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2011年3月20日日曜日

東日本大震災 被災者支援に全力

各地の党組織が救援募金活動―議員・候補者その先頭に


日本共産党兵庫県委員会は三月十二日、東北地方太平洋沖地震救援本部を設置し、阪神・淡路大震災で大きな被害を受け、全国からの温かい救援を受けた兵庫県の党として、東日本大震災被災者の救援のための物心両面の活動に県内各党組織とともに、直ちに取り組みを始めています。


県委員会と東灘・灘・中央地区委員会は合同で、さらに日本民主青年同盟東神戸地区員会も合流して十三日昼、JR元町駅東口で救援募金活動を行いました。

党県救援本部長を務める堀内照文兵庫国政委員長や段野太一神戸市議、北岡ひろし中央区県政対策委員長、大前まさひろ同区市政対策委員長らが交代でハンドマイクで訴え、党員らが募金箱を持って協力を呼びかけました。

「救助・救援と火災や原子力災害などの危険を除去するために全力をあげるよう政府に求める」「国民の苦難の解決を立党の精神とする党として、全力で救援活動にがんばる」との訴えに、「やっぱり共産党や」の声も寄せられました。

加古川市では、星原さちよ県議を本部長に対策本部を設置し、岸本たてき市議とともに、市の警戒本部を訪問し、万全の支援体制を要請。街頭での募金活動にも取り組んでいます。

西播地区委員会は、姫路市議らを先頭に十二日に山電姫路駅前で募金活動。ポケットのお金を全部募金箱に投入する中学生たちや、紙幣を入れる人など次々と募金が寄せられました。

三木市では十二日、十三日の二日間だけで十二万円を超える募金が集まっています。


募金は郵便振替でも受け付けています。

  • 口座番号=01130‐9‐31116
  • 加入者名=日本共産党兵庫県委員会。
  • 通信欄に必ず「救援募金」と明記してください

現地での受け入れ体制が整い次第、募金と救援物資を発送し、ボランティアも募りますす。


写真:日本共産党と民青同盟の救援募金活動=13日、JR元町駅東口

(2011年3月20日付「兵庫民報」掲載)

神戸市の借上公営住宅:追い出し根拠 総崩れ

日本共産党議員団の追及で明らかに

神戸市は、借上公営住宅入居者に、借上期間二十年で、転居を求めるという姿勢を変えていません。

日本共産党神戸市会議員団は、入居者へのアンケートや訪問、民間借上住宅オーナーにもアンケートとともに懇談も行いました。国土交通省や都市再生機構(UR)への要請などもしています。矢田立郎市長には、合計三回にわたって、継続入居できる対策をとるよう申し入れています。議会でもアンケート結果や調査で入手した多くの資料をもとに、神戸市の主張をひとつひとつ突き崩してきました。市長らの議会答弁も矛盾が目立っています。すでに、神戸市の「入居者追い出しの根拠」はことごとく崩れています。

神戸市が転居を求める理由をまとめると―①財政負担が大変②借上期間が二十年で所有者に返還する契約③住宅によって対応を変えると不公平になる④二十年の期間で入居の許可を出している⑤災害公営住宅入居者の三割が被災者以外―などです。また、入居者がようやく築いたコミュニティを破壊する、との批判に対して「グループでの転居も考慮する」ともしていました。

市営住宅削減の標的に

神戸市が借上住宅の返還方針を打ち出したのは、市営住宅を七千戸減らすとした市営住宅第二次マネジメント計画。三千八百戸ある借上災害公営住宅を、市営住宅を減らす標的としたのです。

市の負担は二億五千万円程度

財政問題では、家賃収入と借上料との差額で、十五億円が市税など一般財源の負担になっている、としています。しかし、そのうち五億円は交付税措置がされており、国から神戸市に入っています。家賃減免に必要な費用は、入居者が他の市営住宅に移転しても必要となります。URの家賃値上げによる負担も、URと協議すれば解決策も出てきます。現に、民間オーナーに対しては借上料を引き下げています。神戸市の負担となると見られるのは二億五千万円程度です(表2)。


