国保料は議会で決定すべき
日本共産党の森本真議員は六月二十八日、神戸市議会定例本会議で議案質疑に立ち、一般会計補正予算、地方独立行政法人神戸市民病院機構、神戸市国民健康保険問題などで矢田立郎市長らの政治姿勢をただしました。
防災計画見直し着手を
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森本真議員 |
神戸市は、一般会計の補正予算で地域津波防災計画の策定支援をするとしています。
中央防災会議の専門調査会が六月二十六日に出した中間報告では「今後発生が想定される最大級の津波に対応できる防災計画に見直しをする」としています。兵庫県も、現行の二倍の津波が来るとの想定で見直しを進めています。
ところが神戸市が今回補正予算に盛り込んだ地域津波防災計画策定支援は、見直し前の防災計画にもとづいて、津波警戒地域の避難マップなどを作るという内容です。
森本議員はこうした点を指摘し「阪神・淡路大震災を経験した神戸だからこそ、津波などの対策について、現行計画に基づくものではなく、新たな防災計画の策定に向けて、早急に検討し、その内容に応じた対策こそ必要」だと、見直しに着手するよう求めました。
中央市民病院の212床は機構で保持を
神戸市は、新中央市民病院が七月に開院することに伴い、現在の中央市民病院の土地と建物を財団法人神戸マリナーズ厚生会に約三十一億円で売却するとしています。二百床を持つ病院として運用される予定です。森本議員は「現在の建物が、今後も医療機関として活用されるなら、そもそも中央市民病院の移転自体が必要でなかったということになる」と厳しく批判しました。
森本議員は、現在の中央市民病院が所有している九百十二の病床が、新中央市民病院では七百床になっていることをあげて、残り二百十二床の対応について質問。この病床については、神戸市医師会などからも「神戸市民病院機構として保持し、市民のために活用すべき」との意見が出されています。森本議員は、医療審議会での議論をふまえながら「二百十二床のベッドは、市民病院機構が保持し、これから将来の神戸市民のための行政医療として活用するよう」求めました。
払える国保料に
神戸市は、国民健康保険料の賦課限度額を七十三万円から七十七万円に引き上げるとしていますが、これは市長の専決処分となっています。賦課限度額はこれまでも何度も引き上げられてきました。
神戸市は、賦課限度額を引き上げることで中堅層の負担が引き下げられる、などと説明してきました。ところが、今年度は、低所得者も中堅層も高所得者も値上げとなっています。
二〇〇六年に老年者控除などが廃止されて以降、二百五十万円の年金収入の高齢者の国保料は五万七千円から二十一万八千円と約四倍に値上がり。若い人でも、二百万円の年収で、今年は四万円近く値上がりし、二十四万円の国保料となっています。年収の一割以上が国保料です。高すぎる保険料に驚いた市民が、区役所に殺到しています。
森本議員は「収入が増えないのに、国保料が年々値上がりし、その結果、滞納者は二割以上で、毎年増えている」と指摘。
森本議員は、賦課限度額や保険料率が、議会での論議なしに、公示や専決処分で決められている現状を批判。「保険料の上昇を抑えるためには、いまのような保険料の決め方を変更し、健康増進のとりくみを進めたり、保険料の値上がりを抑えるために一般会計からの繰り入れを増やすなどのとりくみが必要」「どうすれば払える保険料にすることができるのか、議会で論議して決定すべき」だと、迫りました。
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質問に対し矢田市長らは「(防災計画)当面の対策として、兵庫県が暫定に示す想定津波高さの二倍の高さによる被害想定をもとに、地域津波防災計画の見直しにとりくむ」「(中央市民病院問題)プロポーザルで提案された提案を早期に実施してもらう。トータルとして地域医療の充実につながる」「神戸の国保は、加入者の所得変動が大きい。約四割が一年の間に資格を取得したり、喪失したりする。五月に加入者の前年所得が確定した時に保険料を確定するほうが適正なものになる」などと答弁しました。
(2011年7月17日付「兵庫民報」掲載)