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2011年4月17日日曜日

いっせい地方選挙前半戦の結果について

二〇一一年四月十一日 日本共産党兵庫県常任委員会

一、いっせい地方選挙前半戦は、県議選では、神戸市東灘区、尼崎市、西宮市で議席を回復・確保しましたが、明石市、加古川市で現職が落選し、改選時比一増の前回と同じ五人の当選になりました。神戸市議選は、新旧交代をめざした中央区で議席を失い、一議席減の九議席にとどまりました。

日本共産党の候補者にいただいた熱いご支持、ご支援に心から感謝するとともに、日夜わかたぬ奮闘をしていただいた支持者、後援会員、党員のみなさんに心からお礼を申し上げます。

一、日本共産党は、東日本大震災という国難のもとで、被災者支援・復興に全力をそそぐとともに、それと一体に選挙勝利をめざすたたかいをすすめてきました。兵庫県内でお預かりした救援募金は二千五百万円を越え、党中央委員会を通して被災地へ届けました。

選挙戦では、①被災者救援と福島原発の危機回避に真正面から取り組む②戦後未曽有の災害の復興に国の総力をあげる③「安全神話」を前提とした原発依存のエネルギー政策を転換する④住民サービス切り捨ての行政から「福祉・防災のまちづくり」に転換する─ことを訴えました。多くの有権者が「この先日本はどうなるのか」と不安と模索をいだくなかで、わが党候補の訴えは「知りたいことにこたえてくれた」と共感をよび、信頼を広げました。

中学卒業までの医療費無料化、国保・介護保険の負担軽減、中学校給食など、県民の切実な願いにこたえた政策も、東日本大震災のもとで「命とくらしを守る自治体本来の役割を発揮してこそ、防災にも備えることができる」と訴え、県民から支持と共感が寄せられました。

大震災と原発事故は、今後、長期にわたって、その根本的解決が迫られる国民的な大問題になっています。この長期にわたる大仕事にとりくむ上でも、今回の選挙戦で訴えた内容が生きるものと確信します。

一、県議選での二現職の落選、神戸市議選で議席を後退させてしまったことをはじめ、選挙戦の総括については、党内外のみなさんのご意見もいただきながら、県常任委員会として、それぞれの地区委員会として、教訓を明らかにして、今後に生かしていきます。ひきつづくいっせい地方選挙後半戦では、前半戦の結果にたって、各市町議選で必ず前進、勝利するために全力をつくす決意です。今後ともご支援、ご協力を心からお願いいたします。


兵庫県議選(総定数89)日本共産党の当選者

  • 東灘区:きだ 結 (40)新
  • 尼崎市:宮田しずのり(68)元
  • 西宮市:いそみ恵子 (54)元
  • 宝塚市:ねりき恵子 (48)現
  • 姫路市:杉本 ちさと(58)現


(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

2011年4月10日投票兵庫県議選政党別・選挙区別得票

(クリックすると大きく表示されます。申し訳ありませんが、当面、画像のみです)

  • 2007年の県議選(「前回」)と、2010年の参院選比例(「10参」)の得票を比較のために示しました。
  • 「当」は当選者数。複数立候補の場合は分母に立候補者数を示しました。
  • 按分票は四捨五入しています。
(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

2011年4月10日投票神戸市議選政党別・選挙区別得票

(クリックすると大きく表示されます。申し訳ありませんが、当面、画像のみです)



(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

核兵器全面禁止:新国際署名スタート

昨年5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議で、核保有国を含む参加189カ国が合意した「核兵器のない世界の平和と安全の達成」へむけ、速やかな条約締結交渉の開始を求める署名が始まりました。

日本原水協が呼びかけた新しい国際署名は「核兵器全面禁止のアピール」。ことし2月15日、発表されました。兵庫では非核「神戸方式」決議36周年の3月18日、新署名スタート集会も同時にひらかれました。