表1 借上住宅の収支(2009年度決算)
歳出
  • 借上料 34億7361万5千円
歳入
  • 住宅使用料(家賃) 8億9207万5千円
  • 国庫支出金 1420万8千円
  • 共益費 8403万6千円
  • 一般財源 24億8329万6千円
表2 一般財源(合計24億5千万円)の内訳と日本共産党議員団の見解
  • 家賃対策補助相当額(05年度基準)の2/3の10億円。これは国庫負担として国から入る。
  • 家賃対策補助相当額(05年度基準)の1/3の5億円。これは市負担だが、交付税措置により国から入る。
  • 空室分の借り上げ分 2億円。これは常時募集すれば解決する。
  • 借り上げ料が補助対象上限(近傍同種家賃)を超える分の2億5千万円。これだけは神戸市負担でやむを得ないと思える。
  • URの家賃上昇分の1億5千万円。これはURと交渉するべき。民間オーナーには借上料(家賃)を引き下げている。
  • 従前居住者住宅への一般入居者家賃差額の1億円。これは他の公営住宅で対応しても必要な経費。
  • 減免部分などの2億5千万円。これも他の公営住宅で対応しても必要な経費。

復興計画でも「恒久住宅」と位置づけ

「二十年の契約期間」という点ですが、神戸市の復興計画で「恒久住宅」と位置づけられており、当初から「期間限定の住宅」とはなっていません。

また、借上期間の終了以降も借り上げを継続する住宅があることや、入居期限を明示していない住宅があることなども判明しています。

この事実を突きつけられた神戸市は「住宅ごとに(継続入居できたりできなかったりと)対応が変わると不公平(だから、全員出てもらう)」という議論を持ち出しています。

しかし、「不公平」を理由に、こうした住宅の入居者を追い出すことなど、到底できるものではありません。入居者に居住権はないとでもいうのでしょうか。

また、日本共産党議員団が実施したアンケートでは、入居者もオーナーも「継続されるだろうと聞いた」「二十年という期限は聞いていない」などと答えた人がたくさんあります。さらに、神戸市が〇七年に民間オーナーを対象に実施したアンケートも、継続を前提としたような内容になっています。

こうした経過からも、神戸市が「二十年の契約」を盾に、入居者を追い出したり、民間オーナーに一方的に返還するという根拠は崩れています。

「市営住宅」として入居したもの

災害公営住宅の入居者の内、三割が被災者以外というのも、追い出しの根拠にはなりません。市営住宅への入居を希望する市民は、借上住宅かどうかを理由に申し込んでいるわけではないのです。最初から入居している人たちもそうですが、自分たちが入居することになった市営住宅が、たまたま「借上」だったというだけなのです。

同じ団地で県営住宅は継続

さらに、兵庫県は「棟単位で買い取りを検討」とされています。借上県営住宅と借上市営住宅が混在する団地では、県住入居者はそのまま継続入居でき、市営住宅入居者は、転居を迫られるという、まさに不公平な対応が生じることになります。

神戸市がコミュニティ対策として言い出した「グループでの移転」などは、近隣にある公営住宅の数をみれば、夢物語にすぎません。これは「希望する住宅に転居してもらう」などとしていることにも共通します。

あくまで退去迫る姿勢崩さぬ市長

予算議会の総括質疑で日本共産党議員団が市の根拠が破綻したことを指摘し、「病気がちな高齢者など、転居すること自体が困難な人たちにあくまで、転居を迫るのか」と市長に迫りました。

ところが、矢田市長は「震災のどさくさの時に協定を結んだ事例がある。その後、締結した実際の契約では、期間を二十年と明記して契約を交わしている。入居者と市の関係では、入居者には、二十年の借り上げということで入居の許可を出している。他の借上住宅の入居者と変わりはない。そうした点で、他の借上住宅の入居者との公平性の観点がある」「三千八百戸ほどある住宅で、入居されている方々に公平にお話しさせていただきたい」などとあくまで、退去を迫る姿勢を崩していません。



(2011年3月20日付「兵庫民報」掲載)

日本共産党の2011年度県予算組み替え提案

大企業立地補助より子ども医療費へ


日本共産党兵庫県議団は三月十一日の県議会予算特別委員会で、二〇一一年度予算案の組み替え提案を行いました。組み替え提案は〇一年から十一年連続となりました。

提案説明に立った杉本ちさと県議は「『県行革』に反対する県民の声にこたえ、暮らしを守り、ムダ削減、中小企業応援の予算となるよう組み替える」「県民の暮らしの痛みがわかり、願いが届く県議会のため」と提案理由を説明。

