原告は ほかの争点で老齢加算廃止の違憲性を主張できる。福岡高裁の勝訴判決も調査データを利用していない」と指摘しています。

原 告弁護団の松山秀樹弁護士は「老齢加算廃止の唯一の根拠が特別集計。その集計が信用できないとなれば、原告勝訴のはず。重要証拠を調べずに『ほかの争点の 主張を原告ができているから、文書提出命令は不要』という大阪高裁の判断は明らかにおかしい」と述べています。原告側は8月10日、最高裁に不服申立をし ました。

(2011年9月4日付「兵庫民報」掲載)

クロスワードパズル(9月)


たてのカギ

1 思いつき、――の転換
2 米や野菜を作っています
3 脚は10本です
5 さとし言い聞かせること
6 中沢啓治「はだしの――
7 保護鳥ですが、やかましく鳴きます
9 隔世――
13 野球や剣道の練習法のひとつ
14 電気プラグの差し込み口
15 石川県の北部
16 円周率を表す記号
18 白鳥
19 鑑定、その達人
20 気楽なこと
21 ←→屈
22 割合、歩合

よこのカギ

1 ベトナムの首都
4 子どもに長い長い名前をつけてもらう落語
8 小気味よく愉快なこと
10 困り苦しむこと
11 四面――
12 机、――ワーク
14 出汁に使う海藻
15 物を貼るとき使います
16 人は―のみにて生くる者にあらず
17 ことし生誕200年のハンガリー生まれの作曲家、ピアニストです
19 頭脳――
21 ことしは国連「国際――年」
23 「西遊記」で孫悟空が乗る雲
24 地球の衛星


▪中の文字を①~㉟の順につないでできた文章と住所、氏名、年齢、電話番号をハガキまたはファクス(078・577・9637)で送ってください。

余白にご意見や話題も書き添えてください。

【しめ切り】10月16日(日)
【ハガキあて先】〒652‐0811神戸市兵庫区新開地3‐4‐20 兵庫民報編集部クイズ係
【賞品】正解者の中から5人に図書カードを送ります。


(2011年9月4日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

九月は台風シーズンです。台風は六月から発生し、八月に発生数が最多となりますが、過去の大きな台風被害はいずれも九月に起きています▼ただし、兵庫県では佐用町に豪雨災害をもたらした二〇〇九年の台風9号は八月で、淡路に被害をもたらした〇四年の台風23号は十月でした▼昔から九月一日(閏年は八月三十一日)を「二百十日」と呼び、厄日としてきました。立春から二百十日目のことで、この頃、台風が多く、稲作農家にとって収穫を前にした嵐は怖いものだからです。実際には二百二十日のほうが被害が多いようですが▼夏目漱石に『二百十日』という作品があります。漱石が小説の構成を模索していた時期と言われ、ほとんど二人の会話だけで話が進みます▼漱石はその一人に、華族や金持ちに対し「奇麗な顔をして、下卑たことばかりやってる」「しかも身分がよかったり、金があったりするものに、よくかう云う性根の悪い奴があるものだ」と語らせます▼嵐の中の阿蘇の噴火という後半の背景が、主人公の悲憤慷慨を読者に強く印象づけます。時代が変ったとは言え、いま、大地震と原発事故を背景に、悲憤慷慨する人が少なくありません。 (TS)

(2011年9月4日付「兵庫民報」掲載)