賛同者には、兵庫県関係者として、河野太通(全日本仏教会会長・臨済宗妙心寺派管長)、伴智(県被団協理事長)、日野原重明(聖路加国際病院理事長)の各氏も名を連ねています。

兵庫県原水協は4月6日、神戸元町商店街東入口で新署名を呼びかけました。梶本修史事務局長は福島原発事故にふれ「世界の英知を結集し解決を」と訴えました。新署名賛同者の1人、医師の口分田勝さん(84)も参加、「残りの全人生を核兵器廃絶運動にかける」と語りました。

写真:新署名を呼びかける兵庫県原水協の口分田勝さん(右端)、梶本修史事務局長(右から3人目)=4月6日

(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

ひょうご福祉ネットワークの懇談会

被災者実態を毎月交流

ひょうご福祉ネットワークの巡回相談で救われた阪神・淡路大震災の被災者が月1回、懇談会を事務所でひらいています。東日本大震災後の4月6日、5人が集まりました。

ひょうご福祉ネットワーク事務局の大橋豊さん(81)が呼びかけ、毎月第1水曜にひらいています。復興公営住宅集会所など市内4カ所でおこなっている巡回相談を機に、生活再建へ歩み出した人たちが、その後の経過報告を含め集まっています。16年が経ち、模索をつづける実態が明らかになっています。

Nさん(83)は、経営していたゴム会社が被災。再建をはかりましたが倒産。借金だけが残りました。災害援護資金も200万円借りています。障害1級の息子と須磨区の市住で生活。自身も胃ガンと心臓病を患っています。

生活保護を受けていましたが、須磨福祉事務所から昨年10月、生活保護費徴収通知が届きました。すでに支給されている生活保護費約350万円の返還を求める内容で、息子の厚生年金が申告されていなかったのが理由です。

「故郷で死のうと夜行バスで鳥取へ向かったが、死地に選んだ池が凍結していて断念」

困り切っていたときひょうご福祉ネットの巡回相談を知り、大橋さんにそう打ち明けました。Nさんは相談会の始まる1時間前から待っていました。

大橋さんは福祉事務所へ同行。生活保護を受けながら少額ずつ返済する道を相談しています。

「真冬に電気ガス止められた」

垂水の県住に住むMさん(81)は2月、電気とガスを3日間止められました。滞納が理由です。「真冬に、電気もガスもない生活は地獄だった」と言います。

震災後、災害援護資金を350万円借りました。同時に知人に頼まれ借り入れの保証人にもなりました。自身の借り入れは完済しましたが、知人が行方不明になりその返済がMさんに課せられました。法テラスに相談し、自己破産しました。

生活は苦しく、いま年金を担保に借金しています。減免中止になった家賃も滞納。国民健康保険料2年分、介護保険料、住民税なども滞納しています。

Mさんは、払いたくても払えない状況を、県や市の窓口でも訴えました。知人からも借金し、暮らしをつないでいます。

大橋さんは「阪神大震災の被災者は高齢化し、いっそう苦しんでいる。災害援護資金を借りた4人に1人は少額償還。行政はもう免除すべきではないか」と訴えています。

写真:阪神・淡路大震災から16年の生活状況を語り合う大橋豊さん(右端)と
被災者たち=4月6日

(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

福祉支援型専攻科エコールKOBE開校式

仲間とともに成長する場


神戸市長田区に誕生した福祉支援型専攻科「エコールKOBE」の開校記念式典が4月9日、同区内でひらかれました。

特別支援学校高等部を卒業した青年たちが2年間、短大・大学に相当する力を身につけて、社会への独り立ちめざし、自主的に学びます。

学園は新長田駅南、アスタプラザファーストビル地階。JRや市営地下鉄から地下道で行き来ができ、バリアフリー完備です。

開校式には4月1日入学したばかりの1期生15人とその家族をはじめ約180人が参加しました。プログラムや会場飾りつけも学生たちがつくりました。

主催者挨拶で、岡本正エコールKOBE設立準備室長は「障害をもつ青年たち、福祉教育に長年携わってきた者にとって歴史的意義のあるスタート」と述べました。

来賓の木下孝司神戸大学准教授は学生たちへのエールとして「学びを通し、本当のことがわかる喜び、つくる喜び、自分が必要とされている喜びを感じてほしい」と呼びかけました。