主な増額提案は、県民の要望の強い子ども医療費、少人数学級の拡大、住宅リフォーム助成制度の創設などや、「県行革」でけずられた老人・障害者・母子などの福祉医療助成を元にもどし、私立学校の授業料軽減や助成を増額しています。

一方の、減額を提案するものは、パナソニック等への大企業立地補助(三十七億円)や、神戸空港・関空二期、但馬空港(九億五千万円)、道路やダム、砂防事業、大規模林道(あわせて二百三十億円)、国直轄事業(百三十一億円)など不要不急の公共事業等や県民合意のない事業を見直し、百二十二億円の財源をうみだして、県民のための予算に振り向けています。

この提案に対し、反対討論を行った与党会派は、共通して景気対策のため、公共事業は必要との古い考え方に固執し、「行革プランの差し戻しは論外。企業立地補助は地域経済に寄与」(自民)、「これまでの行革プランの議論を否定」(民主)「行革プランを根底から覆す」(公明)などと理由を述べ、知事提案予算に賛成しました。


主な増額内容

  • 中学3年生までの医療費無料化:55億円
  • 35人学級を小学校5年、6年でも実施:14.7億円
  • 私立高校授業料軽減、私学助成増額:7億円
  • 高齢者・障害者の医療費助成「行革」前に:23億円
  • 住宅リフォーム、耐震化・バリアフリー:3億円
  • 国保軽減、後期高齢者支援:8億円


(2011年3月20日付「兵庫民報」掲載)

国保料滞納者の差し押さえ急増

高すぎる保険料こそ問題―杉本議員が追及

高すぎる国民健康保険料を払えない人の「財産」差し押さえが兵庫県下でも急増しています。

県下での差し押さえ数は、二〇〇七年度の千六百六十六件から、〇八年度には三千五百十三件と倍以上に増え、〇九年度も三千四百五件、金額で十五億八千六百万円にのぼっています。

内容も、「不動産」中心だったのが「動産・生命保険・預貯金・年金・給与・還付金」なども差し押さえられています。

姫路市では、仕事が減り単価も安くなって生活苦に陥り、国保料を滞納していた自営業者が、市の窓口で相談し毎月数千円を納付していたにもかかわらず、先月、残高が数百円~五万円の三つの預金口座を差し押さえられました。五万円の口座は、「子ども手当」の入金のみで、中学生の子どもの教材費などとして残していたお金でした。

無理な取りたてにつながる「収納率向上」

杉本ちさと県議
三月三日の県議会予算特別委員会で、杉本ちさと議員が、この問題をとりあげました。

「子ども手当の差し押さえは違法ではないか」「納付について丁寧に相談にのるべきだという国の通知や県の指導にも反する」と追及しました。

県は「個別には答えにくいが(分割納付など)約束通り納付されている場合は差し押さえされない」と答弁しました。

杉本議員は、生活費相当の年金や給与など(法律上の)「差押禁止財産」や、大阪市で問題になった学資保険の差し押さえなどの問題がないか調べるべきだと述べ、「そもそも払えないほど保険料が高いことこそが問題。無理やりの取り立てにつながる収納率向上を市町に求めるのは止めるべきだ」と迫りました。

県は「所得に対してという点では(保険料は)高いと思う」と認めました。

(2011年3月20日付「兵庫民報」掲載)

大雪による林業被害の補償へ国・県も支援を:新温泉町

但馬で雪による林業被害が次第に明らかになっています。

新温泉町は日本共産党の谷口功議員の問い合わせに対し、「国道・県道から目視で確認できたスギ・ヒノキの被害が千四十六本、被害額は二百六十万円以上。倒木処理等にかかる費用は、四百三十万円」「雪解けに伴って被害報告は増えると予想される」と報告しています。

同町の林業家は、年末年始の大雪で、スギ三十本、ケヤキ三百五十本が折れ、十二年間の苦労が一夜で駄目になってしまいました。「また一からやりなおしだ」と肩を落としつつも、「私の山は私が責任を持つが、放置された山も台風の時にまた災害にならないよう、きちんと対処する必要がある」と心配しています。

被害は重い雪が降った海岸線の山林にみられます。この雪で鳥取県では漁船が沈む被害が出ました。

谷口功議員の話「林業で山が守られてこそ、海も豊かになりカニをはじめ、水産業も守られます。林業応援は町にとっても重要な課題ですが、小さな町には被害補償は大きな負担。国・県に支援を求めたい」。(金田峰生・県委員会農林漁民部)


写真:現地で役場職員から説明を受ける谷口功町議(左)(白く見える木が雪で折れたもの)

(2011年3月20日付「兵庫民報」掲載)

三田市学校給食調理員労組:均等待遇求め組合結成2年

春闘で大幅賃上げ実現


三田市の学校給食センターで臨時職員として働く調理員たちが、労働条件改善を求め、労働組合を結成して2年。嘱託職員との賃金差別是正を要求した今春闘で、市教育委員会と交渉を重ねた結果、17%の賃上げを勝ちとりました。

* * *

三田市の学校給食センターは、09年4月の統廃合で3カ所から2カ所になりました。同年1月、兵庫自治労連三田市学校給食調理員労働組合(佐野雅子委員長、ことし4月からは大谷あき子委員長)を結成したのは、狭間が丘給食センターの調理員たちです。

市内の幼稚園、小中学校、特別支援学校の給食約半分、5200食を作っています。同センターの調理員は現在42人。うち正規職員12人、嘱託職員6人、臨時職員24人です。

食の安全を厳守し、時間内に調理して運び出すまで、正確な技術とチームワークが基礎になる作業です。作業を見に来た市の担当者も「誰が正規、嘱託、臨時か、区別はつかない」と認めています。

朝8時15分、作業開始。野菜などを洗う下処理準備班、お椀に入れる汁物・煮物を作る調理班、揚げ物や焼き物担当の副調理班の3班に分かれて作業。学校ごとに分けたコンテナを運び出す、幼稚園への10時40分の第1便から、11時40分の第4便まで、息つく間もありません。班構成は週替わりです。週4日勤務です。

調理室の窓は網戸で風を通しますが、大鍋やフライヤーの熱気で夏は全身汗だく。水分補給の余裕もありません。いっぽう、冬は北風が吹き抜ける酷寒。「切って積み上げた食材が室内で凍ったこともある」と言います。

配送が終われば、調理具の洗浄、片づけ。45分の昼食休憩後は、各学校から戻ってくる食器の洗浄です。作業終了は16時15分。

職業病は腰痛や肩こり。「プチトマト1万個を洗うとき、底に沈んだのを拾うのが腰にくる」「タマネギやジャガイモ20㌔を、2人で持ち上げて大鍋に入れるのが大変」と話します。そんな疲れをほぐしてくれるのは、各学校から届く給食ノートに書かれた子どもたちの「おいしかったよ」の感想です。

全員が同じ制服で働き、同様の仕事をしています。しかし日給制で1年更新の臨時職員は、賃金、年休や忌引きなどの労働条件すべてで差別されています。賃金は正規職員の3分の1、嘱託職員の約半分です。一時金も大きな格差。療養休暇も忌引き休暇も日数に差があり、しかも無給です。

組合は「同一労働同一賃金」の均等待遇を一貫して求めてきました。臨時職員より労働条件が悪かった非常勤パートをなくせと、09年夏から市と交渉。要求が実り、昨年4月から廃止されました。非常勤パートから臨時職員になった組合員もいます。


* * *

ことし2月の団体交渉で組合は、市教委から、大幅賃金改定と、忌引き休暇の有給休暇扱いとする回答を引き出しました。17%の賃上げは嘱託職員給与比75%になります。

佐野さんたち組合員は「労働組合をつくってほんとによかった。運動してきてよかった。市や市教委の対応が、組合をつくる前と大きく変わった。私たちの要求が、1つひとつ実現していくのが嬉しい」と言います。


写真:三田市学校給食調理員労組の佐野雅子委員長(前列左から2人目)、大谷あき子次期委員長(後列左端)ら組合員

(2011年3月20日付「兵庫民報」掲載)

重税反対統一行動

消費税増税反対、くらし応援求め

「消費税増税に断固反対」「中小業者に仕事と資金を!」―ことしも重税反対統一行動が3月11日を中心に、県下24カ所でとりくまれ約8千人が参加しました。

神戸の兵庫区・北区の集会は湊川公園でひらかれ、約500人が結集。村上健次兵庫民商会長は「消費税増税はもってのほか!」と声を大にし、新婦人兵庫支部の正津房子さんは「生活苦で、就学援助を受けている生徒が5割を超える中学校もある」と述べました。参加者は小雨のなか、兵庫税務署までデモ行進しました。