河南勝学園長がスタッフを紹介。学生たちに「仲間とともに楽しく学ぶ場にしよう。主体的に学び、人間として成長する場にしよう。その後の人生の大きな財産にしてほしい」と語りかけました。また「養護教育義務化から30年。障害をもつ高校生に進学という道を開く新たなチャレンジ」と述べました。

1期生が1人ずつ自己紹介しました。2年間の学園生活で何をしたいか発表しました。

「友だちをつくる。甲子園に行きたい」「勉強したい」「自分のできることを見つけたい。目標を大切にしたい」「将来について学びたい」「漢字検定4級に合格したい」「英語を勉強したい」などの希望を語りました。

また16年前の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた新長田の地から東日本大震災被災者へのメッセージを5人が読みあげました。

原口優紀さんは「決して希望を捨てず、復興に向けてがんばってください。同じ被災者として応援しています」と呼びかけました。

写真:開校式で「世界で1つだけの花」を合唱する入学生

(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

東日本大震災:神戸健康共和会医療支援チーム

避難所で足湯 若者や小学生も

神戸健康共和会は東日本大震災被災地へ連続、医療支援チームを送り出しています。第5次の4人が4月2日から6日間、宮城県に入りました。参加者の現地レポートです。


3日(日)15時過ぎ坂総合病院(塩釜市)に到着。報道を見て、じっとしていられず参加。明日から避難所や在宅まわりを予定。

4日(月)2人は坂総合病院で診療支援。あと2人は多賀城文化センター避難所で足湯と清拭を担当。

5日(火)午前中は糖尿病外来で問診。午後は地域訪問へ。床上浸水で1階部分が使用できず、2階で生活している人がほとんどでした。片付けで手の荒れている人が多く、ゴム手袋を渡すと、とても喜んでもらえました。自分の目で見て感じることが大切だと痛感。

6日(水)地元の新人看護師と避難所で足湯を担当。毎日平均80人が足浴。若者や小学生が来てくれました。

「自分は阪神・淡路大震災のとき何もしなかったのに、あんたらはあのとき世話になったと言って、遠いところから来て、お互い様と言う。自分が情けない」と男泣きされた方が印象に残りました。

7日(木)各持ち場でみな責任を果たしました。宮城にいる間、ほとんどテレビニュースを見ませんでした。放射線のことも忘れていました。

第6次支援チームは4月16日出発、22日帰着予定です。

写真:診療体制を打ち合わせる全国からの医療支援者=4月6日、宮城県塩釜市

(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

学生新歓:経済、環境と原発テーマに講演会(4/22&5/20)

新入生歓迎実行委員会が主催し、日本科学者会議(JSA)兵庫支部が後援して、新入生の知的・学問的関心にこたえようと、連続学問企画を開催します。

第一回目は、神戸大学名誉教授の岩崎信彦先生を迎え、「苦難の時代にどう生きるか 東日本大震災・原発事故・経済的閉塞感の中で 」というタイトルで講演・討論を四月二十二日(金)午後六時から神戸青年学生センターで行います。

二回目は、神戸大学発達科学部教授の中川和彦先生を迎え、「原発事故と地球環境問題」として講演・討論を五月二十日(金)午後六時から行います。

実行委員会では、大学の新入生にかぎらず、広くご参加を、と呼びかけています。

(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

民青県委員会が新歓企画・神戸ツアー

民青同盟兵庫県委員会は四月八日、新入生歓迎企画「神戸のオススメスポットツアー」を行いました。神戸大学の新入生が参加し、メリケンパークからポートタワー、モザイクと散策し、元町中華街で食事をしました。


鳥取県からやってきて「都会での生活は不安だ」というKくんは「鳥取にはこんな場所がないから今日は案内してもらえてよかった」と話します。Kくんはメリケンパークに残されている十六年前の阪神・淡路大震災の被災状況が残されているところをじっと見ながら、「たいへんな地震だったんですね」「東日本大震災のボランティアにはいってみたい」と話しました。また「大学では幅広い教養を身につけたい」と大学での学びへの期待でいっぱいです。


(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

不屈の人々―治安維持法による弾圧犠牲者(II-1)

プロレタリア文化運動

高まる反戦運動をリード

満州事変を前後して、特高、憲兵は、反戦・厭戦弾圧に、猛威をふるう。

全日本無産者芸術連盟(ナップ)の機関誌『戦旗』は、相次ぐ発行停止の下でも二万二千の読者を獲得している。

神戸でも、二九年には、下山手基督教青年会館での「戦旗講演会」に参加した神戸出身の編集長山田清三郎が「二百余りの入り、これでは神戸の戦旗読者数にも及ばない」と語るような状況だったのが、小林多喜二も参加した翌三〇年の「戦旗講演会」には、七~八百名が入り、四~五百名が茶話会に残ったという。

憲兵司令部極秘報告『思想彙報』には、戦旗社神戸支局を作った青年の徴兵直前の会話「軍隊に入るのは不本意だが、軍隊生活二年間は無事に過し、退営後は、再び主義に前進する」や一在郷軍人の「戦争は資本家の利益を守る為、無産者に殺し合いを強制し悲惨なり。父は日露戦争に戦死し、わずか五百円の金を貰ったのみで母は失望落胆。国家の為だと誤魔化しているが戦争ほど残酷なものはない」などの発言が採録されている。

一九三〇年、憲兵司令部はプロレタリア文化運動を「(一九二九年の)反帝同盟二大会を契機に反軍運動は強化。プロレタリア芸術運動の急激なる進展で、出版、演劇、映画、美術展での大衆的反軍運動は増加し、中でもプロレタリア文学の出版雑誌は、二二社が八八社に激増。内容も軍隊・兵卒の内情暴露に重点を置き、軍人労農青年の反響は甚大なものがある」と位置づけた。

文化運動側は、三一年から、自らの弱点の克服として、工場・農村を基礎にサークルを作り、大衆的基盤の組織に努力した。年末には日本プロレタリア文化連盟(コップ)を十一団体で結成した。

兵庫の文化団体の結成と活動

  • プロレタリア美術家同盟―三二年二月プロレタリア美術展覧会開催。『美術新聞』百部。
  • プロレタリア映画同盟兵庫支部―三一年七月神戸第一回公開試写会を六百名で開催。十二月大橋公会堂で第二回公開し、港湾労働者大挙参加。同月淡路・洲本劇場でメーデー記録映画観客四百名。未・滞納もなく全国で最も活動的な支部に。
  • プロレタリア作家同盟兵庫支部―『文学新聞』読者は三百名超える。但馬では、田中拾三郎らの文学活動が影響力を持った。
  • プロレタリア演劇同盟兵庫支部―神戸「全線座」は県下各地で公演。『演劇新聞』二百数十部組織。
  • プロレタリア写真家同盟兵庫支部準備会。
  • プロレタリア音楽家同盟兵庫支部準備会。

これらをまとめ、プロレタリア文化連盟兵庫地方協議会が三二年二月二十七日に成立。議長は平葦信行。コップ兵庫地協は四十を超えるサークルと読者網を広範な職場・農村・学校で組織した。

(治安維持法国賠同盟兵庫県本部幹事 田中隆夫

(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)

ひなたぽっころりん(466)



(2011年4月17日付「兵庫民報」掲載)