中央区集会は生田文化会館でひらかれ、神戸親和民商、葺合民商の会員ら約200人が参加しました。日本共産党の大前まさひろ市議候補が連帯の挨拶。「いま必要なのは消費税増税ではなく、くらしを応援し、ふところを直接あたためる政策」と訴えました。


写真:神戸税務署へデモ行進する、大前まさひろ共産党市議候補(前列右から2人目)、重税反対中央区集会参加者

(2011年3月20日付「兵庫民報」掲載)

芦屋市立美術博物館:指定管理者制度が鑑賞・研究支える学芸員削減を招く

芦屋市立美術博物館の運営が新年度から指定管理者方式に変更されるのに伴い、人件費の削減ということで四人いた学芸員を二人に減らします。

地域の古文書や芦屋ゆかりの作家の作品を保全し、鑑賞・研究を支えてきた現職の学芸員の全員が「リストラ計画」を批判して退職を表明。学芸員との信頼関係で、史料や作品を寄託してきた方々の中から「いったん返してもらおうか」との声も起こっています。

寄託された史料・作品は、館の収蔵品と区別して、所有者の了解を得ながら鑑賞・研究に供してきたものです。返却ということになれば、“市民が育てる美術博物館”というあり方の後退になりかねません。二〇一一年度からの芦屋市総合計画の「施策目標」には、「市民が教養を高める機会が豊富にある」とありますが、実施直後からの逆行となるでしょう。

◇ ◇

“芸術としての写真”の先駆者・中山岩太氏。芦屋を本拠地に活躍した彼の作品を、学芸員の説明を聞きながら鑑賞した時、参加者が「展覧会や作品集を一人で見るのとは大違い」と感想を話していたことを思い出します。

何かというと「人減らし」にとびつく行政や財界の心の貧しさを指摘するに留まらず、乗り越えていくことにこそ、住民自治の前進がありそう。この四月を大きな転機としたいものです。(S生

(2011年3月20日付「兵庫民報」掲載)

神戸の造船を残そう連絡会 市と懇談

孫請け業者の実態説明

神戸の造船を残そう連絡会は、三菱重工神戸造船所の商船建造撤退問題で3月9日、神戸市担当者との懇談をおこないました。前回1月19日申し入れ以後の、市の対応について聞きました。

連絡会は①三菱重工は客船2隻を受注し、造船界は本格的に回復をしていること②連絡会が地元で集会をひらいたこと③労働者が減らされている実態と、2次3次下請けの実態などを説明しました。

市側は①造船をつづけてほしいという姿勢は変わらない。下請けの仕事確保に力を注ぐ②会社は原発部門とディーゼル部門の1次下請けに業務の説明会を開き、市も参加した③地元笠松商店街の要請で10日、会社が説明会をひらく―と答えました。

連絡会は「原子力発電所はクリーンなものではない。産業としての裾野は造船の方が広い」などを提言。造船存続への努力を要請しました。

懇談には日本共産党の大かわら鈴子市会議員、井村ひろ子元県会議員も参加しました。


写真:神戸市に申し入れる(左から)大かわら鈴子市議、井村ひろ子元県議、神戸の造船を残そう連絡会

(2011年3月20日付「兵庫民報」掲載)

障がい者の文化のつどい「こんにちはまつり」

演奏や踊り、作文読み交流


障がい者の文化のつどい、第23回こんにちはまつり(実行委員会主催)が3月12日、神戸市生田文化会館でひらかれ、約120人が参加しました。

柳田洋実行委員長は開会挨拶で「16年前、全国からの温かい励ましで、神戸は立ち直れた。そのお返しをしたい」と東日本大震災被災者への支援募金を呼びかけました。

障がい者地域活動支援センターひだまりの仲間が描きあげた、色彩豊かな横断幕「かがやかせて!いまこのときを」の飾られた舞台に、5つの障がい者団体が出演。演奏や踊りを披露しました。

虹の里職員、高橋勝善さんは自作「23回目のこんにちは」を自らギターとハーモニカ伴奏で演奏しました。

尼崎あぜくら作業所の仲間たちは、昨年4月開所の女性ケアホームにつづき、今秋男性ケアホームも開所する喜びを作文にし、読みあげました。「仲間と一緒に暮らしたい」「地域で安心して暮らしたい」「ずっとずっと待っていました。ホームができました」

いかり共同作業所の利用者は、舞台狭しと「ソーラン節」を踊りました。アンコールでは他の作業所仲間も加わり、大いに盛りあがりました。

2部では、ブラスバンドグループの神戸ウインドシンフォニカが演奏しました。


写真:いかり作業所の「ソーラン節」に会場の参加者も加わり一緒に踊りました

(2011年3月20日付「兵庫民報」掲載)

国際女性デー県集会

第101回国際女性デー兵庫県集会(実行委員会主催)が3月8日、神戸市勤労会館でひらかれました。110人が参加しました。

中村治子実行委員長は挨拶で「いま私たちは激動のなかを生きている。この国の政治は憲法を踏みにじり、自己責任と家庭責任の名で責任を放棄。安心してくらせる職場・地域にするため声をあげていこう」と述べました。

姫路市在住の口笛奏者小西智さんが「アルルの女」「となりのトトロ」などを演奏。難病に屈せず、介護を勉強し、施設で働きだした経緯も紹介し「これからもまっすぐ生きていきたい」と語りました。

西谷文和さん講演「平和守る勢力伸ばそう」

フリージャーナリストの西谷文和さんが「アフガンはいま」と題して講演しました。

2月中旬アフガンに行った西谷さんは、最新情勢を映像で説明。アメリカ軍が使用した劣化ウラン弾やクラスター爆弾による、子どもたちの被害を示しました。「マスコミは嘘の報道で戦争の正当性を垂れ流し、湾岸戦争もうそで始まった。情報を共有、発信することで、彼らを追い込もう。憲法と平和を守る勢力を大きく伸ばそう」と強調しました。

運動交流では「請願署名約6千筆を議会に提出。西日本の大都市で中学校給食未実施は神戸だけ。全国80%、兵庫県下50%実施」(神戸市中学校給食を実現する会)、「子ども新システムは行政の責任放棄。反対の意見書を県下13自治体が採択」(神戸市保育所連絡会)が報告されました。


写真:文化行事で「アルルの女」ほかを口笛演奏する小西智さん

(2011年3月20日付「兵庫民報」掲載)

日中友好協会加古川支部漢詩講座

風刺詩にみる反戦

日中友好協会加古川支部の漢詩講座が3月13日、加古川市内でひらかれ、25人が参加しました。丹羽博之大手前大学教授が「白楽天の反戦詩」と題して講演しました。(写真)

丹羽教授は、中唐の詩人、白楽天の詩文集「白氏文集」が、「源氏物語」「枕草子」「和漢朗詠集」など平安時代の文学に大きな影響を与えたと述べました。

徴兵を逃れるため自らの腕を折った老人を描く白楽天の社会風刺詩とともに、日露戦争映画「二〇三高地」で日本兵が兵役を逃れようと自分の手足を銃で撃とうとする場面を紹介。「時代は変わっても、戦争の悲劇は変わらない」と語りました。

参加者から「反戦を現代史と重ねた話がよかった」などの感想が寄せられました。

(2011年3月20日付「兵庫民報」掲載)

大地震・大津波から三日目に書いているこの小文がお目に届く頃はどこまで被害が拡がっていることでしょう▼救援募金を訴えると、次つぎと多くの方が応じて下さいます。TVでみる被災地の様子を思うと、声もつまり、「ありがとうございます」といえるだけ。私たちにできることは限られているとはいえ、せめて気持ちだけでも伝われば、と願って訴えます。十六年前、全国からの救援やお見舞いがどれほど被災者を励ましたことか▼それにしても大災害の度に登場する「想定外」の文字。いいかげんにせえや、と言いたくなるのは筆者だけではないでしょう。炉心溶融・建屋爆発という最悪の原発災害。政府(原子力安全・保安院)や業界、学者、マスメディアにいたるまで、「たいしたことはない」「人体に悪影響なし」と言いながら、事態の後追い▼「なんとかなる」「もう一度戦果をあげてから」と破局に向かった戦争の時の支配層と重なって見えて、仕方がありません▼十六年前、不十分な災害予測が被害を拡げたことに率直に反省を表明した方と、「想定外」と責任逃れした行政関係者の違いは鮮明でした。政治のあり方がここでも問われています。(S)

(2011年3月20日付「兵庫民報」掲載)

ひなたぽっころりん(464)



(2011年3月20日付「兵庫民報」掲載)